31.実子誘拐はれっきとした「犯罪」だ。たとえ ここは日本であっても。
31.実子誘拐はれっきとした「犯罪」だ。たとえ ここは日本であっても。
私たちのように我が子をもう一方の親に連れ去られるという被害が我が国で多発している事、これが知られるようになった契機は将棋の人気棋士だった橋本崇載八段の事件ではないだろうか。しかしこれは一般の方にも知られるキッカケというだけで、実際は我が子を他方の親に誘拐される「実子誘拐」はそれ以前からいくらでも起きているのだ(実際に私が相手方に子どもを誘拐されたのは橋本八段の事件が起こる7年も前だ)。
諸外国の多くは他方の親に子どもを連れ去られる事は明らかな「誘拐」として扱う。我が国では「連れ去り」というが英語ではabductionであり誘拐そのものだ。この用語を英和辞典で調べれば誘拐、拉致、人さらいとしか出てこない。単なる「連れ去り」ではないのだ。米国では州ごとに異なるのだが、取り敢えず大多数の州で片方の親が「実行犯」となる実子誘拐がいきなり犯罪として扱われる事はない。この点は我が国と同じである。米国でもDV被害や子どもの虐待という問題が起きないという事ではないから、緊急的な避難として認められる事もあるが、相手方に対して住所を秘匿したり、子どもとの交流を絶つような手段に出れば当然に「犯罪」となる。要はそこの「システム」がしっかりしているかどうか、それが我が国との決定的な違いである。
我が国では子どもの連れ去りがあたかも合法で、連れ去られた子どもを相手方が奪い返すというとおかしくなるが、別居先から元の家に「連れ帰る」と誘拐になると言われていたが、これもまた「違う」と言う事を今年(令和4年/2022年)2月3日に代議士の柴山昌彦氏(埼玉8区選出・自由民主党安倍派)が明らかにしている。その内容は以下の通りである。
「2月3日の共同養育支援議員連盟総会で政府と協議。片親による子の連れ去りについて警察庁はこれまで「法に基づき処理」一辺倒だったが、昨日ようやく、同居からの連れ去りか別居からの連れ戻しかを問わず、正当な理由がない限り 未成年者略取誘拐罪 にあたると明言。これを現場に徹底するとした」
これまで一方の親に無断で子どもを連れ去って別居する事に対し、警察は見て見ぬふりというか、余程の事がなければ子どもに危害が及ぶ恐れがないとして捜査をする事もなかった。一方で子どもを誘拐された当事者が子どもを連れ帰ると誘拐。この違いは「人権派」を標榜するような弁護士が介在するかどうかと言ってもいい。これを警察は「法に基づき処理」と言ってきたのだ。
しかし未成年者略取誘拐罪(刑法224条)のどこをどう解釈しても親であれば子どもを誘拐してよいという話にはならない。取り敢えず全てが懲役3か月以上7年までの刑事罰が定められる犯罪行為だ。他の身代金目的の誘拐罪より法定刑は軽いが、これは子どもに危害を加える目的でない事に拠るものであろう。
平成17年(2005年)12月6日の最高裁判決(なので判例となる)で、夫婦が別居状態、つまりこの事件では父親が別居親、母親が同居親となっていた2歳の子を保育園へ別居親である父親が迎えに行って連れ戻した事件だが、父親側に未成年者略取誘拐罪が適用され有罪判決を受けたという事がある。これが「連れ戻しは有罪」とされる根拠でもあるのだが、保育園に迎えに行ったとあるように、粗暴で強引な手法を使ったものでは全くない。それでも「連れ戻しは有罪」という誤解がなぜか流布されてしまうという事になってしまったのだが、この事件では判決理由に於いて親が子どもを連れ去った場合に必ずしも有罪となるのではなく、例外としての問題がないとする要件の例示をしているのだが、これまで顧みられることはなかった。
平成17年と言う事で民法改正前であり、ここで言う未成年はまだ「年齢二十歳をもって成年とする」の時代であり、未成年者は当時20歳未満という事になるワケだが、それ以外では年齢ごとに様々な「権利」が一部認められる。
