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『匂い』で印象付ける観光地の提案

人間の五感の内、嗅覚に働きかける『匂い』というのは、結構あなどれません。私自身、この『匂い』をとても重要に思っていて、自分自身常にコロンをまとっているし、それがないと気持ちが落ち着かないというか、逆に不自然と感じるくらいです。また無臭の人(厳密にはそんな人いないと思いますが)には何の魅力も感じないほどです。私自身のことはさておき、観光地に行った時にはその地の『匂い』があります。例えば、京都へ行けば、神社仏閣も多いので、お香の匂いや古い木造建築等の匂いが感じられます。ビーチにサーファーが多ければ、サーフボードのワックスの匂いとか。海外に行けば、ところによっては香辛料の匂いとか。その各々の匂いを感じることで、「ここに来た」と感じることってありませんか?
匂いについて少々うるさい自分でも、例えあまり好きではない匂いだったとして、それがパブリックであれば意外と許せてしまうし(どうしようもないという一面もある)、逆にその地を引き立てたり印象付けたりしていて、あとになってみると、記憶に香りが結び付いて、より強い印象として残っているような気がします。

匂いについては好みもあるので、難しい事柄なのかもしれません。特に日本人は「好み」というよりは「うるさい」。「変な匂い(好みの問題)」だとか「匂いがキツイ(量の問題)」だとか、だから「無臭がいい(匂いからの転嫁)」とか。でもそれを言う人、自分が発している匂いに気付いていない人が結構多い。体臭、家屋臭等。またコロンや香水をつけていない(好きではない)人でも、衣類に柔軟剤の匂いがバッチリ付いていたりする。それは大丈夫みたいな、私からしてみたら変な理屈。

これまで観光地において、この『匂い』について全く考えられてこなかったような気がします。しかし実際はというと前記したようにいろいろな匂いがあり、多くの場合はその都度いろいろな匂いがしています。それを「意図的に」という提案です。匂いは人を惹きつけます。「惹きつける」という観点から考えれば、観光と非常に相性がいいのではないかと考えています。

私は特に小規模観光地にオススメです。単純にコンセンサスを得やすいと思いますし、大規模よりは試みやすさがあります。他ではそうしていないことで、十分一つの個性となりますし、意図的に開発というのもアリだと思います。商品に繋がる可能性もあります。液体の芳香剤のようなものやアロマのように扱ったりするとか、お香のようなものにするとか等々。いずれにしてもフワ~っと自然に匂いが感じられたらいいですね。
嗅覚に働きかける『匂い』はものすごく奥が深いですし、いろいろなアプローチが考えられます。自然が多いような観光地には、その場のイメージ通りの匂いにしてより強固なイメージを、またあえて都会的なエッセンスでコントラストを効かせてモダンな匂いのアプローチにしたり等々。

匂いとは逆に消臭ということも考えられます。例えば漁港の街はどうしても魚の生臭さを感じてしまいます。その匂いがいいという人もいるかもしれませんが、私はちょっと…パブリックな匂いと思えばそういうもんだとも思いますが…消臭あるいは、お寿司屋さんのイメージでお酢の匂いや、どうにかしてオーシャンを連想させる匂いもアリかもしれません。いずれにせよ、扱うものは変わらないのだから、イメージアップの仕掛けを「匂い」からというのはアリな気がします。

観光地において、何かと取り沙汰されるのは目に見えるものですが、この目には見えない「匂い」は意外と盲点ではないでしょうか?

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