---夏も君も---
ここ数日天気がいい。
やっと春を感じる。
通り過ぎて夏すら感じられる
そうだ。夏なのだ。
これから君とアイスを食べて、浴衣を着て花火を見るはずだった。
去年の花火大会は別の誰かと行ったな。下駄で靴擦れを起こして、沁みる親指を庇いながらお風呂に入ったっけ。
今年はウイルスってやつが私と君の邪魔をする。
イベント事は軒並み中止、ステイホーム、ソーシャルディスタンス。
くっついて屋台に並ぶのも密。
ようやくお付き合いができても、会えないんじゃ仕方がない。
誰も彼も当たり前に来年が来る前提で話してるけど、私たちが次の夏も一緒にいられるとは限らないのに。
そう考えていると何だか無性に恋しくなってLINEする。
「来年の約束が欲しい」
遠い先の約束をするのは苦手なのに、この人と夏をすごしたいと思った。
それくらい夏は特別なのだ。
曖昧な言い方は故意か無意識か。
「結婚ってこと?!」
なんて更に未来の話を持ち出されても嫌な気はしない。
「それはまだ早いでしょ」
そうなったらいいな、とちょっと思った。
言わないけど。
なにもなくても、特別な君と特別な夏にできそうな予感がした。
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