例えばだが誘拐が成立しない要件として、未成年者が他方の親と同居する事を認めていた場合だ。この場合、未成年者が15歳以上であれば同居する事を忌避していた場合でないと誘拐は成立しない。成人に近い判断能力を有している者が、自ら行動を共にすることを同意した場合は、基本的に、暴行・脅迫や欺罔・誘惑という手段が用いられておらず、犯罪不成立という考えから来るものだ。
しかし、この事件は当該の子が2歳であり、このような幼児に判断能力を求める事は事実上不可能であり、そこは「親の意思」と言う事になるのであるが、この事件の詳細としてもっとも知りたいのは、この事件の発端となった「子連れ別居」とやらが「自らの離婚を有利にするため」のものであったかどうかではないのか。
いずれにしても現職の国会議員でもある柴山昌彦氏、代議士ではあるが法曹資格である弁護士だ。大学名で能力が決まるとまでは言わないが駒場の文Ⅰから進振で本郷へ進んだ言わばエリートロードだ。また代議士としても世襲といったバックのない公募組で、軽量大臣と揶揄されるポジションではあるが文科相として入閣も果たしている相応の実力者だ(自民党所属であるのは非常に残念なことではあるが)。その方が現状に蔓延る実子誘拐について言及したのであるから、もう少し社会合意を形成するためにも議論が必要ではないのか。
ヘンな話だが京都で親権のない親(別居親)が幼稚園に子どもを迎えに行き、幼稚園側が拒否しても引き下がらないような場合に、その親(別居親)を取り押さえる訓練を行ったという報道を見た事がある。あまりにも一方的な話であるし、私としても気分が悪くなったが、現実は我が国では「親権なければ人権なし」なのだ。
さて、柴山昌彦氏の見解が出たとたん案の定と言うかこれまでにも親子断絶の推進者として知られる赤石千衣子氏が狂ったように翌日には見解を発表している。その内容は以下の通りだ。
「連れ去りではなく、DVにより子どもと自分の命を守るためにやむなく家を出ているのです。DV加害者が加害自覚ないのは残念ながらありますよね。 こんなことでDVがあっても逃げられなくなった責任をこの議連はとれるのでしょうか」
まさに直ぐに出てくるDVという嫌疑。子どもの誘拐ではなくDVからの逃避という理論だ。しかし多くのケースで言えるのは子どもを連れての別居の目的は「離婚準備」だ。その離婚の原因とされるものにDVと言うのもゼロではないだろう。とは言え子連れ別居に於けるDVがそれほどの割合で生じているのであろうか。離婚を弁護士などに相談すれば「別居するなら子どもを連れて」と言う事を指南しているのだが、こうした事は弁護士の間では常識と言う事を弁護士業界のご用達出版社から刊行されている指南書に書かれているというのが実態なのだ。それに赤石千衣子氏が言うように「子どもと自分の命を守るため」と言うような深刻なDVだ。
しかもおかしなことがある。こうした誘拐指南をされてしまう被害親は公務員だったり、相応の大手企業の会社員だったり、橋本八段ほどではないにしても相応の収入だったり、安定した仕事に従事している事が多いのだ。どちらかと言うとステレオタイプ的なロクデナシとは真逆の属性と思えなくもない。要は指南をしている弁護士としてもバクチ狂いや酒乱で仕事もマトモにしていないというような御仁が依頼者の相手方であればカネが支払われる可能性は低くなる。他方で少なくとも我が国の雇用慣行を考えても安定した職業に従事できるという事は、それなりに社会対応能力があるという事でもある。だからと言って聖人君子というワケでもなかろうが、それら全てがDVと言う事があるのであろうか。実際に誘拐(連れ去り)被害にあった親が世間じゃ上級国民と揶揄される地位にあったという事も珍しい事ではないのだ。
