ほらもう朝になっちゃったよ
「じゃ、おやすみ。」
その言葉を最後に
安川は電話を切った。
おやすみ。
彼にそう言われると
心が落ち着くのはなんでだろう。
私がまだ、最低だった時。
隣で何度も言われたその言葉。
ただただ、うっとおしかった。
私がまだ、純粋すぎたあの時。
先輩にそう言われるのが
本当に辛かった。
親に言われたのは
多分、小五が最後だし
その言葉に
大したこだわりもなかった。
要は早く寝ろって、
そうゆうことなんでしょ??
でも安川のおやすみは
なんか、違う気がするの。
私の心に響くの。
ドキドキするの。
眠れなくなるの。
貴方のことを考えて、
貴方のことを想ってしまって、
あぁ、寝なきゃ寝なきゃって
そう思えば思うほど
貴方のおやすみが
頭を駆け巡ってしまう。
ねぇ。
どんなことをしながら、
どんなつもりで、
どんな格好で、どんな表情で
私と電話したの??
…ね??考えれば考えるほど
自分が気持ち悪くなる。
だってこんなの変態みたい。
彼氏のしてること、
勝手に考えて
勝手に想像して
勝手にドキドキしてるのよ??
気持ち悪いったらない。
でも、仕方ない。
好きで好きで
我慢できないんだもん。
そんな人におやすみ、なんて
言われてしまったら
寝れなくなるのが
普通なんじゃないの??
「あら、智美??
布団入ってなかった??」
「うん…。
なんか、寝れなくて。」
時計を見るといつの間にか
日付は変わっていた。
「…お姉ちゃん、」
「ん??なあに??」
「恋は美容に良くないね。」
だって、そうでしょう??
貴方のことを考えて
眠れなくなって、
やっと寝れたと思ったら。
「あ、飯塚??
ちゃんと起きてるか??」
貴方にまた、
起こされてしまうんだもの。
ほらもう朝に
なっちゃったよ
**
「お前、相変わらずねむそーだな。」
「…うっさい。」
人の睡眠奪っといて、
自分はしっかり寝ちゃってさ。
「…安川のせいだし。」
「は??おれ??なんでだよ。」
貴方のことを考えてたら
いつの間にか朝だった、とは
言える訳ないじゃない。
2011.04.20
【hakusei】サマ
001/365「ほらもう朝になっちゃったよ」