『あの日のこと』
市役所に突然呼び出されたことがあった。
もう7~8年前の出来事。
相棒の職員がちょうど定休日で、もう一人の幹部職員も現場に出ていなかった。
腹をくくり、一人で市役所に乗り込んだ。
2~3人の市の職員に取り囲まれ、こっぴどく怒られた。
理不尽なこともあり、悔しくて、悔しくて。
ここでは泣くもんか、と唇噛みしめて、乗り切った。
バスで帰る気力もなくなるほど心を粉砕され、タクシーを呼ぼうと市役所の出口に向かうと、相棒の職員が車で迎えに来てくれていた。
「なんで僕を呼ばなかったんですか?」
「だって、アンタ、今日休みだし」
その会話を今でも鮮明に覚えている。
そして、車の中で大声で泣いた。
結果的に、数年後、制度が変わり、状況が変わり、不可能だったことが可能になった。
障害者の権利は、誰かが傷つきながら、闘いながら、勝ち取ってきた歴史がある。
あの日のことを思い出すと、今でも涙がこみ上げてくる。