はみだしっ子の素敵な末路
親や学校が(あるいは無意識に)求めている理想の子ども像は確かにある。成績が良く、運動ができて友達に人気があり、クラスで学級委員などをこなしている子だ。でもそうじゃない子にも、そうではないなりに幸せな未来がちゃんとある。親がそのことを知っていて、その子の成長を楽しみに待ってやれることができるかどうかで、その子の子ども時代の記憶も、親に対する感情も変わってくるんじゃないだろうか。少なくとも親がその子を育てるときのストレスは格段に違ってくるはずだ。
最近知り合った人から、とても傑作なあるはみだしっ子の末路についての話を聞いたのでシェアしたい。
その子は小さな頃からお友達にあまり興味のない子だった。興味の方向が違っていたのかもしれない。幼稚園に行くと地べたにしゃがみ込んでずっとありんこやダンゴムシなどの小さな虫を眺めている。勉強の成績は悪くはなかったが運動は苦手で、ドッチボールやソフトボールなどの競技は全く興味を示さない。
小学校の図工の時間に、クラスメイトたちの描く、お友達や家や学校や空のカラフルなクレヨン画の中で、彼の描く地面を歩くアリンコとワラジ虫の絵は異彩を放った。それで表彰されたそうだ。
当然だがクラスでも手を挙げて発表する事なども少なく、運動会では出番がない。高校は通信制に通って、そこから大学に入った。大学に入っても彼は相変わらず黙々と虫を眺め、そのうち自分の好きな菌について研究を始めた。そして大手の一流企業に入社し、その研究者として今でも菌の研究を続けている。
なにがあろうと飄々とじぶんの興味だけを追求し続ける姿勢を素晴らしいと思うが、おそらく本人には頑張ってやっている意識などないだろう。むしろ、気がついたらなっちゃっていたなあ、なのではないだろうか。それが研究者としては最も大事な資質なのかもしれない。
あなたの運命を信じよう。あなたの子の運命も信じよう。あなたの子にはあなたの子なりの幸せな未来が待っている。神様は誰1人、無駄な性質を持つ人間なんてこの世には創らない。