子供時代は子供でいられなかったこと2

父親と私とすぐ下の弟は
汽車に乗って、
父親の故郷へ向かいました。
なぜ母親と別れなければなかったのか
これから先、母親とはもう
会えないのか、隣で泣く弟を見ながら
私はとても不安でした。

父親は元々怖い人だったのか
よくわからないのだけど
とても勇気を振り絞って、
震えながら
「どこにいくの?
お母さんにはもう会えないの?」
と聞いたのを憶えています。

その瞬間、私の顔面の片方が
ひどく熱くなり、衝撃が走りました。
「余計なことを話すな。」
あー、殴られたんだな。
私は大声を出して泣きたかったけど
目に涙を溜めたまま、
無言で暗くなった車窓を眺めました。

真っ暗な景色は、
私の少し先の未来のようで
とても重苦しい気持ちになりました。


続きます。

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