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バレンタインの思い出
あれって、そのあとどうなったんだろう?と思う事ってありませんか?
遠い日の記憶。時々、なんかの拍子に思い出す程度の記憶…。
派遣社員時代にはいろいろな職場で働きましたが、人間関係では考えさせられたり驚いたりしました。中でも上位にはいる面白いエピソードなのでメモしておきます。
東京にある、半導体の大手企業に勤務していた時のことです。
その企業は本社が関西にあり、大阪・福知山などに転勤経験のある人ばかり。みんな英語も関西弁も達者で、私が所属した半導体部の部長も温厚で部下を守り信頼が厚い。部全体が元気で明るくて、働きやすい職場でした。
バレンタインデーは男性社員への感謝
さて、バレンタインデーが近づき、女子社員さんに呼ばれました。「うちの課は男女お互いに仲が良くて、日々がんばってくれている営業マンにチョコをあげているの。義理って感じがしない、ちゃんとしたチョコにしています。女子でお金出し合っているけど参加する?無理にとは言わないから気にしないでね。」とのこと。返事はもちろん「参加します」。
お昼ご飯は控室みたいな部屋で食べる仲間に混ぜてもらっていたので、ランチタイムに今までのバレンタインデーのお話をしてくれました。毎年喜んでもらえている話。ホワイトデーのお返しが数倍もする高級クッキー缶で「申し訳ないくらいだった」とか、ドイツへ海外出張に行った部長がこっそり用意してくれていて、日本では手に入らないチョコでおどろかされた話。
お菓子会社の企画にまんまとやられたイベントも、わたしが在籍していた"海外電子部品部"の男女のコミュニケーションに役立っていたようです。
このお弁当チームに、となりの国内電子部品部の方がいました。きれいに手入れされている長い髪。ネイルもやりすぎでなくおしゃれ。国内電子部品部では個人的にチョコを渡しているようでした。そして自分の話をしてくれました。
バレンタインは査定の日
「私にとってバレンタインは男たちの査定の日なの」と一言。お弁当を食べながら、みんな「?」という反応。そして彼女は語り始めました。
差別化
彼女に対する接し方や態度が判断材料になるようでした。コピーやお茶出しのお願いの仕方、残業、飲み会の席でのマナーもチェック項目(?)にあったようです。
各男性へのチョコは種類や大きさも変えている。お気に入りだったりお世話になっている方には高級チョコレート専門店の物を。好みによりお酒もつけて、カードには感謝の言葉を綴る。査定が低い男性にはチ○ルチョコより小さいものを御徒町の問屋で探す。全男性に対して同じものはひとつも無く、全てに差をつけているそうです。
包み紙が同じだと他の人とわからなくならない?と聞いたら「文具屋で特注するので絶対被らない。」そのためデパート名やお店名などは書かれていない。隣席の男性が一番キライで、確かその方には麦チョコ1個をアルミホイルで包み、その"特製のラッピングペーパー"で包んで渡したと言っていました。ちなみにその年は濃いブルーの地に星座がキラキラしている高級感のあるラッピングでした。うん、被らないだろう。当日の朝は一番に出社して、全員の机に置くそうです。
嫌いヤツには渡さないという選択はないんだな、と思いました。敢えて渡して差別化。めんどうだな~と思う一方、一年間のチェックと事前準備、その労力に脱帽です。今でも続いているのか…?
1か月後のホワイトデー。我が部の男性群からのお返しは素晴らしかった。おかげで彼女へのお返しはどうだったのか、確認するのをすっかり忘れてしまった。悔やまれる。