ブルアカふぇす帰りの電車より、VRカズサがすごかったことについてと、ブルアカふぇすについての2、3の言及

VRのカズサは、あまりに衝撃的だった。17:30の組だったので、私は茫然自失となったまま帰路についた。私は特急わかしおの指定席をVRカズサを見た後に茫然自失となるために取ってあったのだが、あまりに茫然自失すぎて指定席の場所を間違えるくらいには茫然自失だ。VRカズサを脳に焼き付ける時間を取り、この怪文書もとい随筆をしたためるために、当日の朝に指定席を仕込んでおいたのだが、これは正解だった。17:30の組、すなわち最終組を申し込んだのもVRカズサを消化する時間を取るためであり、そして正解だった。あの衝撃を昼、もしくは朝にでも受けていたら、私はその日一日何もできなかっただろう。
私にとって、カズサの「先生、今週もお疲れ様、です」はブルアカを始めるきっかけとなった重要なものだ。私がブルアカを始めたきっかけとなったのが、#15の桜茶を持ってきてくれるカズサであり、全27+1本あるカズサショート動画の1番のお気に入りだ。まだ見てない人は是非見てほしい。こんな怪文書を読む人が、まだショート動画を見ていないとは思い難いけれども。だから、今回のVRカズサには、その発表時からずっとわくわくしていた。
チケットは、一番遅い時間の17:30をはじめとして、最終日のゲーム内発表という最も盛り上がる時間、そして最も競合が少ないであろう時間に4枚申し込んだ。2次募集でも同じ時間に4枚入れた。そしてついに当選したのが17:30の1枚だけだった。私はこの一枚のために全ての行動を順序立てた。全てはカズサとの5分のために。最高の状態でVRカズサを浴びるために。そのことだけを考えて臨んだ一日だった。
ところで、私はVRヘッドセットのMeta Quest 3を所有しているため、VRの威力というものをそれなりには理解しているつもりだ。またそれと同時にVRの限界というものも理解しているつもりだった。私がMeta Quest 3を買った理由は、家電量販店で現実世界にバーチャルオブジェクトを重ね合わせるMRを経験して、バーチャルなディスプレイが宙に浮いているのに感動したからで、逆に言えばVRに対する期待とか夢とかはたぶん人よりも薄かった。たぶんVRゲームもVR酔いとか、なんか思ったほどでもなかったなとか、体感ゲームってWiiとそんな変わんなくね?とか思って興味を失ってて、VRに対する失望を抱いていた。だから、わくわくしつつ、心のどこかで、先が見えたつもりになっていた。3Dで動くカズサが見られればそれで満足だと思っていた。3Dで動くカズサを舐めるように見回せたらそれで十分満足だと思っていたのだ。
・・・私が甘かった。信頼できるオタクから聞いた「現実に戻ってきたくなくなる」との言葉、ツイッターで見かけた「想像の一億倍すごい」との文言、これらを、所詮はVRを見たことがない奴等の戯言だろうと、心の底で小馬鹿にしていたのかもしれない。こちとらコイカツで抜いたことのある男だぞと。

