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登別・伊達 研修視察レポート2024/12/7~8

研修目的

北海道で一番有名な温泉街といえば温泉の素なども作られている登別ではないかと思う。

日本人観光客だけでなくJRパスで周遊する外国人観光客の立ち寄り先としても頻繁に問い合わせがある観光地である。

個人的には何度も車では訪れたことがあるが、公共交通機関を利用したことがないので、観光客の目線に立ちアクセスを確認したい。

また近年日本国内の移住者にも人気がある登別市近隣の伊達市にも立ち寄り観光客が立ち寄れそうなスポットを探索してみたい。 

研修日程

1日目:
札幌8:43→登別9:56(特急北斗6号)
登別16:34→東室蘭16:51(JR室蘭本線 ・室蘭行)

2日目:
東室蘭10:09→伊達紋別10:27(特急北斗6号)
伊達紋別14:20→札幌16:04(特急北斗11号)

研修内容

● 登別伊達時代村
● のぼりべつクマ牧場
● 地獄谷散策
● だて歴史文化ミュージアム
● 藍染体験
● 道の駅だて

■交通アクセスについて

― JR北海道 ―

登別方面の列車は特急北斗の函館行きとなる。
1日の運行本数は11本程度で、旭川行きの特急カムイに次ぐ運行数となっており、列車でのアクセスは割と容易である。

但し沿線上に観光地が点在し混雑するのと、完全指定席化されたため、特に観光シーズンは早めの予約をおすすめする。

12月の上旬でまだピークシーズンではないが、日曜日のため札幌に戻る列車は満席とアナウンスがあった。

登別で乗降する外国人乗客が多く、乗降に手間取るためか10分ほど遅延が発生していた。

JR登別駅の有人窓口は16時15分に閉まり、自動券売機も1台しかないため、外国人観光客の長い行列が出来ており、東室蘭行きの普通列車の切符を買うため並んだが、危うく予定の列車に間に合わないところだった。

自動券売機は日本人の私でも分かりづらいと思うくらいなので外国人が切符購入に手間取るのは仕方がない。

一番いいのは全ての駅をIC化するか、クレジットカードのタッチ決済などに対応するようにすることだが、JRは日本国内で何社にも分かれているし、都市部以外では導入は難しいのかもしれない。 

伊達市はJR伊達紋別駅があり、登別同様、特急北斗の沿線上にある。
特急での登別からの所要時間は約30分。

 登別温泉街での宿泊代金が高騰しているので、今回はJR東室蘭駅近くのビジネスホテルに泊まった。
JR登別駅からJR東室蘭駅までは、特急で約10分、普通列車で約17分。

― バス ―

登別、伊達は道南に位置しており、メインのバスは室蘭に本社がある道南バスになる。

道南バスは交通系ICカードには対応しておら 、現金とペイペイに対応していると認識していたが、最新の登別方面の時刻表を見ると、NAとNC二種類のバスが運行しており、NAのバスのみクレジッドカードのタッチ決済が利用できると記載があった。

NAは足湯入口まで行くバスで前ドアから乗車し、運賃先払いとなる。
ただ、このタッチ決済も落とし穴があり、マスターカードは対応していない。一応、停留所に記載があるがよく見ないと気が付かない。

JR登別駅前から登別温泉方面のバスが出ており、始発なので男性の係員2名が外国人の対応にあたっていた。

外国人観光客は日本を周遊している方も多く、SuicaなどのICカードをお持ちの方が多く、地方都市でも使えると思っているのか、まずICカードを出し、ダメだと言われ、次に札を出して両替してと非常に時間がかかるので、バスがなかなか発車できない。

始発ならまだよいが、途中乗車の場合全て運転手さんが1人で対応しなければならず、かなりのストレスがかかっているようだった。
乗降に手間取るため時間調整が必要なのか途中の運転はスピードを出さざるを得ない感じである。

登別温泉地区のバス料金は、10月の改正で一律料金350円となっていた。
道南でのバス運行状況は「バスキタ!道南」というアプリで確認することができる。

去年旭川で使ったときも思ったが、アプリの使い勝手が悪く、バス停の名称を正確に入力しないと検索ができない。

今回、登別伊達時代村には登別駅から道南バスで向かったが、バス停がまぎらわしいので要注意。
登別時代村前と三愛病院登別伊達時代村前というのがあり、前者がテーマパークの目の前で停まるバス停となる。 

