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憂国考察記事#17-23 A Scandal in British Empire (1)

【関連作品】

「シャーロック・ホームズシリーズ」:『ボヘミアの醜聞』(A Scandal in Bohemia)、『ギリシャ語通訳』(The Greek Interpreter)、『ブルースパーティントン設計書』(The Adventure of the Bruce-Partington Plans)

「憂国のモリアーティ」5ー6巻:#17-23 A Scandal in British Empire


「憂国のモリアーティ」の第17~23話は考察したい内容が多すぎるので2回に分けて記述する。初回は全体について考察し、2回目はアイリーン・アドラーだけに絞ってまとめたい。

まずは題名の『大英帝国の醜聞』から。原作の『ボヘミアの醜聞』をもじったタイトルであるのは、アイリーン・アドラーの登場回であることからも明らかだ。違いはアドラーが交渉材料にしたのがボヘミア王との熱愛を示す写真ではなく、イギリスがフランス革命を工作した作戦書だったこと。「憂国のモリアーティ」では、革命を工作した人物マクシミリアン・ロベスピエールがホームズの祖先シェリンフォード・ホームズと明かされる。史実は置いておいて、原作の『ギリシャ語通訳』ではホームズが祖先について一部言及している。

“僕の先祖は田舎の郷士だった。彼らはその身分相応のごく普通の生活を送ったようだ。だがやはり、僕の血管を流れる才能は、祖母から譲り受けたものかもしれない。祖母は、フランスの芸術家ベルネの妹だ。”

ホームズの把握している範囲では、原作の先祖はフランス革命には関わっていないらいしい。ただ、ホームズが知らないだけで、兄マイクロフトのように国のために諜報活動をしていたらと想像するとちょっとわくわくする話ではある。

さて、第17話でジョンはシャーロックから「太っただろ…7.5ポンド位」、マイクロフトから「最近7ポンドお太りになった」と言い当てられる場面がある。このやりとりは原作の『ボヘミアの醜聞』でおなじみのやりとりだ。

“「ワトソン、僕の見立てでは君は前に会ってから7.5ポンド太ったな」「7ポンドだ!」私は答えた。”

原作ではマイクロフトは登場しないが、ワトソンが増量した数字は全く同じ。ちなみに7ポンドは約3.2㎏。他人が嫌がるようなことまで指摘してくるのはホームズらしい。ワトソンはよく友人でいられたものだとしみじみ思う。

ちなみに漫画ではシャーロックがマイクロフトの靴に並行した傷跡が付いているところから、靴の砂埃を落とさずに磨いたそそっかしいメイドがいると推理していた。原作ではマイクロフトではなく、ワトソンの家で雇っているメイドが靴磨きで同じ失敗を犯し、ホームズから見事にそれを言い当てられている。

シャーロックとマイクロフトの推理合戦は原作の『ギリシャ語通訳』でも繰り広げられていて、そのやりとりを彷彿とさせてくれた。原作と同様、シャーロックは推理力と観察力でマイクロフトには敵わないらしい。

※Michal JarmolukによるPixabayからの画像

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