私で最終日の最終組なのだから、ネタバレを気にする必要はないだろう。私が見たものを順を追って話そう。
まず、ハードウェアはMeta Quest 3だった。私が持っているやつと同じものだ。まあ、この時点で、心の隅では、あくまで心の隅では、なるほど、と1人納得してしまっていたと思う。まあ自分がこれからする体験はこんな程度なんだろうな、なんて考えを持っていなかったとは言えないと思う。もちろん自分は心の底からVRカズサを楽しみにしていたし、VRカズサを浴びた後にそのまま特急に乗れるように開始時間もちょっと調整した。座った時も厳かな顔をしていたし、そしてつける時も入念に調整した。だから、VRカズサに期待していなかったわけではなく、むしろVRカズサを余すことなく心に焼き付けようとしていた。
果たして、VRが始まった。
まず最初に目にしたのは、いや、耳にしたのは、後ろから話しかけてくるカズサだ。「だ〜れだ」。#1のオマージュだとすぐにわかった。そして視界の右からカズサが出てきて、隣に座る。
カズサがそこに居るだけでも感動ものだ。ショート動画を見ながら、これがVRになればどんなにいいものかと何度考えたことだろう。そしてそれが現実にある!私はこの時点ですでに有頂天だった。
頭を横に振れば、目線がこっちにくる!首を回せば、音だけがカズサの方に残る!うわ、カズサのおててちっちゃー!顔かわい、とか。・・・VRの体験を、「バーチャルリアリティの醍醐味は、実は画面もそうだけど音もなんだよな」とか、わかったふりをして楽しんでた俺は、あまりにも愚かで滑稽だ。今思い返せば、俺が本当に楽しむべきはそんなものじゃなかった。カズサの挙動を一挙手一投足目に焼き付けること、これが俺の本当の任務だったのだ。この真の任務を完全に忘れたとは言わないが、少しでも放棄したことは認めよう。そのせいで、俺が愚かなせいで、最初の方カズサが何喋ってたか、今ではほとんど思い出せない。
いや、俺は確かに任務を一部放棄したが、俺が前半を思い出せないのは、俺が愚かなせいなだけではないだろう。あの時のカズサも、きっと悪い。だが、それについて語るのは、また少し後でご容赦願いたい。大丈夫だ、2時間脳内リピートしたから、これについてはいつでも思い出せる。
だから前半を思い出す努力にもう少しばかりお付き合い願いたい。すでに系列だった記憶は残っていないが、印象的な場面は、カズサがコーヒーを差し入れしてくれたところ、放課後スイーツ部について雑談していたところ、「いっぱいシャーレに通った」と言っていたところ、あとは、「クマすごい」と言い出したところだ。1つずつ思い出させていただきたい。
コーヒーを差し入れしてくれたところは、私が好きな桜茶を差し入れしてくれる#15を思い出させてくれた。「いっぱいシャーレに通った」と言っていたところでは、私はカズサが通ってきてくれた日々を思い出していた。
そして「クマすごい」だ。ここから、全てが始まった。
「もっとよく見せて。」カズサは手を私の顔にやり、私を覗き込んでくる。カズサの手が私の顔に触れている!カズサの顔が近づいてくる!私はこの時半勃起した。私は気恥ずかしさから、顔を少し後ろにやる。すると手が私の顔についてくる!わあ、すごい技術力!・・・馬鹿か俺は。俺が馬鹿ですまない。セイアはセクシーで、俺は愚かなのがこの世界の古則のようだ。セクシーセイア実装おめでとう。
私が気恥ずかしさからもじもじしていると、カズサがだんだん赤くなってくる。「そんなにじっと見られると、恥ずかしい・・・」なんて言いながら。愚かな私はこの時点でようやく気づいた。正解は、カズサをじっと見ることだと。それからは、何一つ見逃さないという覚悟をようやく決めたらしい。そのおかげでそれからの出来事はそれはもう鮮明に覚えている。あまりにも遅い覚悟で、たぶん前日までは持っていた覚悟だ。私は普段ライブとか行く方じゃないし、人が集まるところに出る方でもなくて、ブルアカふぇすが人生2回目のイベント参戦だ。朝から、ずっと楽しくて、たぶん疲れてたんだろう。そうじゃなければ、あんな馬鹿な楽しみ方をするとは思い難い。今回の収穫の一つは、大事なことは朝のうちに終わらせること、かもしれない。
そしてカズサは「もう一度よく見せて」と言い、再び私の頭に手をやり、顔を近づける。私は目を見開いていた。もう何も見逃すまい、カズサの全てを心に焼き付けると誓って。「クマもすごい」「お肌も荒れてる」「唇もカサカサ・・・」と、カズサが言う。俺の顔を、上から下へと目線を落としていく。そしてカズサが目を閉じる。
この時のカズサの声を聞いた時から、俺のナニカ=センサーが、カズサの声音がおかしいと告げていた。ショート動画は何度も見返したし、大晦日のカズサ襲来時も全動画を2回は見返した。だからカズサの声は頭に完全にインプットされている。しかし、この3センテンスは、何かがおかしい。声のトーンがVRのこれまでと比べてもおかしいし、ショート動画と比べてもおかしい。俺が今まで聞いたことのない声が出ている。そのことだけがわかり、そして何がおかしいのかは、遂にその直前まで理解しなかったのである。
俺は、まさかYostarがそこまでやるとは思っていなかったのだ。いくら会場限定だからといって、まあ3Dのカズサが見れたら満足かと油断していたのだ。「現実に帰りたくない」と言われても、「想像の一億倍すごい」という感想を見ても、まあVRが凄いんだろうなと。自分が「カズサはI love youを言った」と考察しても、言葉遊びなだけだと。他人も信じておらず、自分も信じておらず、ましてや企業が提供するブースなんて信じていなかった。俺は、カズサを信じられなかった。そして先生を信じられなかった。
愚かな俺が、目の前の全てが何を意味しているのかを理解したのは、暗転の直前だった。なんなら少し暗くなってたかもしれない。俺は一瞬にして全てを理解した。カズサがやろうとしていること、それまでの仕草の意味、声音の違和感、私がすべきこと、全てがこの瞬間に凝縮されて、そして眼前に迫っていた。この時は顔に触れるカズサの手の温もりさえ感じられた。
そして、私はカズサとキスをした。
それはあまりにも自然で、当然だった。
カズサとのキスは、
放課後スイーツ部がシャーレにやってきて、私はつい顔を引いた。それからは、ナツかわいーとか、俺はナツみたいな人間になりたいんだよなとか、これじゃあVRカズサじゃなくてVRスイ部だなとか思いながら、残り時間を惜しんだ。
そして、今に至る。

