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忘備録(2024年7月18日)

出演者からのインティマシー・コーディネーターをつけてほしいという要望を退けて作成した映画に関するネットのニュースをみて口の中が苦くなった。その作品の原作となった漫画を読んでいたこともあって、内容が内容なだけに、要望を退けられたにも関わらず出演された方の心身の削られかたを想像すると、胃のあたりがぐぅっとあがりそうになる。

自分自身のことを少し思い出す。
オーディションを受けたあとで水着のシーンがあるとわかり、当時の事務所に即電話で、聞いていた話と違う受かっても水着のシーンがあるなら出演しない、といって受かった仕事を断ったこと。(そのあと事務所が菓子折り持ってお詫びに行ったときいて、下っ端ペーペーの役者の自分のせいで事務所に申し訳ないことしたな、と当時は思ったけど、いま考えると事務所が仕事内容を具体的に私に言ってなかったから制作に詫びに行ったのではないかと思われる。)
事前に作品の中の重要な場面で、水をかけられた女子生徒(私の役)の白シャツが濡れて下着が透けるというシーンがあることを説明されて、了承し、撮影に臨んだこと。(撮影は秋か冬で寒い中いろいろとスタッフさんが工夫をしてなるべく短い時間におさまるように撮影を進めてくださった。いい現場だった。)
オーディションの帰り、エレベーターのなかでキャスティング会社の人(男性)と二人きりになったときに頭をぽんぽんされて、はぁ?!となって二度とその人が担当するオーディションや仕事は受けません、と事務所にいったこと。

全ておよそ20年前の話で、いまここで書いたことに関連する人や会社や事務所とはもうご縁がないので、いまはまったく関係ありません。 

たぶんここに書いたこと以外にもいろいろあったかもしれないけど、思い出せない。のは、意識的に忘れたのかわからないけど、今思うことは、こういうのって知らぬ間に積み重なって、やがて大きいしんどいやつをくらったんじゃないかと。
もし水着のシーンをなんとなく受容して出演したら、さらに露出のある役柄も、事前確認しなくても私は引き受けた(引き受けざるをえなかった)んじゃないか、とか。頭をぽんぽんしたキャスティングの人は、顔を合わせるたびに身体を触ってきたのではないか、とか。
水濡れ下着透けシーンも事前によく話してくださってきちんと作品ができたから、その後もいい関係で仕事ができた、とか。違ってたらどうなってたんだろうとか。

私はたまたま大きいのくらわなかっただけで、ラッキーなのかもしれない。いや、現状ローカル女優で、小さくて吹けば南半球ぐらいまで飛んでいくようなもんだし、そんなやつが言ってることはあてにならないかもしれないけど。
けれど。
はじめに書いたニュースをきっかけにいろいろ思い出して考えて。自分の心身を守りながら、ケアしながら仕事をするっていうことの大切さをしみじみ考えた。

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