センねら!/cennera!現行ルールの問題点
2024年10月13日に発売を控えた新TCGタイトル「センターをねらえ!」及びカード規格「cennera!」にはいくつかの問題点があるように感じたため、ここに記す。
ゲーム上の駆け引きを逸脱した、非紳士的行為がルール上可能になってしまっている点もあるため、発売までに改善されることを祈る。
2024/9/1追記:今後、悪用されそうな仕様やルールについては公式の問い合わせフォームに送るにとどめ、今回のような記事にまとめるのは辞めようかと思います。無いとは思いますが、ゼロデイ攻撃を誘発する可能性があるためです。
続きの記事を書きました。結論から言うと、ゼロデイ攻撃もクソもなく、ルールの穴に対処する気は無さそうな感じでした。
https://note.com/touneko/n/nca12950296d6
カードを裏面で区別できないよう要求されていない
恐らくゲームルール>【準備】内の「裏面不透明のカードスリーブ各自20枚」は、自分の使用する準備カードをこのスリーブに入れ、裏面では区別できないようにすることを意図している。
ただ、以下の点から「ルール」として十分に機能していない。
スリーブへの指示が不足している
ルール内でスリーブに言及されているのが、
の部分のみであり、使用するカードをこのスリーブに入れる指示も、スリーブに入れたカードを使用する指示もない。
しかも、進捗公開とはいえ、公式から公開された動画ではカードがスリーブに入っていない。
裏面が丸出しのままとなっている。
また、このルールでは、「異なる種類のカードスリーブを使用する」ことが求められていて、恐らくこれはプレイヤーそれぞれが異なる種類のスリーブを使用するという意味だとは思われる。
しかし、プレイヤー1人が複数種類のスリーブを使用することが禁じられていないため、20種類のスリーブを1つずつ使用することで、裏面での判別が容易に可能となってしまう。
カードそのものの物理的な要素への指定が不足している
cennera!規格でカードそのもののサイズへの指示は
のみである。(厚さは8/24に追記されたため、それ以前は厚さの指定が一切無かった)
サイズは厳密に指定されているので問題ないが、厚さが「推奨」という弱い表現となっている。
恐らくはそこを厳密に指定すると、特に二次創作でのカード制作が困難になることに配慮してのことだと思われる。
しかし、推奨というだけであって大きく逸脱することが禁じられていない。
よって、ものすごく分厚い紙やエンボス加工、極端なところでは金属製のカードであっても一応は「合法」である。
改善案
「裏面で区別できないようにすること」と書いてあれば、複数種スリーブだの異素材だの厚さだのを持ち出さなくても、「常識で」判断できるようになるのでとりあえずそう書いておいて欲しい。
もしかしたら裏面で区別できてもいいルールな可能性もあるし。
8/26追記
動画についてとスリーブ使用の理由について、公式からツイートがあった。
とあるので、「使用」とはおそらくカードをそのスリーブに入れるということだろう。
それはそうと、「手札が相手にバレない」「相手のカードと混ざらない」の二点を満たせるのであれば、自分のデッキの順番が裏面でわかるのは問題ないと読み取れてしまう。
人の心を捨てるなら、スリーブ40種1枚ずつ用意するのが最適解であることに変わりはなさそうだ。(相手との重複を考慮して倍の種類用意する必要がある)
8/26追記:スリーブを最低2種類用意する必要がある
センねら!では、
とあり、自分と相手のカードスリーブが別種であることが要求されている。
少なくとも初対面の人と対戦するような場合では、相手のスリーブが分からないため、重複を避けるためには2種類以上のスリーブを用意する必要がある。
また、重複が判明した段階でスリーブを入れ替える必要が発生する。
TCGをしたことがあれば分かると思うが、スリーブの入れ替えは結構面倒な作業だ。
雑に行えばカードを痛めてしまう恐れもある。
公式カードは裏面で種類が判別できるため、相手の目の前でスリーブ入れ替えを行えばデッキ内容が分かってしまう。
現実的な対策としては、インナースリーブ+不透明スリーブ+大きめのスリーブの三重構成にして、相手とスリーブ構成が被ったら一枚剥ぐことだろうか。
ただ、現状のルールでは不透明スリーブが1枚含まれていればいいのか、透明スリーブが含まれていてはいけないのかが不明である。
