西きょうじ先生の『英文法の核 』[問題演習編]を読んだ (2/)

突然ですが、ぼくは問題集って物凄くありがたい存在だと思っています。何故かと言うと、「知識は、それを使って価値を生み出さなければ意味がない」という自明のことを達成するにあたっては、「知識の運用」が出来るようにならなければなりません。知識を運用するための訓練として非常に有用だからです。

こういうことを思うようになったのは社会人になってからです。ぼくはMOOCSを非常に、というかちょっとおかしいくらいに多用しています。なぜかというと、社会人になると「教科書」にあたるものは専門書を筆頭に結構手に入るのですが、「問題集」にあたるものはまったくないのです。知識を運用する場所が実業務でしかないというのはちょっとというか大分困る状況です。何を実業務とするかは自分だけで決定出来ることではないからです。この社会人には「日常的に取り組む問題集にあたる存在がない」っていうのが、社会人の自己学習の大きな課題だと思います(資格試験ばかりやるのは当然NGですね)。MOOCSでは自身の専門領域で課題やテストが与えられます。MITでも、Stanfordでもなんでも対応しています。これは社会人には非常にありがたいことです。

前置きが長くなりましたが、英文法の核というとんでもない名著があります。詳細はここに書きましたが、ここ30年で出版された英文法書の中でトップの出来だと思います。特に定義の精緻さと説明の網羅性と過不足のなさが両立している2点が非常に素晴らしいです。個人的には、文法とは「語(あるいは情報)の配列ルールと単語の使い方(品詞の理解含む)」という定義が非常に好きです。こういう「定義がバッチリ決まる」と、その後の脳内での情報処理の速度も質もまったく変わるのです。

西きょうじ先生の『英文法の核』を読んだ
http://touya-fujitani.blogspot.com/2016/04/blog-post.html
英語学習 - 多読多聴の前に (英文法)
https://touya-fujitani.blogspot.com/2018/07/blog-post_75.html?view=flipcard

ぼくはボランティアで大学受験を教えているのですが、関正生さんという方も非常に人気があります。

関正生さんの英語の説明はなぜわかりやすいか
http://touya-fujitani.blogspot.com/2019/03/blog-post_24.html?q=関正生

関さんの説明の仕方がなぜ評判が良いかというと、英語の"勘所"を簡潔にまとめた上で、新しい定義で説明しているからだと思います。もうちょっと噛み砕くと「英語学習者の学習過程の中でのイシューについて、先回りしたケアをしたりメタ的な説明をする」のが好評の理由だと思います。「教科書や学校では〜〜みたいに教えるけど、それはわかりにくくて本当は〜〜」みたいな文脈での説明が多用されますね。関さんが批判されることも多いのは、この点に対する反発と英語そのものを説明している様でいて学習方法をはじめとした他の面を説明していることが「受験対策しかしてない」ということになるのかと思います。

かたや、英文法の核は「最上質で英語を説明する」ということのど真ん中を突っ切っています。ここがぼくが好きな点です。

英文法書って著者によって実は全然違いますし、一種の情報体系になっています。故にそもそも身につけた知識体系がイケてなかったというのは最大に避けたいですし、逆にイケていれば全力で進めるべきです。で、英文法の核で提示されている情報体系はめちゃくちゃイケてます。その英文法の核の知識を運用出来るするという点で非常に重要なのが、『英文法の核 』[問題演習編]です。つまり身につけられる情報体系がそもそもイケていることが本書の最大の価値の一つです。続きます。

『英文法の核 』[問題演習編]


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