トランプ銃撃事件とリヴィング・カラー、そして個人崇拝の危険性
2年前の7月8日、安倍晋三元首相が演説中に銃撃され亡くなりました。
それから約2年後の2024年7月15日、米国でトランプ元大統領銃撃事件が発生。
犠牲者は出ましたがトランプ元大統領は一命を取り留めました。
株式市場は現金なもので、早速トランプ元大統領再選を見込んだ動きとなっています。
しかし、右耳から流血しながら拳を突き上げるトランプ氏の挙動には驚きました。
彼はかつてこんな言葉を残しています。
緊急時にその人間の本性が表れるとはよく言いますが、本当にそうしたマインドが染み付いているのでしょう。
これは持って生まれたものと言っても良いかも知れませんね。
トランプ氏を信奉する支持者は、言行一致のその姿を見てさらに支持を強めたのではないでしょうか。
しかし、先週の都知事選を見ても思いましたが大衆は力のある(ありそうな)指導者が好きです。
私も好きな偉人や有名人はいます。
・・・しかし、ノンポリで信仰している宗教もありませんし、最近流行の「推し活」に該当するほど特定の個人にのめり込んだことはありません。
文化庁の宗教年鑑によると平成30年間でキリスト教系は5万人増、仏教系は4000万人減となっているそうで、日本では宗教離れが加速しているそうです。
その一方で、個人に大衆が群がる傾向は何も変わっていません。
“フォロワー数◯◯万人のインフルエンサー”がその最たるもの。
投資の世界もそうで、ウォーレン・バフェットさんがその最高峰でしょう。
(彼はインフルエンサーではなく、投資で成功した一人の人間に過ぎませんが)
知人のトレーダーは「どんな投資手法や投資理念を選択するかは、一種の宗教のようなもの」と語っていましたが、それには同意です。
この仕事をしていると時々、特定の投資系Youtuberや投資顧問、インフルエンサーにのめり込んで特大の損失を抱えてしまったというご相談を頂きます。
ご相談に応じていて感じるのは、自分で考えるという最も大事なことを忘れてしまっている方が少なくないということ。
このnoteの題名に挙げたリヴィング・カラーは米国のロックバンドです。
私は為政者になろうとする方の演説を見ると、リヴィング・カラーのCult of Personallyという曲が脳裏を過ります。
伸びのあるコリー・グローヴァーのヴォーカル、ヴァーノン・リードの流麗なギター、うねるマズ・スキリングスのベース、タイトなウィル・カルホーンのドラム、、、、いやー最高ですね。
そして詩が良い。
Cult of Personallyとは個人崇拝、特定の人間に深くのめり込むことです。
この曲ではそれを皮肉っているのですが、素晴らしい和訳サイトがありましたので併せて掲載しておきます。
人に期待するのは良いけど盲信しちゃダメですね。
いま、国内では都知事選前後の石丸さんの発言が話題になっています。
印象操作だという批判もあるようですが、やはり批判が出るくらいが健全なのではないでしょうか。
「動画で良いこといってる=人柄もいい」・・・となりがちですが、そんなことは分かりません。言うのは難しくないんですよ、言うのは。
ちなみにCult of Personallyの冒頭のナレーションはマルコム・Xの演説を拝借したものです。
マルコム・Xもまた、演説中凶弾に倒れた指導者でした。
マルコム・Xはネイション・オブ・イスラムという宗教に傾倒した時期がありました。
しかし、教祖のイライジャ・ムハンマドが女性信者数人と性的関係を持ち、子の認知を巡って訴えられたことを知って失望、教団と決別しています。
これは賢明な判断でしょう。
無理が通れば道理が引っ込むと言いますが、考える事を放棄し特定の宗教や人物を盲信している原理主義者とは会話が成り立ちません。
私は常々、
「先物やオプション売買、個別銘柄の短期売買で証券口座のお金が無くなったら、間違ったことをしている可能性が高いから絶対に追加入金しないで下さい」
と説いています。
資金管理、エントリータイミング、リスク管理、何かが間違えているからお金がなくなった訳で、お金がなくなったらまずは検証しましょうという話です。
これを守りさえすれば損失は固定出来るのですが、お金がなくなる度に検証しないまま教祖の支持を仰ぎ追加入金、ウン千万お金を溶かした方を知っています。
それでも自己責任になってしまうのが、この世界。
投資・トレードの世界で誰かを盲信するのは危険です。
誰かの意見を参考にするのは良いですし、信念は大事です。
ただ、健全な懐疑心は欠かせません。
それにはリテラシー、知識も必要です。
勉強する、自分で考える、検証する、この姿勢は必要不可欠だということを忘れないでください。
何度も書きましたが、ウマイ話はありません。