伊達市内でのアクセスも道南バスになるが、あまり知られた観光地ではないのでバスの本数が少ないので要注意である。
伊達市街からは室蘭方面、洞爺湖方面、大滝村方面にバスが出ている。

今回伊達市街からJR伊達紋別駅までのバスの本数が少なく、帰りの札幌への特急乗車時間が迫っていたためタクシーを利用したが、料金は1000円だった(約2キロ)。

流しのタクシーがあまり走っていないので、だて歴史文化ミュージアムのスタッフにタクシーの手配をお願いした。

北海道の田舎町に行くときは万が一のため、その町のタクシー会社の電話番号をあらかじめ調べておいたほうが良いかもしれない。

JR登別駅ロッカー
登別温泉方面バス停
登別伊達時代村前バス停 
伊達市のバス停

●登別伊達時代村

仙台藩ゆかりの武家屋敷を模した店舗など、江戸時代の街並みを再現した歴史テーマパーク。

来場者は9割くらいが外国人観光客のようで、アジア系がほとんどだが、数名欧米の方を見かけた。日本人の修学旅行と思われる団体も来ていた。

江戸独楽やこけしのキーホルダー等の絵付け体験ができる江戸屋や手裏剣投げや弓矢を体験できる体験道場、射的、輪投げなどができる遊戯館は修学旅行の日本人でにぎわっていた。

忍者怪々迷路、妖怪びっくり小屋、おにゃんこ寺などの入場できるものはお子様でも楽しめると思う。
うつろい館ではお殿様やお姫様に変身して記念撮影ができる。

ここは8年くらい前に来たことがあり、忍者ショーのみを観覧したことがある。
今回はプログラムを確認しながら、日本伝統文化劇場での[花魁ショー]と大江戸劇場[侍(SAMURAI)ショー]を観覧することにした。

 

仙台藩風の建物(店舗)
仙台藩風の建物(店舗)
伊達時代村冬景色
妖怪びっくり小屋
おにゃんこ寺

― 花魁ショー ―

花魁から接待を受けるお大尽様役を観客の中から男性一人を選び、簡単なセリフを言ってもらい、日本伝統のお座敷遊び「投扇興」を体験してもらうという内容。

司会進行の方が簡単な英語、韓国語、中国語で面白おかしく説明をし、観客巻き込み型のショーなので観光客にも結構受けていた。

ショーは二つ観覧したが、こちらのショーが外国人観光客に人気のようで、ほぼ満席だった。団体ツアーはこのショーのみ観覧して帰っていった。

花魁ショー
日本伝統文化劇場

 ― 侍(SAMURAI)ショー ―

英語の解説なども一切なくショーの内容自体も単調なので観客は少ない。
日本刀を使用したショーなので、若干欧米人観光客が入っていた。

侍(SAMURAI)ショー
大江戸劇場 

●のぼりべつクマ牧場

のぼりべつクマ牧場は、登別の温泉街の中にあり、登別温泉バスターミナルからだと徒歩5分ほどの距離だが、クマ牧場へのロープウエイ乗り場が小高い場所にあるので、急な階段を上らなければならない。

HPによると、登別温泉街 ⇔ ロープウェイ乗り場間の送迎を行っているようなので、歩くのが大変な方でも利用しやすい。

ロープウェイではちょうど、「ゆけ!とば号!」が見られた。
ゴンドラにシャケを一週間ほど吊るして乾燥させてクマの餌として提供されている。

登別は札幌より確かに雪は少ないが、寒さはあまり変わりなく、この日は札幌より気温が少し低かったので、屋外で長時間観光するのは体が冷え切って大変だった。
軽食やお土産を提供する建物があるので、そこで暖をとることはできる。

クマ牧場案内看板
急な登り階段
ゆけ!とば号!

第一牧場は体の大きいオスが集められており、ガラス張りのトンネルがヒトのオリになっていてクマを近くで観察できる。
ここには売られているクマの餌を投入する筒がついているので子供たちに人気だった。

クマのアスレチック(屋内)、アヒルの競争(屋外)などのイベントも行われているので外国人観光客も楽しんでいた。
温泉街にあるので観光客数は登別伊達時代村より多かった。

第一牧場(オス)
ヒトのオリ
クマのアスレチック

第二牧場はメスが集められており、オスよりも動きが活発で、さまざまなポーズでアピールしおやつをもらっていた。

ロープウェイを降りてすぐ右に子グマの檻があり、二頭でじゃれあいいつまでも見ていられるくらい可愛かった。
HPによると、12月22日まで公開予定のとことで、見られてラッキーだった。

