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あのパビリオンは今…(1)ポートピアみどり館 深海潜水艇 PC-18
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今から43年前に開催された神戸ポートアイランド博覧会・ポートピア'81。『新しい"海の文化都市"の創造』をテーマに、ユニークな外観のパビリオンが会場を彩りました。閉幕後は建物を含めほとんどの展示物が解体・処分されましたが、いくつかは神戸市内や県外へ移設されました。
今回は、今なお残るポートピアのカケラの一つ、ポートピアみどり館で展示されていた深海潜水艇・PC-18をご紹介します。
ポートピアみどり館について
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ポートピアみどり館は、三和グループ所属企業の共同出資による「海底へのいざない」をテーマにしたパビリオンです。観客はまず『シミュレーションシアター』という潜水艇を模した劇場で神秘的な海の映像を鑑賞した後、展示ゾーンで深海の雰囲気を楽しめる構造となっていました。『シミュレーションシアター』では臨場感を演出するため、映像の動きに合わせて劇場の床を左右前後に揺らす装置、エアースプリングシステムが国内で初めて導入されたそうです(パンフレット・公式記録の記述より)
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そして展示ゾーンの目玉となっていたのが、深海潜水艇・PC-18の実物大レプリカ。水深200〜300mでの海底開発や探査活動を目的に製造されたもので、先端には海底作業に不可欠なリモコン作動のマニピュレーター、ダイバーが簡単に海中に出入りできるダイバーロックアウトシステムなどが取り付けられていました。
子どもたちの目を輝かせたPC-18。ネットで調べてみると、閉幕後は東京・船の科学館の屋外展示場に運ばれ、以来40年以上その場所で静かな余生を過ごしていることが分かりました。
いざ、船の科学館へ
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というわけで2023年9月、現地へ行ってみることにしました。ポートライナーと同じ自動運転のゆりかもめに乗って、船の科学館に向かいます。始発は新橋駅。新橋は何度も来たことあるけど、ゆりかもめに乗るのは初めてです。わくわく。
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出発しました。こんな感じでビルの合間をすり抜けるように進んでいきます。途中高速道路の下をくぐり抜けたりしながら…
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だんだんと景色が開けてきて、レインボーブリッジが見えてきました。
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並走する車を横目に、ものすごいスピードでレインボーブリッジを渡ります。ゆりかもめ、こんなに楽しい乗り物だったとは!
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ゆりかもめに揺られることおよそ15分。船の科学館の最寄り駅、東京国際クルーズターミナルに到着しました。楽し過ぎてあっという間です。
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駅のホームから見た景色がこれ!一度見たら忘れられないインパクトです。
船の科学館は、埋立地の東京臨海副都心に、1974(昭和49)年7月20日に開館した海事博物館です。イギリスの豪華客船クイーン・エリザベス号をモチーフにした外観で、「海と船の文化」をテーマに様々な展示品を見ることができました。
ゆりかもめや東京ビッグサイトなど、臨海副都心で本格的な開発が始まったのは1990年代のこと。そのためしばらくは、周囲に何もない状態が続いていたそうです。ちなみに手前に見える広大な駐車場では、2008年までシーサイドプールが営業していました。
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早速行ってみましょう。それにしても、悲しくなるほど人がいません。
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それもそのはず。船の科学館は塩害や地盤沈下、施設の老朽化などを理由に、2011年9月30日に休館。そのまま10年以上の月日が流れており、全体的に腐食が進んでいるようでした。一度中に入ってみたかった…。
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かつてはこのシャッターの前でたくさんの人が入場を待ちわびていたのだと想像すると、なんだか寂しい気持ちになります。
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屋外展示場には、実物大の船や灯台が展示されているのですが、中でも面白かったのがこちらの海底ハウス"歩号一世"。1968(昭和43)年に、世界で初めて民間人の手によって作られた海底ハウスの実物で、静岡県沼津市の沖合水深8mに設置されたそうです。レトロフューチャーなデザインが魅力。
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中をのぞくと、ドライスーツに身を包んだおじ様が。
うまく地上と繋がったのでしょうか、嬉しそうな表情をしています。
いよいよPC-18と対面
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そして、ありました!紛れもなく、みどり館で展示されていたPC-18です。
大きな一つ目がチャームポイント。かわいい、感無量です。
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案内パネルにも、しっかりポートピア'81について記載されています。
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海底作業で活躍したマニピュレーター。熟練した技術が必要そう。
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当時会場で販売されていたステッカーといっしょに記念撮影。それにしても、雨や潮風にさらされているのに全然退色してないのがすごい!何度か塗り替えられているのでしょうか。
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こちらはPC-18のお隣に展示されている潜水調査船・たんかい。
いかにも兄弟みたいなカラーリングですが、こちらはポートピアとは無関係です。
船の科学館は2024年2月から解体作業へ
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そんな船の科学館も、2024年2月から敷地全体で解体作業が始まりました。現在はバリケードが設置され、屋外展示場にも入ることができません。
PC-18はどうなるのだろう?船の科学館に問い合わせてみたところ、残念ながら今のところ分からない、との回答でした。ポートアイランドへの里帰り、なんて難しいかな…と思いつつ、今後の動向に注目したいと思います。
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なお、船の科学館の前に係留されている南極観測船「宗谷」は引き続き見学できるとのこと。展示がすごくしっかりしていて、この後1時間ほど堪能しました。
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