カードデザインの空間が有限である
一般的なTCGと異なり、このゲームで登場しうるカードのデータは5064種類しか存在しない。
カードに優劣をつけないことが謳われているが、実際には数値の配置によって有用性が変わってくるため、競技的に採用を検討できるカードの種類はかなり少なくなってしまうと思われる。
また、「性能的に面白い/強力な新カード」が存在しえない。
サービス開始直後から、自作カードとしてすべての数値の組み合わせの存在が許されているため、新カードが発売されたとしても、ゲーム上の意味がない。
勝つことを考えるなら自作カード1択になる
カードの自作が可能なため、勝ちに行くなら公式カードは使わず、自作の強いカード20枚を使用するのが最適解になってしまう。
推しどころか公式カードを使わないのが最適解なのはあまりにも悲しい。
8/26追記:勝ちに行く場合に自作カードが有利である理由は以下の通り。
公式カードに存在しない数値・属性の組み合わせを作れる
数値の配置によって扱いが変わるこのゲームでは、自分のデッキに最適な数値の組み合わせは自作しなければ存在しない可能性が高い。
また、属性有りルールの場合、スポットライトとの位置関係も考えて色を決める必要がある。
そのため、公式カードに存在しないカードを使用した方がより強力なデッキを作成できる。
裏面で種類がバレない/バレづらい
スリーブ周りのルールが不十分で、相手に裏面が見えてしまう可能性があるこのゲームでは、そこから数値がバレない自作カードの方が有利である。
戦況を把握するための負荷を押し付けることができる
TCGをしていればわかると思うが、全く見たことのないカードと、馴染みのあるカードでは、同じ公開領域にあっても思考リソースの消費量が段違いだ。
公式カードを使用している場合、馴染みのあるイラスト、馴染みのあるカード名に、決まった数値が配置されているため、対戦している際の思考への負荷が軽減されてしまう。
同じ数字、同じ色であっても、自作カードを使用した方が相手への負荷を高めることができ、有利と言えてしまう。
カードへの傷を気にしなくていい
公式カードには我々の大好きなキャラクターやその設定が書かれており、コレクションとしての価値が高い。
ゲームとして考えるなら、傷ついても問題の無い自作カードを使用する方が、余計な心配をする必要が無く、対戦に集中できるだろう。
追加ルールが多い
現状、追加ルールが7種もある。
それぞれ採用不採用を選べるため、フォーマットが2^7=128種も存在することになる。
フォーマットによって取るべき戦略が当然異なるため、追加ルールの選択によって対戦の相性が変わってしまう。
実際のところ128種のうち数種類、例えば公式にお勧め対戦ルールセットとして挙げられている4種が中心になるとは思われる。
ただ、4種というのはTCGのフォーマットとしてはかなり多い。
4種のフォーマットに合わせて常にデッキを4種用意することはハードルが高いし、デッキが1つだけではどのルールで遊ぶかによって強さが変わってしまう。
BO1での先攻有利
「先攻後攻を交互に対戦する場合」のポイントから、恐らく公式は先攻勝率60%程度と想定している。
ともあるため、先行有利であると認識しているのは確かである。
しかし、BO1において先攻有利を是正する施策が一切ない。
一般的なTCGでは、先攻有利を是正するため、後攻で強力なカードなどが作られることが多いが、センねらではそういったことも不可能である。
後攻を強化する追加ルールが実装されれば改善されると思われる。
レアを引くかどうかの運ゲー
ルール上、レアはノーマルの上位互換であるため、ゲーム中にレアを多く引いた側が当然有利になる。
レアを多く引くための工夫をする余地は特にない。
レアは山札の1,6,11,16,20枚目固定とかすれば改善するけどめんどくさそう。
センターをステージから降ろすという表現
このゲーム、正直競技的に遊ぶものというよりは、キャラのファン同士でワイワイ遊ぶことを想定していると思われる。
その場合に一番良くないと感じるのが、このゲームの「戦う理由」だ。
相手をステージから降ろすのが目的になっていて、自分がより素敵なアイドルになるというようなニュアンスが全くない。
アイドル同士の「つぶし合い」という印象が強く、推しでやりたくはないなと感じてしまう。