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掌のある粒子:お話物理:場の量子論

今回から,スピノル場と言う種類の場のお話をしていこうと思う.

今まで扱って来たスカラー場は回転に対してのただの数,スカラーとして振る舞う場だった.空間の各点にただの数が定義されている場だ.例えば天気予報の各地での温度みたいなものだ.

スピノルはただの数ではない.(厳密には違うが)天気予報の風向きのように空間の各点に向きを持った量が定義されている場だ.つまり向きを表すように(ベクトルのように)数字の組で定義される場になる.スピノル場は三次元回転のスピン1/2に対応した場で,必要な数字は2個だ.


特殊相対論的な回転(4次元回転)は,ほんの少しの回転で見ると,数学的には二つの3次元回転と同じであった.3次元回転のスピン1/2に対応しているスピノルは,それぞれの3次元回転に対応して二種類ある.

お話物理なので結果だけ言ってしまうと,粒子のスピンの向きと粒子の運動方向の組み合わせで決まってしまう.粒子の進行方向に対してスピンの向きが同じものと逆方向のものだ.

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緑の矢印の先端から見た時,時計回りになるのがスピンの向きだ.言い換えれば,青の粒子は進行方向に"左手"親指を向けた時,残りの指を握る方向に回転し,オレンジの粒子は"右手"のそれになるのだ.

この回転の方向を示す"掌"と言う性質は"カイラリティ"と呼ばれてスピノル場にとって重要な性質だ.

粒子には実は掌がある.

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