💊4💊信長の『いたみ止め』解熱鎮痛成分［第三章 脳神経薬］

鎮痛薬は大きく４種類あります。

▼この記事では『いたみ止め』の解熱鎮痛剤を扱います。
大まかに分類して４系統があり、それぞれにちがった特長があって使い分けられています。

　尚、次の記事の『酔い止め』を秀吉、『トローチ剤』を家康としたため、『いたみ止め』を信長になぞらえて解説します。

▢痛みの原因物質『プロスタグランジン』とは

⇧様々な物質の、産生と伝達により痛みが発生します

▼解熱鎮痛薬は、主に痛みの原因物質『プロスタグランジン（PG）』に作用して痛みを和らげます。
　PGは体の恒常性維持に働く生理活性物質ですが、過剰になると痛みとして認識されます。

　大方の薬品はPGが産生されるのを防いで鎮痛作用を示しますが、後述の通り、痛みの伝達を防ぐ成分もよく使用されています。

▼体内でPGが出来る産生過程を『生産』業界、そして痛みの伝達の過程を『流通』業界だと考えるとわかりやすいでしょう。
　また産生の過程を『内堀』、伝達の過程を『外堀』と捉え、二段階の戦略で抑える、と考えるのもよいかもしれません。

▢各鎮痛薬は三つ巴、組み合わせて使用される！

⇧各鎮痛薬の主な作用（※表の内容は簡易な目安になります。
医薬品の使用の際は、添付の説明書を参照下さい。）

①アセトアミノフェン
②イブプロフェン（プロピオン酸系）
③アスピリン、エテンザミド（サリチル酸系）
としたとき（④イソプロピルアンチピリンもよく使用される）、

　どれも一長一短で、強みと弱み、利点と欠点があってひとつの万能なものはなく、天下統一の前の戦国時代のように、三つ巴（四つ巴）の様相を呈しています。

よって、複数の薬剤を組み合わせて服用されることが多いようです。

▼おもに副作用を考慮して医薬品を選ぶことになりますが、
特にイソプロピルアンチピリン（ピリン系）は副作用のリスクが大きいと言えます。またアスピリン含有のものなどは、胃への負担が大きいので注意が必要です。

▼とくに重要なのは、『アセトアミノフェン』は子どもでも服用できること、『エテンザミド』は痛みの伝達を抑える働きがある（先述の『流通』を抑える）ことです。

◆小児が服用できる『アセトアミノフェン』

　
　とくに重要なのは、子ども（１５歳未満）が飲んでもよいかどうか。
その際には安全性の高い『アセトアミノフェン』が配合された製品を紹介してもらうとよいでしょう。
　その意味では、痛み止めのなかでは、アセトアミノフェンが頭ひとつ出ている、と言ってもいいのかもしれません。

▼『エテンザミド』は小児でインフルエンザの場合は、服用できないため『アセトアミノフェン』を選んだ方が無難なようです。

▼効き目の髙い『イソプロピルアンチピリン（ピリン系）』が含まれた解熱鎮痛薬で小児向けの製品もあるため、購入する際に相談してみるとよいでしょう。

▼尚『ロキソプロフェン』が配合された痛み止めは、薬剤師の対面販売が義務付けられている第１類医薬品の指定であることが多く、

作用が似た同じ『プロピオン酸系』の成分を選ぶときは第２類医薬品の『イブプロフェン』が配合された製品等が勧められます。

▼また、妊婦の方はアスピリン、イブプロフェン含有の製品は服用できないとされています。

◆腹痛は『胃腸薬』でしか治まらない！

　
　胃の痛みなどの腹痛は、発生の原因が頭痛などとは違うため、解熱鎮痛薬ではなく、抗コリン成分などが配合された、『胃腸鎮痙薬』等により治療されます。

▼医薬品を服用する方、提供する方の両方が、そのことを知っておくと、よりスムーズな治療がなされるでしょう。

※ここからは学習者向けの内容です。

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▢学習者向けの内容

▢成分名の語源について

💊『アセトアミノフェン』

　もっともわかりやすいのが、アセトアミノフェン（C₈H₉NO₂）です。
ずばり
『アセチル基（アセト）』＋『アミノ基』＋『フェノール（フェン）』
と、そのままの、直球の名前となっています。
　正式には『パラアセトアミノフェノール  para-Acetaminophenol』といい（他にもいくつかある）、外国では略して『パラセタモール  Paracetamol』と呼ばれることが多いようですが、日本名のほうが良いですね。
　商用名は『カロナール』ですが、これは単に、駄洒落から由来したネーミングのようです。

※語源については、随時増補していきます。

▢『プロスタグランジン』について
　第二次大戦の前に、平滑筋を収縮させる生理活性物質として、羊などから発見され、当初はもっぱら前立腺（prostate gland）でつくられる物質の意で、命名されたといいます。様々あるＰＧのなかでも、とくに『ＰＧ－Ｅ₂ 』が、各所の痛みの主な原因となっています。

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