かなり昔、夏に来たときは、奥にあるユーカラの里(アイヌコタン)も見学したが、冬季は積雪状況によって観覧できない場合がある。

第二牧場(メス)
子グマたち

●地獄谷散策

登別温泉の観光で欠かせないのが地獄谷散策。
北海道を代表する温泉地、車では何度も来ているが、バスを利用して来たのは初めて。

登別温泉バスターミナルからは徒歩15分(約1キロ)、極楽通りというお土産屋やセブンイレブンが並ぶメインストリートを北にすすむ。

地獄谷最寄りのバス停は第一滝本館前、バス停の傍には源泉公園(間欠泉)がある。帰りのJR登別駅まではここから乗車した。

地獄谷遊歩道は冬期でも利用できるが、大湯沼へつながる「大湯沼遊歩道」、地獄谷第2駐車場から大湯沼へつながる「舟見山遊歩道」、天然足湯から大湯沼へつながる「大湯沼川探勝歩道」などの散歩道は紅葉の時期に歩いたことがあるが、冬季は雪が積もると通行止めになる。

あまりに寒いので、登別パークサービスセンターでバスの時間まで休憩をとった。

地獄谷
登別パークサービスセンター
団体バスが並ぶ

●だて歴史文化ミュージアム

道の駅だて歴史の杜の隣にあるミュージアム。
ここの道の駅は野菜が豊富で安いので何度も来ていたが、ミュージアムは初訪問。

オープンは2019年ということでまだ新しい。
以前あった伊達市開拓記念館は2017年に閉館したようだ。

今回こちらのミュージアムを訪問するにあたり、アクセスをあらかじめ調べていたが、最寄りのバス停が「開拓記念館前」という情報を得ていたが、現在バス停の名前が変わっていて、「伊達道の駅・カルチャーセンター前」になっていた。

道の駅の隣にあることは知っていたので無事に下車することができた。

現在北海道に居住する人々の祖先は先住民以外は本州から移住してきた人たちになるが、ここ伊達市は仙台藩主伊達政宗のいとこ亘理伊達家第2代当主伊達成実が宮城県亘理町一帯を治めていたが、15代邦成の時(明治時代初期)に新天地を求め家臣など総勢2700人が移住した地だそう。

展示内容は、2021年に世界文化遺産に登録された北黄金貝塚公園の紹介のほか、アイヌの歌人・キリスト教伝道者バチェラー八重子の紹介、仙台藩亘理伊達家が移住の際持ち込んだ貴重な品の紹介など、300円の入場料の割には充実した内容だった。

たまたま今回は、企画展「洛中洛外図屏風」の開催期間中(10月5日–1月19日)で、4年ぶりの公開となる貴重な「洛中洛外図屏風亘理伊達本」を見ることができた。

洛中洛外図屏風とは、室町時代から江戸時代にかけてつくられた京都の市街地及び周辺が描かれた屏風で国内外160点以上確認されている。

「洛中洛外図屏風亘理伊達本」は中央に二条城が描かれていることから江戸時代中期のものと考えられているそうだ。

本館 1階「ラーニング・スタジオ」では、ワークショップや講演会、様々な展示が行われており、現在は縄文遺跡群の展示が行われていた。

本館 1階「ライブラリー・コモンズ」では歴史や文化に関する書籍を自由に読むことができる。

また外の敷地内には迎賓館や旧三戸部家住宅なども見ることができる。
旧三戸部家住宅は道内最古級の開拓農家の建物で仙台の南地方の建築様式で作られている。

今年岩手県の花巻で見た江戸時代の農家建築にそっくりだった。
なかなか北海道では見られない建築様式なので貴重である。

代々受け継がれた武具
1階「ラーニング・スタジオ」
旧三戸部家住宅
「洛中洛外図屏風亘理伊達本」
二条城が描かれている 

●藍染体験

だて歴史文化ミュージアムの体験学習館には藍工房があり、藍染め体験が出来ると聞いて訪問した。

日本国内では四国の徳島県が藍の産地として有名だが、四国出身の移住者によって北海道の一部地域でも藍が栽培されていて、なかでも伊達市は北海道で最も早い明治7年から栽培が始まり、現在では北海道では唯一篠原家でのみ生産が行われているとのこと。