とにかく現状は「DVだ!」とさえ言っておけば、弁護士側で上手く立ち回りを演じて「有利な条件」での離婚を画策しているだけではないのか。離婚を「看板」に掲げる弁護士はまず誘拐した子どもを相手方と会わせないという事を指南するのだ。取り敢えず子どもを誘拐し、調停を不調に終わらせて審判へ移行。時間を稼げばDVがあったという「シナリオ」を弁護士側で用意する。子どもに会えない事で焦る被害親が苛立ち声でも荒げるような事があれば「これもDVです!」などと。そして提出される主張書面は、それこそ被害親への侮辱そのものだ。
取り敢えず誘拐を実行して審判では子どもに会いたい被害親の気持ちを逆手にとって養育費を払え、DVの慰謝料を払えとまさに「身代金」を要求されてしまう。子ども会いたさに金銭負担を了承すれば「慰謝料を払うという事はDVがあった事を認めたという事」などと翻して「DVだから子どもに会わせる必要はない!」と豹変するのだ。まあ他にも「親権をこちら側(同居親側)にして離婚に応じれば子どもと会わせる」などなど、まさに悪魔の所業ではないのか。
これが赤石千衣子氏の言われるような「子どもと自分の命を守るため」なのだろうか。私はある日突然乳飲み子とイヤイヤ期の我が子2人を誘拐され、相手方の「シナリオ」通りに挑発に乗ってしまい相手方に軽傷を負わせてしまい(翌日退院)、それが事件化されてその事を散々利用された。しかし本当に相手方は自らの命の危険などを感じたのだろうか。痛い思いをしていないとは言わない。女にケンカ売られて命の危険がと言うものが、体力仕事の現場で働けるのか。そうした仕事をして十分な収入を得ているという点だけはリスペクトするが、そんな虚弱な体で厳しい仕事をするくらいなら、子どもを私に返してくれればいいではないか。
弁護士と言うのは商売だ。聖人君子であれとまでは言わない。しかし子どもや誘拐被害を受ける親を奈落へ突き落して稼ぐ金があっていいのだろうか。
日本と言うこの国では、子どもに対する凄惨な虐待事件が今も後を絶たない。私の子どもは相手方の愛人やその連れ子と生活しているという事が、調査官の調査で報告されているが、その関係性と言う事も全く分かっていない。これで虐待が防止できるのだろうか。悲惨な虐待事件の多くは生活面で頗るだらしのない家庭で起きている。如何に我が国の高度成長は遥か昔、バブル崩壊後は低成長にあえぐとしても世界有数の経済大国として少なくともマジメに仕事に従事出来れば生活苦となるような事態に陥る事はないと言える。ところが虐待事件の容疑者は無職であったり、職を転々とするなどの問題を抱えている事が伝えられているのだ。そして生活苦から来る焦りや苛立ちが何の罪もない子どもに向けられ、剰え子どもの命まで奪われることになる。
そのような悲惨な事件を防ぐために、無職などの問題がある家庭での暴力や虐待、それこそDVの事件を受任してくれるのかを、自称子どもの人権派 木村ウソツキ真実くんにぜひ聞きたい。カネのない依頼者、子どもがいるのに仕事もせず無職の相手方。こんな事件を木村ウソツキ真実くんが受任すると思うか。斯様な事件は収入の少ない家庭で発生している事が多いのだ。木村ウソツキ真実は子どもの専門家と言うのだから我が国で跋扈する子どもの貧困問題を知らないはずもない。おそらくそんなホンモノのDVや虐待事件を相談されたら「緊急性が高いから」などと言いつつ「警察へ行け」と言うのではないだろうか。確かに事件性があり、それこそ子どもや自分の命が危ない事件ならそうするのが正解ではないか。
木村ウソツキ真実くんが「そんな事はない!」と言うのであれば、今までにそうした深刻なDVがあって、「収入がなくお金を払えないところでも」果敢に介入して、これまでにこのような事件から、どれだけの子どもの命を助けて来たかを数字でもいいから公表していただきたいものだ。それも出来ない輩が子どもの専門家・人権派を標榜するのは刑法246条の詐欺罪であると言っても過言ではないだろう。
私の子どもたちの人生を苦しめ、カネを稼いだ日野の木村ウソツキ真実くんよ、「真実」をぜひ教えてくれたまえ。
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