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ゴールドスペシャルレポート ― 蘇る1977~80年の暴騰相場 ― by中原 駿・鏑木高明

“FRBは、恐るべき油断を生み出している”
―ローレンス・サマーズ(クリントン政権時の財務長官)

第一部:実質金利とゴールドの関係 
1. 2019年1月~2021年5月の実質金利と金相場の動向
<米国実質金利と金価格>赤線 金価格(右目盛り:$) 青線 実質金利(左目盛り:%)

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金は通常、金利上昇期には妙味がない商品といわれている。投資家は、金の魅力度を他の資産で得られる収益によって相対的に測る傾向がある。特に金は、元来通貨としての役割を果たし、資産保全効果がある実物資産であるものの、利息を生まない事で、他の資産が収益を生んでいる場合には金の保有はコスト増となる。


ただし、名目金利の上昇だけでは判断出来ず、実質金利との関係で判断する必要がある。


上の図を見ると、実質金利が低下すると金価格が上昇する―という反比例の状態になっている。実質金利は「名目金利-期待インフレ率」で表され、名目金利には「国債利回り」、期待インフレ率を示す代表的な指標には「ブレーク・イーブン・インフレ率」が用いられる。


一般的に、実質金利がマイナス(2020年4月以降マイナスで推移)であれば、金融政策は緩和局面にあり、プラスであれば、引き締め局面にあると判断される。特に、実質金利がマイナス圏からプラス圏に向かって上昇する動きでは、市場は金融政策の転換が起こると判断。実際、金融政策は引き締めに向かう確率が高くなる。逆に、プラス圏からマイナス圏への動きは、緩和を示唆していると判断する。


前ページのチャートからは、実質金利が下げ止まりから反発が見られると(2020年8月~21年3月)、金価格がトップアウトし、調整に入った事が判る。


そして2021年3月以降、再び実質金利が低下しており、この傾向が現在の金価格の上昇を支えている。実質金利の低下傾向が続くか、安定すれば、金価格の上昇も継続することになる。現チャートからは実質金利が4月の戻り高値を上回ってくるようであれば、金の反転下落には警戒すべきであろう。


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