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返却
「どうにかしなきゃいけない」
と思っていたのはきっと、ずっと、そうだった。
10年前も5年前もつい最近もきっとずっと心の隅に思っていた。
ただ、こわかった自分もいた。
そこにもう感情はなくても、変化する日常・関係性に自分が耐えられるかわからなかったし、向こうも耐えられるのか不安だった。
しかし今まですべてを受け入れて許してきた私が、決心して言った初めての拒絶の言葉を氏は案外簡単にすんなりと受け入れたし、最後に会おうとすることもなかった。
「どうにかしなきゃいけない」その想いはきっと氏の片隅にもあったのだと思う。
そして私も感傷に浸るのかと思いきや案外あっさりとしていた。気づいたら2つのごみ袋に収まった私の10年間をゴミ捨て場に捨てて、いつも通り楽しく飲みに行っていた。
一度だけ着信が来ていたけど、それもでることはしなかった。
こういうことは今まで何回もあって、いつもだったら絶対に出ていた。
10年間の思い出と一緒に、いつのまにか氏に依存していた私も一緒にゴミ捨て場に捨てることができたのだ。
まあ緊急性がある用事だったらLINEが来るだろうと思ったけど、LINEはこなかった。氏の中でも何かが変わったのだろう。
4つの鍵がそろった。
今までありがとう、という言葉を最後のLINEにいれたけどそんな言葉が似合うような関係ではない。
ただ、お互いにとってどうにかしなきゃいけない問題が片付いた今、どうかお互いに心穏やかに毎日を過ごせますようにと思う。