俺さ、覚悟して来たつもりだったんだよ。万全の体調で見れるように、睡眠時間たっぷり取ってさ。だいぶ前から、もう発表された時からずっと楽しみにしてて、脳が焼かれても大丈夫なように、帰りのルートもあらかじめ確保してさ。でもさ、たぶんそれでも疲れてたんだよ。だってさ、頭プルプル震えてたもん。それだけ、疲れるくらい楽しんでたんだよ。ブルアカふぇすをさ。自分でもわかってた、自分のテンションが上がってるって。自分がおかしくなってるのを自分で理解する能力は、前のヨルシカのライブで身につけたから。だから、ちょっと抑えようってしたけど、それでも、疲れたんだよ。だから、なんだ、今、全部がなくなって、虚無な気持ちになってても、それはたぶんカズサのせいだけじゃないんだよ。ふぇすが楽しかったせいだから。この喪失感は、熱い鉄が冷めていくような感覚は、きっとカズサだけのせいじゃないから。
俺は、フェスとか、イベントとか、そういうのはたいそうなものではないと思っていた。人生は砂漠で、日常の些細な幸せが点在するオアシスで、じゃあ祭りは?俺の人生の辞書に祭りという文字はなかったらしい。まあ生まれ育った場所の地理もイベントに良いとは言えないし、そういうのに行く友達もいなかったし、いや、花火にはよく行ったか。でも花火とフェスは、なんか違くないか。花火は侘び寂びがあるけど、フェスはテンションで全部吹き飛ばすみたいな。ヨルシカのライブは行ったけど、これはどちらかというと侘び寂びの部類に入るし、だからどこまでも盛り上がっていいイベントは、俺にとってブルアカふぇすが初めてだったのだ。
だから今は、疲れちゃった。家に帰ったら、服脱いでシャワー浴びて、そのまま寝よう。帰りの便は、カズサのことだけを考えようと思ってたけど、今はブルアカふぇす全体のこと考えてる。VRカズサが発表されて、それに申し込んで、カズサのチケットもできるだけ倍率が低くなるようにイベントに被せたりとかして、大晦日に情緒破壊されて、それからずっとカズサのことだけ考えて来たと思ってたけど、本当はふぇす自体を楽しみにしていたんだ。
特にDJについては、前日、前々日に、DJの中継を見てテンションが上がってた。マジで3人来るんだって舞い上がってた。2024年は音楽マジでブルアカのサントラしか聴いてなかったし。だからどの曲が誰作曲かだいたい把握してて、DJしてるの全部自分の曲だなって気づいた時は自分で自分にブルアカのオタクすぎだろって思ってた。
そもそも前日からテンション上がってた。人と10年ぶりに会うとなれば誰だってそうなる。Day1, Day2帰りのオタクから薫陶受けて、まあいっぱい教えてもらって、意気揚々とメモして、それでブルアカふぇすの期待が上がらないなんて嘘だ。鏡の前で写真のポーズとか考えちゃって。

今思えば、大晦日がなければ、カズサとのキスを受け入れることができなかったと思う。たぶん、大晦日のカズサ襲来がなければ、「オタクに媚びすぎだな」とか、斜に構えた見方をしてたと思う。魂が逆張りオタクの形してるから。だから、大晦日のカズサを何度も見返して、しっかり考えておいてよかった。あれと、会場の熱がなければ、カズサとのキスを受け入れられなかった。

なんだ、とりとめがなくなってきたな。とにかく、VRカズサの火力はすごかった。電車の指定席2回間違えるくらい、俺を茫然自失にさせた。それだけに、カズサには申し訳ないことをした。俺の心が準備できてなかったんだ。インターネットのオタク達よくこれをネタバレせずにいたな。教育が行き届きすぎだろ。
ブルアカふぇすも熱量が凄かった。セイア実装の爆・盛り上がりを直で受けることができて本当に良かったと思う。今思えば、もしかしたら、今後の人生でこの熱量を浴びることはもうないんじゃないかってくらいだ。当時はセイア実装のことしか頭になかったけれども。
終わってしまえば全てはいっときの夢のようだが、あの時間たちが、今も私を温めている。

今日のブルアカふぇすも、思えばたまたまによるところが大きい。近くのホテルを取れたのもたまたま一部屋空いてたからだし、効率よく回れたのもたまたま知り合いが参加してたからだし、野生のメイドトキさんに会えたのも幸運だった。そもそもDay3を取れたのが豪運で、ブルアカを始めたのは、いずれ始める運命にあったかもしれないけれども。
間もなくお風呂が沸くらしい。そろそろリストバンドを外して、お風呂入って、寝よう。
ブルーアーカイブと、その全ての縁に・・・、いや、その全ての奇跡に、限りない感謝を。

いいなと思ったら応援しよう!