日本の新興市場をどう見る?
日経平均株価とグロース250(旧マザーズ指数)の過去10年の月足チャートを並べて見ました。
グロース250指数の2014年9月始値は969ポイント。
2024年6月17日終値が638ポイントですので10年間で3割減。
日経平均株価の2014年9月始値は15454円。
2024年6月17日終値が38102円ですから10年間で約2.5倍。
同じ日本の株価指数とは思えないような動きになっています。
上のチャートは10年間の動きですが更に遡ると2006年1月につけたグロース250(旧マザーズ指数)の最高値は2800ポイント。
18年間で高値から4分の1になってしまいました。
暁投資顧問創業から10年、新興市場の観察を続けてきました。
この10年間でグロース250が強かった時期、グロース市場に対して前向きな見通しを語る識者も多かったです。
2017年-2018年、そしてコロナショック後の巣ごもり特需期待で上昇した2020年の上昇時、いずれも「新興市場は底打ちした!」というような声が多かったです。しかし、私は一貫して懐疑的に見ていました。
全部が全部という訳ではありませんが、構成銘柄の質が悪かったからです。
私宛てにきた銘柄相談に対しても大半は慎重に見た方が良いと返答してきました。
グロース250は東証グロース市場指数の算出対象のうち、上場時価総額上位250銘柄により構成される株価指数ですが、
いまのグロース市場の時価総額上位10銘柄をみますと
2160 ジーエヌアイG 予想PER16.2倍 PBR3.3倍 配当利回り0%
4478 フリー 予想PER赤字 PBR7.64倍 配当利回り0%
5595 QPS研究所 予想PER439倍 PBR9.89倍 配当利回り0%
7157 ライフネット生命 予想PER19.7倍 PBR1.34倍 配当利回り0%
7342 ウェルスナビ 予想単PER204倍 PBR6.72倍 配当利回り0%
5253 カバー 予想PER23倍 PBR10.47倍 配当利回り0%
9348 ispace 予想PER赤字 PBR6.98倍 配当利回り0%
4485 JTOWER 予想PER赤字 PBR1.49倍 配当利回り0%
5842 インテグラル 予想PER19.8倍 PBR7.21倍 配当利回り0.5%
9166 GENDA 予想PER26.8倍 PBR5.53倍 配当利回り0%
業績が好調なのは保険の7157ライフネット生命と、独立系投資会社の5842インテグラル。
この2社は株価も堅調に推移しています。
アミューズメント施設の9166GENDAの業績も悪くはありませんが6月11日に出た2024年4月期1Q決算の純利益が前年同期比-22.8%と今ひとつ。
これだけ世界的な株高で投資ブームのなか、全自動の資産運用サービスで有名な7342ウェルスナビの業績が冴えない点は意外ですね。
業績と株価は必ずしも連動しません。
中には業績が赤字でも売上高が大きく伸びていれば期待先行でグングン株価が上昇、
その後期待通りに業績を伸ばしたとしても織り込み済みで株価が下落するパターンがあります。
また、2160ジーエヌアイGのようなバイオ株は業績の伸びよりも開発中の新薬に期待が持てるIRのほうが好感される傾向があります。
同社の通期純利益だけみますと2020年度の約純利益は12.5億円。
昨年2023年度の純利益は約81億円です。
純利益、3年間で約7倍。
一方でジーエヌアイGの株価をみますと2020年10月に4070円の過去最高値をつけた後は急落。
昨年4月に998円の安値をつけたあとは好業績を織り込む形で急騰し今年2月には3865円まで戻しました。
しかし、純利益が約7倍に伸びたにも関わらず株価は2020年10月高値に届きませんでした。きょう2024年6月17日の終値は2376円。
2月から4ヶ月で急落してしまいました。
バイオ株は本当に特殊で、材料次第といった値動きをしますので先行きの予想は難しいですね💦
話が逸れましたが、グロース250の構成銘柄の上位の銘柄は赤字銘柄も多くやはり質が良くありません。
加えて金利上昇は新興市場にとってネガティブ。
グロース250は6月に入って自立反発していますが、銘柄の質は良くありませんし、市場環境を考慮しても私はまだ本格的に底打ちしたとは見ていません。
米国であったミーム株のように瞬間的に急騰する場面があったとしても、長期低迷はまだ続くのではないかと見ています。