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漫画「へうげもの」をおすすめしたい人について語らせてくれ!

バーチャルYoutubeのにじさんじに所属する社築さんの配信で漫画プレゼン「社築に読ませたい漫画プレゼン大会」というのが開催され、漫画家兼VTuberの伊藤ライフ先生が「へうげもの」をプレゼンしていたので、自分も同じく大好きなその漫画をプレゼンしたい。(伊藤ライフ先生とは本当に漫画の趣味が合う……)「へうげもの」は生涯で最も好きな漫画で、書きたい感想が多すぎるので、出来るだけポイント絞って書きたいと思う。

プレゼンするのは山田芳裕著の「へうげもの」という、安土桃山時代から江戸時代初期を舞台にした歴史漫画です。

簡単な概略としては、古田織部という武将が、茶道の元となる茶の湯という文化を極めて出世していく物語です。この漫画の茶の湯という場所は、ただのんびりと茶を飲む場所ではなく、権力を持つ武将を一対一で迎え、秘密ごとを交わす"密会"としての姿を持っているのが大きな特徴です。

さてこの漫画を、誰に向けて紹介したいかという形で、3つのポイントで紹介したいと思います。

1:モノを愛する人

この漫画の武将たちは名物の茶器や茶入を求め、手にしたそれを愛でて、とことん語り合います。それらは道具でも美術品でも自然でもなんでも良いので、物を愛して語るのが好きな人はこの漫画でその気持ちに深みがますと思います。

物の良さを語ることの大事さを表した武将の言葉が、以下のようにあります。

「若いうちは桜を見て… 今後幾度でも見られるものと思うものだが… 桜をまじまじと見ることなど 実際は十度も あるかないかよ。しかし徳川の中にあっては… 三度すらないかもしれない。それでいいのか 榊原…。その方 とて子がおろう、桜の美しさを 我が子に語れず… 人として生涯を 全うしたと申せるのか」(へうげもの第5巻より)

物の良さを伝える大事さを、厳しい時代を生きた武士の言葉で気付かされます。

このように漫画の中では、何に惹かれ何故好きなのかを繰り返し話す姿が、色んな人物によって描かれています。

へうげものを読むことによって、物の良さを語っていくことが人が生きていく上での大きな責務のように感じていくと思います。

2:モノを作る人

主人公の古田織部や、彼に関わる武将たちは、戦場に出向きながらも、庭や器の創作に日々努力しています。古田織部に至っては30を過ぎてから、器作りに没頭するのですが、まずは真似から始まり、真似を非難され続けながらも自己流を見つけるために努力し、自分だけの創作の"味"を見つけていきます。

世に出そうとする創作は必ずしも世間の評価を受けることになり、色んな場面で賛否を受け、磨かれていきます。モノ作りに関わる人なら、必ずしも自分を重ねたくなるでしょう。

以下の言葉は、古田織部の師匠でもある千利休が、出来たばかりの茶器に自信を持っていた織部に対して、厳しく評価し、その道を指導した言葉です。

「あなたは世に 何を広めたいのですか?創ったものにして 何をなさろうとしておりますか?それがわからずば… 創作する意味などなく… 人々の心を打つことはできないでしょう… 己を見つめ直しなされ。見つめて削いで… 最後に残ったものこそ… 古織好みとして 真のわび数寄が 扉を開きましょう」(へうげもの第8巻より)

この言葉は自分に向けたられた言葉として、私も読むたびに考えてしまいます。

3:笑いの力を信じたい人

結論から言うと、古田織部は歪み茶碗という、形がぐにゃりと歪んだ器を生み出し後世に名前を残すことになります。

何故歪んだ茶碗を創ったかというと、この漫画の中では、見る人々を楽しませるためとあります。

何故、歪んだ器で人々を楽しませることができるのか?何故人々を楽しませたいのか?その謎は、物語終盤も含め少しずつ漫画の全編で明らかになっていく内容なので、是非とも読んで知ってもらいたいのですが、全ては古田織部の「笑い力」を信じる所から生まれています。古田織部は笑いで物事を変えていくことに、生涯を投じていきます。

下記の引用は、ひしゃげた出来損ないの花入れを見た晩年の千利休が、まだ未熟だった古田織部へ重要なパスシュートを講じることとなった時の台詞です。

「何を笑うておられます…?」
「なるほど… 笑いの力とは強きもの… 死を目前にこわばる 私の心をも和ませようとは… 私には叶わぬが… これを至高へと 高める者がおるとすれば…」(へうげもの9巻より)

日常でトラブルで困った時に、逆に笑い飛ばすことで気持ちを好転させたことが誰にでもないでしょうか。笑う力や笑わせる力の真価を、改めてこの漫画で深められるのではないかと思います。

最後に

へうげものは歴史に忠実な歴史漫画でありながら、大スペクタルなギャグ漫画でもあります。笑いの力を知っていった主人公が、どうやって笑いで世を変えようとしたのか、是非とも知りたくなった方は読んで頂きたいと思います。

ひょうげもの(へうげもの)」とは、ふざげた言動をする人のこと。漫画タイトルに込められたその意味は何か、是非紐解いて楽しんでみて下さい。


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