恋とそれとあと全部感想(ネタバレあり)
住野よる先生作、恋とそれとあと全部の感想です。ネタバレを含みますので、未読の方はお気を付けください。
とりとめのない感想
住野よる先生の作品は大好きで全作品拝読しているのですが、今回は随一で登場人物の性格が大好きでした。まず主人公のめいめい。少し思慮深く相手の気持ちを読み取りながら、深入りしすぎないよう気を使う繊細さ。そしてヒロインのサブレ。気になったことに対してはしっかり追求し、自分の考えを言語化した際には、正しく伝わっているか考え、違うときには訂正を入れる。そして、人に施しをもらった際には必ずお返しをしてフラットな状態にしないといけない気にしすぎる性格。
そんな二人が人の死に向き合うときに感じる思いがとても人間的ですごい良かった。人の死さえ一つのイベントとして考えてしまうめいめいや、死ぬ人がやり残したことがなければ親しい人の死さえ悲しめないかもしれないサブレ。どちらも何か欠けているようで、でもどこか人間らしくて、ひどいことを言っているのにますます惹かれていきました。終盤のお互いの悪口を言い合うシーンでは、お互いが隠していたまたは気づかないふりをしていた悪癖がお互いの言葉で明確になっていくようで、筋肉痛が普段ぼやけている体の存在を明確にしてくれるというサブレのセリフを心で表しているようだった。
罪悪感について
この作品の中で罪悪感について考えさせられる場面がある。めいめいの友人ダストがサブレの友達エビナに告白した際の断り方が「私の罪悪感を利用するな」そして最後めいめいも罪悪感という言葉を使う。きっとこの二つの罪悪感には込められた意味がちがうのだろう。エビナはひどくマイナスな意味でめいめいはプラスの意味で。同じ言葉なのにこんなにも真逆の感情を感じさせられるのは不思議な感覚だった。
タイトルについて
恋とそれとあと全部。めいめいとサブレを関係を表すタイトルだった。恋もある。だけど関係性ってそんな割り切ったものじゃなくて友人としての感情もあるし、他人としての感情もあるし、知り合いのような感情もあってそういったもの全部含めてその中でいっしょにいたいって気持ちがとても素敵な表現だった。
いろいろとりとめもなく書き連ねたが、つまるところ最後に抱いた感想は俺もこんな青春送りたかった!!!!恋がした!!以上散文失礼しました。
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