妄想非化学研究書 音楽と映画を読む 誇張された非科学的現実妄想生活38
■愚かなのか、わが恋
元々はバンドメンなのにソロの方ばかり目がいき聴いてた方々で、
忘れてならぬダンディメンなこの人ブライアン・フェリーでして。
片膝ついてI Love Youは当たり前、晃司にいさんにも勝る肩の幅。
男前なんて言葉が飛び交うと私の頭の中で勝手に浮かぶこのお方。
そういえば学生時代に友人が好きな女子に片膝ついて告白してた。
食い気味にお断りします!と返されて撃沈してた彼こそダンディ。
リアルタイムにアルバムを聴き始めたのは1993年のタクシー前後。
このお方の場合ソロアルバムがカバーのみだったり多めだったり。
ただカバーであってもその殆どがカッコよく恰も自分の曲の様に。
まだまだ80年代残り香の如く肩パットよろしくジャケット羽織り、
右手はタバコ燻らせ左手はぽっけの中よろしくジュリーな佇まい。
まぁまだガキンチョだった私にダンディな趣は遥か彼方の世界線。
1995年の来日公演は観に行く事ができ一曲目から翻弄される事に。
歌いながら右に身体を傾けて左のポッケから金の紙吹雪を舞わせ、
歌いながら左に身体を傾けて右のポッケから金の紙吹雪が舞うと。
挙句、何度も片膝つきながら私達に向け愛を歌い続けるダンディ。
カッコいい、これが本当のダンディにしか出せない色気なのかと。
ガキンチョな私は時の迷い子かの如く間違った方向へ迷走してく。
時はフェリーさん来日と同じく三月でしたか久しぶりの恋焦がれ、
子供な私の憧れ経理部に居た早瀬大尉と事務のドジッ娘お姉さま。
お二人とも三月が誕生月でドジッ娘さん気を利かせ飲み会段取る。
いつもながらにドジッ娘お姉様に感謝を伝え心の中で歓喜に咽ぶ。
よし、ここはフェリーさんよろしくダンディに何時までも弟分じゃない、
ちょいと男前な所を見せる!格好のチャンスではないか!と意気揚々に。
ドジッ娘さんが予約したのは新宿のイタリアンなお店だった様な。
一緒に行こうと言われたが少し遅れるからと嘘を付き後からとし、
お店へ行く前に寄り道して露店な花屋で花束を二人分購入し参戦。
今までした事ないけれど脳中フェリーが私にそうさせるのである。
遅ればせて店舗に到着、既に二人は並んで着席済みで私待ち状態。
なんと店舗内はほぼ円卓、カップルや外国人も多く飲食をしてて。
この状況でどうやって花束わたしゃいいのよ!と思いつつ円卓へ。
ロングコートの後ろ手に隠した花束を、颯爽と二人へ差し出した。
二人が目を丸くして驚いたのも束の間、横の外国紳士がワオッと。
他の円卓にいた外国人の方々がボウズやるなぁ的にプチ拍手とか。
や、やめてくれと急に恥ずかしくなり脳中フェリーも居なくなり。
これまた外国紳士なおじ様店員がにこやかに私を席へ着座させる。
震えが止まらん、まだ横の外国紳士が私に向かってサムズアップ。
とにかく三名揃ったとアルフレッドみたいなおじ様ウェイターが、
赤ワイン片手に私のグラスへ注ごうと待ち構えて、え?あ、的な。
恥ずかしさからくる止まらぬ震え、注がれる赤ワインのグラスが、
他の食器類とぶつかって木霊する「ちーん!」の音と少しの静寂。
あ、あれ?さっきまでのプチサプライズ見れたムードがどこへやら。
そそくさと何ごとも無かったかの様に食事の続きを楽しみ始めてる。
グラス「ちーん!」で花束が台無しになったの?
ねぇ教えて脳中フェリー!戻って来てフェリー!
慣れない事はするでなしあがいたってろくでなしで成果は特になし。
大枚持って意気揚々もいつも通り弟分は割り勘しかさせてもらえず。
意気消沈な私は二人と別れた後、タクシーで眠らぬ新宿を後にする。
でも初めて買った花束も喜んでたし終わりよければ全てよし、なのかなぁ。
■ I Put A Spell On You/Bryan Ferry
ヒョロンヒョロン?ペロンペロン?ヌワワンヌワワン?こんな感じ。
バンドのロキシー・ミュージックやソロのボーイズ&ガールズとか、
聴き始めは何だかヌョロンヌョロンな擬音にもならない感じのお方。
何でか勝手にダンディフェリーさんを擬音で認識する様になってて。
93年に出たこのタクシーも正にこんな感じで聴いてて気持ち良くて。
その後すぐに出た94年発売のマムーナも同様に聴いてて気持ち良き。
私のダンディはカッコいいけどカッコ悪く、頼りたいけど頼りない。
それはハード・ボイルでも同様でカッコいい風に見えて弱々しい人。
強そうに見えてやられっぱなしだけど何となく事が収まる感じが吉。
完璧に事を進められる人よりも、困り果てた末に収まる感じが良き。
沢山のミュージシャンを従えて制作されたボーイズ&ガールズとか、
聴いてて気持ち良くなるしフワフワする感じで安眠出来る(失礼)。
名うてのミュージシャンが揃ってる贅沢なこのアルバムは素晴らし。
沢山悩んで沢山の人を揃えてワチャワチャした挙句のアルバムかな。
ボーイズ&ガールズに参加した大好きなベースのトニー・レヴィン、
ドラムのアンディ・ニューマークが氷室さんのこの曲に参戦してて。
こんな曲が当時ドラマのエンディングで何となくかかってて面白く。
■そうは言ってもロキシー・ミュージック
奇抜でいーの?ブライアン・イーノは、すぐ居なくなっちゃうけど。
ロキシー・ミュージックでのフェリーさんはフルパワーで大活躍で。
あれやこれやとギンギラギンで伸し上がっていった様にも見えてて。
そんなロキシーのフェリーさんも、ある意味ダンディズム溢れ返り。
ボーイズ&ガールズの三年前に発表されたアヴァロンこれまた良き。
当時は今世紀最大に音が良いと言われてた?様な気がしますし良き。
ナウでヤングでピンキーな80年代初頭こんな雰囲気のアルバム好き。
因みにサックスのアンディ・マッケイさん布袋さんと客演もあって。
そんな中でもこの曲が私は大好きでアンディ・マッケイここにあり。
いつも通りダダダッ!と走り過ぎる人物紹介の最後は、
日本じゃやっぱりこの曲が超有名なのかなギフトです。