町のマーケティングについて考える。そして希望を感じるイベントがあるぞ【業務日誌 2019/07/17】
3週連続で講義のある岩手県工業技術センターの「食品開発基礎講座」だが、「食品開発」と冠しているものの、中身はあらゆるモノ・コトに応用発展可能なマーケティング・ブランディング・企画・開発の話なので、非常に実用的である。
俺が企画中の「1年間にわたる超長期移住体験ツアー」にしろ、もっと高い視点から見た交流人口拡大のための施策にしろ、観光施策にしろ、あるいは新規就農者獲得にしろ、「価値のあるなにかを作って売る」という点では共通しているはずで、すでに確立されている手法から逸脱したまま行動したところで、勝率は高められない。
(講師である伊藤良仁氏の発言のなかで出てきた、「勝率を高める」というフレーズを、俺はとても気に入っている。)
何が言いたいかって、まず町としてマーケティングが必要なのではないか、という俺の問題意識は日に日に強くなっている。
(「住み続けたい」と考える住人を増やすためのマーケティングと、外から人を連れてくるためのマーケティングは重なる部分もあるが、基本的には別物だろう。)
リサーチも必要だが、「ウリ」はなんなのか、何を売りたいのかを明確にしなきゃいかん。いわゆる「STP」。セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング。
そこをじっくり検討するための組織がない。どうしたものか。
まあ、必ずしも町全体で「これがウリだ!」というのを統一しなければいけないというわけではない。
ただ、「盛り上がっている事業者がいくつかある」という状態では、持続性のある・なしで言えば、ない。それは事業者の問題(事業規模・後継者などなど)もあるが、"地方切り捨て"問題のほうがより深刻だ。
"地方切り捨て"の風潮はおそらく今後、より強まっていくだろう。要は、いいモノ・コトを作る事業者がいたところで、十分な住民サービスが受けられないところで、その人たちが生活を続けることができますか、という話。
「地方を切り捨てるなら、おまえらは死ぬぞ」(あるいは「おまえらを殺すぞ」)という発言に説得力を持たせるためには、地方の価値を認めさせる必要がある。そして、「価値」という以上は、誰かが買いたいものでなければいけない。
その価値の発信を、おんぶにだっこ状態で個々の事業者に任せておいていいのか。ダメでしょう。
個人的には西和賀町には金が稼げて、社会的意義もある商売のタネがゴロゴロ転がっていると感じている。ただ、個人の生計を立てるだけだったら、別に俺は西和賀町でなくたっていい。
俺は人と一緒にプロジェクトを進めていくのが好きなタチだし、一緒に進める人がいないといつまでも布団から出てこないタチなので、もっともっといろいろなことを、いろいろな人と一緒にやっていきたいのだが……。
と考えていたところで、とても希望を感じるイベントが立て続けに企画されている。
ひとつは明日、7月18日開催、ネビラキ主催の「勝手に!町政懇談会反省会」。
そしてもうひとつが、8月31日に開催、個人が企画した「ゆるくホンネで語ろう にしわがの子育て。」。
ふたつとも、別に誰かに頼まれたのではなく、それぞれの問題意識から自発的に企画されたもので、まずその段階ですばらしいのだが、「個々人がどう感じているか・考えているか」を話す場が設定されるというのが、またすンばらしい。
これ、町としてマーケティングに取り組む第一歩になるぞ。
無料でユーザーの声を集められるイベントなんて、そうはないわけで。役場職員という俺の立場からしても、泣いて喜ぶべきだろう。そういう観点からも、どちらにも、少しでも多くの役場職員が参加してくれたらいいなと思う。もちろん、役場職員以外の町民もこぞって参加してもらえたら。
あ。
今朝、NHKの「おはよういわて」で、昨日行われた、中学生に対する森林についての教育が取り上げられていました。
「一人あたりのCO2収支 最良の町」なんて言えたら、ステキですね。
唐仁原 俊博 a.k.a. 西和賀町のやべーやつ / とうじんばら としひろ
岩手県西和賀町 地域おこし協力隊 / 演出家 / エンハンサー / エンチャンター
大学生・怠惰な生活・演劇の三足のわらじで、京都大学を10年かけて中退した、元フリーランスライター。ほんとは大してやばくないけど、最長3年の任期をフル活用するためにも、やべーやつを名乗ることにした。
ほんとに大してやばくない。
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