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インタビュー06_CGO、永田 拓人さん

今回は、海外事業を手掛ける永田さんです。世界的にも高機能バイオ炭の土壌改良効果に注目が集まっているそうです。各国でプロジェクトの立ち上げに関わっている永田さんに、仕事内容をはじめ、世界的なTOWINGの位置付けを聞いてみました。

【プロフィール】
名前:永田 拓人(ながた たくと)
所属:Chief Global Officer
出身:神奈川県横浜市
趣味: 生態系の保全活動
好きな野菜:春菊


――自己紹介をお願いします。

アメリカやブラジル、タイ、インドネシア、インドなど世界6カ国でプロジェクトの立ち上げや運営に関わっています。TOWINGには昨年入社しました。それまでは、大手総合商社やコンサル/投資会社を経て、自然環境再生に向けたプロジェクト開発を手がける会社を立ち上げました。生態系の保全で重要な土壌の課題を調べるうちにTOWINGを知り、会社で業務を受託していました。事業が大きくなるに連れて、もはや勤めた方がいいと思って昨年入社。世界的にも、土壌が気候変動や生物多様性の重要テーマであることに気づき、高機能バイオ炭が課題解決の可能性を秘めていると感じました。

――どんな業務をしているのですか。

例えば海外の企業や自治体、財団、政府などとパートナーシップを結んだり、高機能バイオ炭の生産体制を整えたりしています。バイオ炭にする原料をどこから調達して、どこで作るかなどを現地の企業などと進めます。プロジェクトに必要な資金を確保しなければいけないので、海外の政府やファンドなどからどう調達するか計画もします。
人員は、私ともう1人の社員の2人体制です。他にも現地の協力者がいます。例えば、アメリカであれば、現地の大学を卒業したインターン生、ブラジルではJICAさんといった具合です。

――バイオ炭の原料はどういうものが多いのでしょうか。

アメリカでは木質原料が多いですね。例えば、海外でしばしば発生する山火事で出た炭。やはり大規模になると大量に発生しますが、国や自治体は処理が大変です。2019、2020年にはオーストラリアで大規模な山火事がありましたが、火事で出た炭を生かそうと世界最大規模のバイオ炭のプロジェクトをやっている事業者もいます。
 アジアでは稲作が盛んなので、もみ殻が多いですね。今TOWINGで進めようとしているプロジェクトとして、タイでは製糖業者と連携して糖類を絞った後のサトウキビ残さ等を、インドネシアではパーム油を搾った後のココヤシ残渣等をそれぞれバイオ炭にして、活用しようとしています。

――海外ではどんな課題があるのでしょうか。

アメリカのプロジェクトでは、荒廃した土壌の再生に向けて、土壌改良材として高機能バイオ炭を販売できるよう進めています。同国では干ばつがしばしば問題になりますが、高機能バイオ炭の土壌水分保持力や、微生物の力に注目し、高機能バイオ炭で農作物の生産性を高めるのが主な狙いですね。
ブラジルでは劣化した牧草地の再生に関わっています。表土が流れて地面がむき出しになったり、土が硬く締まったりしている農地が広い面積であり、同国政府が再生に向けて12兆円も予算をつけるほど問題になっています。そうした農地に高機能バイオ炭を投入して、土壌を柔らかく、微生物を豊富にできれば、牧草ではなく、食料を生産ができる可能性が出てきます。
また、酸性土壌の改善にも期待されています。同国中部の土質は、酸性土壌が特徴です。酸性だと多くの作物が育ちにくく、農業生産には向きません。炭はこうした酸性土壌を緩和する効果があり、微生物もいる高機能バイオ炭で、より生産性を高めようとしています。

(左が従来の土、右が宙炭導入後の土)

――海外の人たちとどのように仕事を進めているのでしょうか。

日本でのオンラインのミーティングが多いですね。相手に合わせることが多いので、立て込んでいるときは早朝から夜までスケジュールするときもあります。例えば早朝にアメリカ西海岸、日中はアジアやオセアニア、夜はヨーロッパやアメリカ東海岸、ブラジルとなります。先日はオランダとアメリカ、日本の3拠点を同時につないでミーティングをしましたが、夜の11時に始めました。私がミーティングをアレンジしたので、相手が日中にできるよう合わせました。英語は、子供の頃にアメリカに住んでいたので、もともと会話はできました。
 現地に行くこともあります。今年は8月にブラジルへ行きます。まだ細かいスケジュールは固まっていませんが、アメリカやタイ、インドネシア、インドにも行く予定があります。

――入社してギャップに感じたことはありましたか。

TOWINGはディープテックと言われるような、科学的、革新的な技術を扱う事業領域なので、やはり自分もバイオ炭がどんなものか、仕組みや技術、最先端の研究結果を理解しないといけません。世界の土壌が抱える問題も。そこを理解しないと、取引先や連携先の信用を得られなかったり、相手に提案できなかったりと、プロジェクトを進められない。ただ、そこはもともと関心があった分野ですし、自分の勉強になるのでいいギャップと捉えています。

――やりがいに感じていることは何でしょう。

世界を舞台に大きなムーブメントを作っている実感ですね。高機能バイオ炭は世界的に関心が高く、プロジェクトが次々にスタートしています。先日アメリカのバイオ炭に関するカンファレンスで、TOWINGのCTOがプレゼンテーションしましたが、反応が良かった。バイオ炭の事業者は世界的には多くありますが、バイオ炭に微生物をつけるという発想で事業をしているところはほとんどないため、注目されています。
バイオ炭の事業者が好む話題に、炭が多く黒い地層「テラ・プレタ」があります。これはブラジルにある地層で、有機物や微生物も豊富な農業に適した肥沃な土です。他の事業者からみると、高機能バイオ炭はこの地層を再現している、というイメージが強いそうです。

――どんな目標をお持ちですか。

このムーブメントをより大きくしていきたいと思っています。社会的な課題に対して、どう解決していくか、どう運動していくかというところに一番関心があるためです。私の興味は生態系の保全や復元でして、バリ島の河川流域の生態系を復元するサステナブルツアーも企画しています。荒れた農地や生態系の復元へ、いろんな国で高機能バイオ炭という解決策を示していきたいと考えています。


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