こちらの藍工房は一度で70人が利用できるとのことで、北海道内の修学旅行生などを受け入れているほか、ハワイの日系人の団体が参加されたことがあるそう。

藍染体験はハンカチやTシャツなど7種類のメニューがあり、それぞれ料金と所要時間が異なる。

工房内には藍染されたバンダナやTシャツのサンプルがあり、壁に型染用の型がきれいに並べられていて、その中から好きなものを選んで染めることができる。

ハンカチだと550円とお手頃価格なので気軽に体験できて良いと思う。
今回私はTシャツのしぼり染にチャレンジ、所要時間は1時間半ほどだった。

まず、講師の方から伊達市の藍染の歴史、藍染の原料すくもの作り方についてなどのレクチャーを受けてから、Tシャツのサイズを選び、好みの模様になるよう布を縛ったり結んだりしていく。

輪ゴムできつく縛るのだが、すぐ切れてしまい困った。
初心者にはどのように縛ればどのような模様が出るのか理解するのが難しい。

縛り終わったら、Tシャツを藍染液に浸していく、講師の方が一緒に手伝ってくださり、液の中で優しく布を広げて細かく揺らしたり、縛った部分をもんでいく。

液に浸している際は空気に触れないよう、藍染液の10センチ下くらいで固定し上に浮かばないようにしながら作業するのがコツ。
3分程浸したら、一度外に出し空気に1分ほどさらして同じ作業を3度繰り返す。

浸す回数や長さにより出来上がりの色も変わってくる。
最後に水で何度か洗うと綺麗な柄が浮き上がってきて感動した。

初心者なのに無謀にも難しいTシャツにチャレンジして思ったとおりの柄は出なかったので、また機会があればリベンジしてみたい。

藍染した製品は濡れたまま袋で持ち帰り、自宅で色止め作業をするのだが、Tシャツは三か月ほど放置する必要があり、まだまだ着られそうにない。
ハンカチ・バンダナだと7日から10日間と短い。

藍染は中国やベトナムなどにもあるので、アジアの観光客には親しみやすいし、欧米の観光客には新鮮な体験でおすすめできる。
ただ、駅から歩くと30分以上かかるしバスの本数は少ないのでアクセスは不便である。

藍工房
藍工房
藍染液
ゴムで縛って模様をつくる
染めあがったTシャツ

体験学習館には刀鍛冶工房もあり、予約制で刀剣とその材料や作業工程の展示が見学できる。

刀鍛冶工房 

●道の駅だて

だて歴史文化ミュージアムの隣にあるので、一緒に訪問するのがおすすめ。

伊達市は温暖なので野菜の生産が盛んで扱っている野菜の種類が豊富で安い。この時期は白菜やホウレンソウ、近隣の壮瞥町のリンゴなどが売られていた。藍染体験の講師の方によると、ここの道の駅の売り上げは北海道一らしい。

お昼ごはんを食べ損ねていたので、ホタテご飯を購入して帰りの特急車内で食べた。今まで食べたホタテご飯の中でも、ホタテがとても甘く非常に美味しかった。

当日は晴れていたが寒かった。
雪は登別よりさらに少なく、気温もマイナス10度以下にはめったにならないとのこと。

道の駅だて歴史の杜
絶品のホタテご飯

研修報告

今後の案内業務にむけて

 実際にJRや路線バスなどの公共交通機関を利用して研修を行ってみたが、登別までの特急や温泉街までのバスは他の地方の観光地と比べると本数が多く、観光のオプションが少なくなる冬期でも開いている施設が多いのでお勧めしやすいと感じた。

登別での観光は、どこか一か所行くならクマ牧場が温泉街からも近く、万人受けするので良いかもしれない。

屋外での観光がメインなので冬期は屋内休憩所などで暖まりながら観光しないと体が冷え切ってしまう。
あまり欲張らず、1か所か2か所観光する感じが良い。

伊達時代村は時代劇ショーのほか、体験などもできるので、忍者に興味のある欧米人には受けるかもしれない。
入口には団体用の大きなレストランが建っておりアジアのツアーを受け入れているようだ。

伊達はアクセスがあまり良くないのだが個人的にはとても素敵な街だと思う。車でのアクセスになるが、有珠善光寺や北黄金貝塚公園も風情があって良い。北海道の湘南と呼ばれ国内の移住者に人気なのもわかる気がした。

外国人観光客があまりいない場所をご希望の日本人観光客でレンタカーの方にはおすすめしてみたいと思う。
                                                                                             ( reported by MH )

 

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