週刊金相場展望 2021年10月11日号
投資日報社の代表取締役社長であり、サイクル分析の大家でもある、鏑木高明が毎週執筆を行っている金相場展望のレポートとなります。
鏑木高明 プロフィール
関西学院大学経済学部卒。1995年に世界的に著名な米国のマーケットアナリスト、レイモンド・メリマン氏と提携、国内初の相場サイクルとアストロロジーレポートを発行。
現在、投資日報社 代表取締役
投資日報出版 代表取締役
(株)ワカバヤシ エフエックス アソシエイツ取締役、日本テクニカルアナリスト協会会員。
サイクル、アストロロジーを活かした相場分析には定評がある。
投資日報α編集長
8日発表された9月の米雇用統計は非農業部門就業者数(NFP)が前月比19万4,000人増となり、市場予想50万人増を大きく下回った。また前月の36万6,000人増(改定値)から減速、就業者数の伸びは2カ月連続で鈍化した。一方、失業率は0.4ポイント低下の4.8%に改善(予想は5.1%)。新型コロナウイルスの感染抑制に向けて導入された制限措置の緩和に伴い、労働需要が増えたことが改善につながったとみられている。FRBは、労働市場の動向を見極めながら、11月のFOMCで、国債などの資産購入を通じた量的金融緩和策の縮小に着手するかどうか慎重に判断する模様。
市場動向は発表直後、NFPが予想を大幅に下回ったことから一旦金利が、1.6%台から1.55%まで低下、金相場もスポット市場、直前に付けた安値1,750㌦台から1,780㌦台へと30㌦近く上昇。しかし、その後、前月発表からの就業者数の上方改定や失業率の大幅改善など内容の分析が進むと、テーパリングの年内開始観測が揺らぐほど弱くないとの見方が広がり、金利は上昇。10年債は5月以来の1.6%台へと、もはや修正高レベルを超えてきた。
金はこの煽りを受け、8日の上昇分を全て打ち消し、ほぼトウバ型 (上影の長く下影のない寄引同事線)に近く、期近は1,757㌦で引けた。
金利は先々週こそデフォルト懸念を受け低下したものの、「米国のデフォルト問題はそれほど深刻なものに陥る懸念はなく、ただ単に政争に利用された茶番劇の繰り返しに過ぎない」と述べた如く、すぐさま解決した。
先週次の通り述べた「……そしてこのデフォルト騒ぎは必然的なものであったかもしれない。しかしトレンドは金利上昇との見方を取るなら、プルバック終了後は、株がさらなる大幅な下落をしない限り、金利は再び高値を取ってこよう。7~8月のダブルボトムで底打ちと想定すれば、前の高値1.7%台後半はテストされるだろう」。高値を取ってくるとの見方に変わりはない。ただ金相場はその間弱気に働く。
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