天然と冷静と騙し合いと
自粛期間の御供といえば、そうYouTube。授業がない日はほぼ動画を見て過ごしているのだが、今回はこの期間見てきた中で面白かったなと思う1本を紹介したい。(バンバンネタバレしていきます)
『疑心暗鬼大喜利バトル~滑狼~ヤングゲート』
この動画をお勧めしたい人・・・出ている芸人さんの中に好きな人がいる方、すゑひろがりずが好きもしくは最近気になっている人、人狼好きな人、伏線回収やどんでん返し系の映画が好きな人
滑狼とは簡単に言うと人狼に大喜利要素を合わせてみたもの。面白くない回答を事前に渡される通称「滑狼」を当てるゲームだが、滑らされたのかシンプルに滑ったのかを見極められるかといったもの。
役職は以下の通り
・滑狼・・・大喜利で事前に渡された滑る回答を答えなければならない。いわゆる人狼のポジション。(すゑひろ南條さん、ラフレクラン西村さん)
・占い芸人・・・夜のターンに指名した芸人が滑狼かそうでないかが分かる(西村ヒロチョさん)
・マッスル芸人・・・夜のターンに指名した芸人を滑狼からの捕食から守ることが出来る(ニューヨーク屋敷さん)
・大御所芸人・・・夜に大喜利のお題を事前に知ることが出来る。滑狼からの捕食を跳ね返せることが出来、大御所を捕食しようとしたら滑狼が死ぬ (すゑひろ三島さん)
・裏切り者・・・芸人の振りをした滑狼側。会議をかき乱す役割。(ラフレクランきょんさん)
・コンビ芸人・・・2人で1組。どちらかが捕食、追放されたらもう片方も道連れ。(ランパン小林さん、ジェラードン海野さん)
演者、スタッフさん、お客さん全員が口を揃えて「神回」と称したこの回。
演者の半数以上が天然だと集まるとこんなことになるのだと思ったし、その中でも三島さんが飛び抜けているためさらにとんでもない展開に。
勿論あれだけ芸人さんが集まっているため序盤も面白い。誰からもいじられない屋敷さんの回答、最初の夜のターンで滑り回避を渡された時の海野さんの「え!?」、あからさまに役職が分かる海野小林コンビ、寺内さん「楽屋帰ったら滑狼とTinder教えます」等々見どころはたくさんあった。
2日目夜で占い芸人ヒロチョさんが誰も疑っていなかった南條さんを占い、当てる。この時点で西村さんは追放されているため、誰もがこれで芸人チームが勝利か~まあ分かりやすすぎるコンビ芸人や大御所芸人も分かりやすかったからそうだろうけれどここからは消化戦だなって思っていたところで全部がひっくり返る後半戦。
歯車が狂ったのが三島さんが本気でヒロチョさんを疑い始めたとき。ここで素直に占い芸人だと信じていたらこんなことにはならなかったはずなのに。でもよくよく見たら海野小林コンビも全然ヒロチョさんを信じていない。序盤の「ピン芸人は蔑ろにされがち」という発言がまさかここへの伏線だったとは。美しすぎる回収。結果シンプル芸人のジェラードン西本さんが追放された後の「何で!?何で!?」という本気の動揺は映画を観ているかのようだ。三島さんの大御所自白も凄い。(本来大御所は滑狼を殺せる唯一の芸人のため名乗り出るべきでない)そこから怒涛のジェットコースターのような展開に繋がった気がする。
クライマックス。大喜利が終わった後の三島さん「ヒロチョ。」南條さん「もうヒロチョじゃな。」のテンポの良さ。ヒロチョさんのまたまた本気の動揺。ヒロチョ「上様~!」と必死に膝をつくも全く相方を疑おうとしない三島さん。それまで滑狼に不慣れなためかずっと不安げだった南條さんがここで水を得た魚のようにしゃべり始めるのも面白い。「敵は本能寺にありじゃ」「こいつはもう滑狼ではない」
「一件落着~!(ポポン!)」でその日一番の盛り上がり。
からの観客も巻き込んだ三島コール。そこにいた全員、観客も巻き込んで急にドッキリを仕掛けるという。ピュアすぎる三島さんが起こした疑いがここまでになるとは。
そして「滑狼勝利」が告げられた後の三島さんの顔、リアクション。全て込みで最高。
序盤で予想出来たと思われた展開がこうも裏切られるという痛快さ。事実は小説よりも奇なりとはまさにこのこと。
個人的には屋敷さんが「冷静~」と歌ったのもレアで面白かったし、三島さんの「厚切りベーコン(言い間違い)」など、いちいち面白い箇所もたくさんあると思うがラストが怒涛過ぎて全部忘れそうになってしまうのだ。
そして何より本当に映画を見ているかのようにキャラ配置が完璧(森本さん含め)。冷静に分析ができる人、慣れていないため不安げな滑狼と慣れていて時分が不利になっても論破しようとする滑狼、頭の切れる占い、予想が全て外れている人。私がこれで映画を撮るとしたら、三島さん視点の全部がひっくり返る展開か、ヒロチョさん視点の自分は全部知っているのに誰からも信じてもらえない展開でやってみたいなと思う。
滑狼もとい人狼は何人かルールが全然わかっていない人がいる方が面白くなるのかなと思うし、思い込みの恐ろしさをこの動画で学んだ気がする。
とにもかくにもこんな解説感想文を読まずにまた最後にもう一回リンクを貼るので本編を、約1時間と長めだが見てほしい。ちなみに期間限定とあるが、これは吉本の劇場が閉まっている期間のみの公開となるためいつになるか分からないが、なるべくお早めに。
追記・・・本筋とはずれますが、この時のニブゴ森本さんのビジュアルがとても良いのでそこにも注目していただけると嬉しいです。