【投機の流儀 セレクション】世間をナメた自民党の浅知恵──石破総理は自民党の中で一人浮いていた「異端児」であり「党内野党」であった。こういうのを代表にして、自民党観の一新を図った自民党の浅知恵
石破総理は、総理になる前から自民党の中で一人浮いていた。異端児であり、党内野党ではあったが、具体的に石破氏が総裁選前から自民党の中で浮いていた原因は二つある。
1.2004年の鳩山の大醜態と似たようなことをやり出した。鳩山氏は米国と打ち合わせもなく、唐突に普天間基地移設は「最低でも県外」と発言して、混乱を招いて、オバマにもバカにされた。子供が大人に売った喧嘩のようなものだが、オバマは相手にしないで笑っていた。石破総理は日米地位協定の見直しに着手すると言い出した。こういうことは外務省や防衛相と綿密に打ち合わせた上で決めるものであるが、彼はそれもなくいきなり唐突に発言したようだ。
これは2004年の鳩山の茶番劇を誰もが思い出した。しかし、石破総理は長年の思いが貯まっていたのだと思う。石破総理が防衛庁長官だった時に、在日米軍のヘリコプターが沖縄県の大学のキャンパスに墜落しても、米軍が現場を封鎖して、機体を回収して、沖縄県警さえも立ち入り調査を拒否された。この時、防衛庁長官だった石破総理は「これが主権国家の姿なのか?米国と対等になりたい」という無念な思いであったと思う。それが発端であっただろう。
2.不記載金額の問題である。これは筆者から見ればたいした問題ではないが、自民党内では大きな問題であっただろう。石破総理は政治資金のパーティー“裏金問題”で、収入の不記載があった議員を次の選挙で公認しない可能性を党内で始めから言っていたらしい。自民党議員たちがそれを嫌がったことが理由の一つである。
次は、佐藤優氏が週刊ダイヤモンド誌10月26日号に寄稿している文章から採る。
石破総理の祖父は同志社の創設者である新島襄から洗礼を受け、曽祖父はプロテスタントであった。石破総理は四代目のクリスチャンだ。石破総理の父は鳥取県知事や参議院議員時代には仏教徒であって、クリスチャンではなかったそうだが、石破総理は牧師となった曾祖父から鳥取県で洗礼を受けて、プロテスタントになった。そして、同教会の宣教師によって始められた幼稚園に通った。慶応義塾高校に進学したが、東京では教会学校の教師を務めた(*筆者註:ここから先が重要であるが、佐藤優氏は次のように書いている)。
「自民党員の選挙によって総裁に選ばれただけではなく、神の召命によって自民党総裁と内閣総理大臣になったのだとプロテスタントのキリスト教徒として、確信しているように見える」(以上、前掲誌より)
次は筆者の私見であるが、総裁選を争った高市氏は「総裁になったら靖国神社に行く」と本質的な政策とは関係無いことを敢えて言っていた。対戦相手の「石破さんは生粋のキリスト教徒だから靖国神社へ行かないでしょう」という意味で言っているのであって「早く始めたい石破降ろしの予告である」と筆者は思って、聞いていた。
【今週号の目次】
第1部;当面の市況
(1)10月相場と先週末の様相
(2)昨年23年の様相─「メガトレンドの変化」を先取りする動きが出始めた。
(3)1ヶ月の円安幅が35年ぶりの下落幅
(4)森永卓郎氏「来週、日経平均が大暴落になると思います」と米大統領選の影響を予想「円高誘導に」─ライブドアニュースより引用
(5)石破政権は「成長と分配の好循環」の基礎中の基礎から着手した。
(6)市場にどっぷり浸かる時ではないが・・・
(7)ドル円相場と強まる円安シナリオ
(8)ドル安円高がメインシナリオとなってくる可能性
(9)景気は「緩やかに回復」の判断を維持
第2部;衆院選を振り返ってみれば・・・
(1)半世紀以上続いた19回のアノマリー「選挙は買い」が、今回の選挙で初めて崩れた。
(2)今回、自民党を大敗させたのはOECD加盟国で最低の投票率とは言え、投票した人達の力だ。
(3)衆院選を振り返って─「事務処理のミス」に過ぎないのだが、その根底にあるのは自民党の政治体質の腐敗と傲慢である。
(4)世間をナメた自民党の浅知恵─石破総理は自民党の中で一人浮いていた「異端児」であり「党内野党」であった。こういうのを代表にして、自民党観の一新を図った自民党の浅知恵
(5)「石破は理性的で賢く、堅実だ」
第3部;中長期の見方
(1)「メガトレンドの変化」が進行していることを、植田総裁も確認したということになる。
(2)日本経済新聞社主催の景気討論会は、賃上げ寄与と消費回復の問題
(3)「もしトラ」か「もしハリ」による簡便一覧表
(4)「もしトラ」の場合、一律の関税は自動車業界に影響大
(5)イランの出方によっては、我が国に大きな問題
(6)「東日本、原発ゼロ」の解消
(7)武者陵司氏のリポート引用
第4部;読者との交信蘭
「でも逆にインフレ加速で、困る可能性もあるのですが、先生はどう考えられますか?」
【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi
【著書】
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