【完全版③】 経済が分かる景気指標について
先行指標
将来景気がどこへ向かうか教えてくれる指標
一致指標
現在の景気の様子を教えてくれる指標
遅行指標
過去の景気の状態を教えてくれる指標
大事な考え方(本記事で扱います)
・GDP(国内総生産) = 個人消費(70%) + 投資支出(15~20%) + 政府支出(15~20%) + 貿易収支
・複合的指標
・インフレその他の不安要素
①個人消費に関する経済指標
【完全版①】 経済が分かる景気指標について
②投資支出に関する経済指標
【完全版②】 経済が分かる景気指標について
③政府支出に関する経済指標
【完全版③】 経済が分かる景気指標について
④複合的指標とインフレその他の不安要素
【完全版④】 経済が分かる景気指標について
政府支出に関する経済指標
11. 米国債務残高のGDP比
財政赤字の状況を示す指標
ポイント
・対GDP比で3%までの赤字なら問題ない。
→ GDPは平均で年間約3%の成長を見せるから。
・経済成長より財政赤字の伸びが大きくなった場合、注意が必要。
・財政赤字が持続的にGDP比3%を超えている場合は、金などインフレに強い資産への投資を検討する。
・財政赤字がGDP比3%未満をキープしている国は、資本が集まりやすく経済成長が期待される。
※米国の政府債務(対GDP比) 2021-03 時点で133.6%
https://www.ceicdata.com/ja/indicator/united-states/government-debt--of-nominal-gdp
貿易収支に関する経済指標
12. バルチック海運指数
原料の海上輸送にかかる運賃を示したもの。
バルチック・ドライ・インデックスとも呼ばれている。「ドライ」というのは、鉄鉱石や石炭、穀物などの乾貨物の輸送を対象にしていることが由来。
世界各国の20の主要水域を通る貨物船を対象に調査したもので、船を使用するための用船料を表す指標である。
ポイント
・先行指標
・バルチック海運指数の上昇→製造業の原料需要の増大
・船の需要によって数値が上下する。需要が増えれば用船料は上がる。船の需要が増えるというのは、原料の需要が高まっている時。
・中国の鉄鉱石の在庫と中国経済の状態が影響する。
※積荷の需要とは無関係に船の数が増えると用船料は下がる。
※特定の地域でたまたま船の数が足りなかった時は、バルチック海運指数は上がる。
13. 米国経常収支対GDP比
貿易における輸入額と輸出額の差。米国は、長年貿易赤字の状態から抜け出せていない。輸入のお金は、外国からお金を借りたり、資産を売ったりして賄っている。
ポイント
・輸入のために外国から多額の借金を続けていると、世界に対する負債は膨らみ、返済に長い時間がかかるようになる。その結果、返済できないのではないかという疑念から米ドルの下落につながる。
・一般に景気後退しているときは、貿易収支が悪化し、景気回復局面では、貿易収支も改善される。
・貿易赤字がGDPの5%を超えると通貨下落の危機。
・コンスタントに貿易黒字を出している国は、急速な経済成長が期待できる。
https://www.iima.or.jp/docs/report/2021/ir2021.04.pdf
14. 原油在庫
石油市場は米国経済の需要なバロメータ。世界中に現在利用可能な原油や過疎りん、燃料油などの在庫がどれだけあるかを表す指標。
ポイント
・石油の在庫が少ない時、減っている時、経済活動が上向いていると考えられる。
・市場の期待値は重要で、コンセンサスとの比較が大事。
→在庫が大幅に減ると予測されていたのにあまり減らなかったら、景気は人々が思っていたより悪い。
※低金利の時はインフレ対策として買われることがあるので、在庫量と価格の関係が崩れることがある。
※事故や戦争、ストライキによって原油の供給が一時的に滞るケースがある。
15. 日銀短観
日本銀行が四半期ごとに出している統計で、全国の大企業・中堅企業・中小企業を合わせた約1万社からアンケートを取ったもの。調査内容は、現在の景気や先行きの見通し、仕入価格や販売価格、売上げ、雇用、資金繰りや金融機関の貸出態度など。
ポイント
・先行指標
・数値が正のとき、経済は拡大局面。
・数値が負のとき、経済は後退局面もしくは、不況に突入している可能性あり。
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2106.pdf
16. 対米証券投資
海外から米国の証券(株式、国債、社債など)への投資で流入した資金の量を表す。
ポイント
・債券の需要が強い場合、債券価格は上昇し、利回りは小さくなる。つまり金利は低くなる。
→対米証券投資の数値が上がることでドルは買われやすくなる。(債券は対米証券投資の大部分を占めるから)
・債券の需要が弱い場合、債券価格は下落し、利回りは大きくなる。つまり金利は高くなる。
参考
経済指標読み方のルール―ウォールストリート・ジャーナル式
①個人消費に関する経済指標
【完全版①】 経済が分かる景気指標について
②投資支出に関する経済指標
【完全版②】 経済が分かる景気指標について
③政府支出に関する経済指標
【完全版③】 経済が分かる景気指標について
④複合的指標とインフレその他の不安要素
【完全版④】 経済が分かる景気指標について