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隠しきれない想いがあって

この間のライブの打ち上げで
撮った写真を振り分けながら
俺は少し、頭を抱えた。


「良介??どーした??」


隣にいた義旭が
写真を覗いてこようとするから
俺は慌ててそれを隠す。


「隠すくらいならウチでやるな。」

「だって義旭の部屋落ち着くし、
練習してるスタジオに近いから。」


へぇ、と小さく興味なさ気に呟き
本に目をうつした。


「そういえばこの間、
明日香が春日と会ったとか言ってた。

春日、元気か??」


義旭は割と結奈ちゃんと仲良かったから
たまにそうゆう話になる。


俺は写真を分けながら
軽く頷いた。


「うん、元気。
大学入学、すごい楽しみにしてる。」

「あぁ、確かに元気そうだな。」


いつの間にか俺の後ろから

俺が撮った写真を見ている。


「…春日ばっかりだな。」


俺は慌てて写真をしまおうとしたが


時既に遅し。


…とゆうか、義旭のスピードに
勝てるはずなんてなく

義旭の手には写真の束が。


「こんな写真渡したら
流星先輩、怒るんじゃないか??」


義旭がそう言った写真には
ピンボケした先輩と

小さく綺麗に写る結奈ちゃん。


「…バレるかな。」

「バレるだろう。
これじゃ春日メインで
坂本と先輩は背景みたいなもんだ。」


義旭の指摘は
実に的を得ている。


「因みにこれは桜先輩と
結奈ちゃんのツーショットで、

これはスズちゃんと結奈ちゃん、

これは蘭ちゃんと結奈ちゃん、

これはゲームしてる結奈ちゃん。」


俺が静かに写真を説明すると
義旭はため息をつく。


「お前らがメインの打ち上げで
なんで春日の写真が一番多い??」

「…やっぱりそう思う??」


「思わない奴はいないだろ。」


即答されてしまい

若干、落ち込んだ。


「あ、これなんかは
特に問題ないじゃないか。
春日、写ってないぞ。」


スズちゃんと蘭ちゃんのツーショットを
ヒラヒラと俺に見せた。


「それは俺のカメラで
結奈ちゃんが撮った。」


その言葉を聞いて
義旭は無言で写真を下ろす。


「お前…、
ちょっと気持ち悪いぞ…??」

「うん…、分かってる…。」


これじゃやってることは

明日香ちゃんと似たり寄ったり。


…まぁ、俺の場合は
ちゃんと許可を取ってるか
偶然写っちゃったかのどっちかだから

盗撮とは違うけど。


「…まぁ、でも良いんじゃないか。」


義旭はそう言って

俺に写真を渡してきた。


「良いって…??」

「だって春日だって
楽しそうに笑ってるじゃないか。」


そう言いながらまた本に目を移す。


「お前が撮る春日は

可愛いと、俺は思う。」



隠しきれない想いがあって







**


結局みんなに渡した写真の数は
ものすごく減ってしまって、

多分みんなその理由は

薄々分かっていたと思う。






2011.01.22

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