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【感想】TOUGH外伝 龍を継ぐ男 BATTLE.360 ドーピング

プレボが合併号だったので今年はこれがラスト・モンキーですね。
7月から毎週感想伝タフを始めて19話分、飽き性の私にしてはよく続いたなと思います。一応来年も継続予定です。


◆前回まであらすじ

ついにホワイト・ナイト・バトルが開催され、龍星VSサーシャの第3試合が始まった。R国選手の不正行為が黙認されるアンフェアな状況で、ウエイト制を無視した圧倒的な体格差のサーシャと相対することになった龍星。ヴィクトル・グループ総帥の"白鯨"ことヨシフ・カデンスキーと鬼龍が見物する中、どのような闘いと繰り広げるのか。


◆苦戦

試合開始のゴングと同時にサーシャの超高速ジャブが繰り出され、のっけから防戦一方になる龍星。
熹一「(おいおい 体格を生かした勢いとパワーだけのアホファイターやと思ってたけど ボクシング技術がめちゃくちゃ高いやん)」
前回のオープニングファイトで今大会のレベルは底はある程度分かったと思っていたが、精度・速度・威力を兼ねそろえ、メキシカン・スタイルによる伸びるジャブを駆使して的確に攻めてくるサーシャの強さに驚く熹一。

どわーっ 熹一がオトン並みの節穴発動しとるやん(オトンは過大評価の方向で節穴だけど)。
私も前回の感想で「瞬殺あるで」と書いたけど、意外とサーシャが強くて驚きましたね。今までの龍星の相手は殺しにかかってくる奴やエージェント、ビックリ人間が多かったのでこういう正統派な相手は苦戦しそうなんだ。

ボクシング・スタイルが得意なあたり、やっぱサーシャ・ポベトキンってアレクサンデル・ポベトキンが元ネタなのかな(ボクサーだし、過去にドーピング引っかかってるし)。

ジャブの嵐を何とか捌く龍星だがついに…、
熹一「総合のグローブは小さいからガードの間から打ち込まれるぞ」
甘いガードの隙間を縫ってサーシャの貫通力のあるストレートが顔面にヒット(いつものポメラニアン・アングル)、先制のダウンを取られてしまう。
しかし、絶好のチャンスにも関わらずサーシャは「立て」とスタンディングによる闘いを要求。龍星はゆっくり起き上がり体勢を立て直すが……。

なんかアキ男マジで強くない?
あのビッグ・ハンドや全身バイオマンのリカルドとボボパンした龍星が普通に劣勢なんですけど。リカルドの時速500マイルのパンチをスリッピングアウェーで受け流してたのに、今更こんな筋肉ダルマのパンチを食らうなんて……なんでいっつもエンジンかかるの遅いんだ。
総合グローブは小さいからって言っても、今までの闘いはグローブ無しの裸拳でやってきたんだからガードが甘くなる理由も良く分からん。普通に素手の方がガードの間から打ち込まれやすくないか?


◆白鯨と悪魔

一方、VIP席ではヴィクトル・グループ総帥のヨシフと鬼龍が龍星とサーシャの試合を観戦していた。
ヨシフ「鬼龍 あれがお前の息子か "ガルシアの心臓"を移植した"怪物"」
鬼龍「自己崩壊を恐れる繊細で臆病な"怪物"だ」

2人とも龍星を"怪物"と表現するが、鬼龍は"臆病者な怪物"だと自身の息子を貶すような言いよう。

白鯨のおっさん結構フレンドリーに話すんだ。もっと怖い人かと思ってた。ほんと鬼龍おじさんはお友達多いっスね……この裏切りおじさんを信用する者が後を絶たない理由がマジで謎。
あと、怒らないで下さいね。フルパワーで自滅するの分かっているのに臆病にならないってバカみたいじゃないですか。ニコライにやった「えっ なにっ なにこれ? ねーっなんなのこの穴 ねぇっ ボコン ズウン…」のように一瞬だけ心臓パワーを引き出すほうが強いと考えられる。マックス・パワーで巨大グリズリーをチリにできるんだから対人戦では過剰なんだ。

ヨシフ「戦場で最初に死ぬのは勇敢な者達 最後まで生き残るのはいつも臆病者達だ」
対照的に"臆病者"の方が戦場で生き残れると肯定的な評価のヨシフ(なんかこの時点では鬼龍おじさんより白鯨の方が強キャラ感あるな)。


◆R国の現状

鬼龍「これほど戦争が長引くとはな "あの男"の思惑は大きく外れたなヨシフ」
話は変わって、U国侵攻後のR国内の情勢について語り出す鬼龍。侵攻当初は短期で決着が付くと考えていたが、欧米のU国に対する武器供与で戦線は膠着、さらに各国の経済制裁&原油価格の低下でR国内の経済は冷えきっていた。悲惨なR国内の状況を嘲笑する鬼龍だが、ヨシフは戦争によって軍事産業は潤ったと反論する。

今週の龍継は社会派漫画っス()。
ホワイト・ナイト・バトルやら象展開やらで忘れていたけど、すべての始まりは"あの男"によるU国侵攻だったからね(まだ引っ張るんかい)。この言い方からして、ヨシフも完全に"あの男"側なんですかね?実は"あの男"を裏切るつもりで鬼龍と組んだと思ってたわ。

鬼龍「軍事だけで経済がまわるのか」
しかし、軍事面にほとんどのリソースを割いたR国は建設作業が至るところで止まっており、鉄不足から武器や弾薬の製造も困難となっていた。現在は金のないNK国から質の悪い弾薬を供給してもらっている有様だった。

あの…軍事産業も全然潤ってなさそうなんスけど、いいんスかこれ。
軍事産業って輸出できるなら儲かるとは思うんスけど、自国の戦争で消費してたら自分の首を絞めることになりませんかね?他国から弾も買ってるし。
そして、R国に弾薬を供給するNK国って…ま…まさか!?

今週は世界情勢ネタのバーゲンセールだなぁ。

鬼龍に現実を突きつけられたヨシフだが……、
ヨシフ「それでも我が国に敗北はないっ」←
一気に小物感出てきてない?


◆愛国心

ヨシフ「兵士が2万人死んだら次は20万人増強すればいいだけだ」
戦況は劣勢だが、人海戦術こそがR国の神髄だと語るヨシフ。鬼龍はそんなん今時流行んねーよと呆れた様子だが、もうじきアメリカでは中間選挙が始まる上に、U国への支援疲れから欧米の武器供与の流れが滞るはずだと勝ちの目算は立てているらしい。

R国の兵士は畑から取れる(至言)。
戦争の勝算が他国の武器供与が滞るまでの持久戦だなんて……ホンマにうまくいったらどーしてくれんや。

明らかに人命を軽視するような思想だが、
ヨシフ「この国には"悪い平和より良い戦争のほうがましだ"という格言がある」
鬼龍「好戦的で愛国心のある民衆はジャガイモ喰って耐え忍ぶわけか」

R国の格言にならって、真の愛国者なら耐え忍んで当然だと言う。

この格言ってマジでR国にあるらしいっスね(B国のルカシェン〇大統領がスピーチで言ってたことが本当なら)。
……今週の大部分がR国関連の会話なんですけど、この「U国侵攻」と「ホワイト・ナイト・バトル」と「"あの男"」と「悪魔王子」の話が事の終息に向けてクロスする未来が一向に見えないのですが、猿渡先生はどのように話を着地させる御つもりなのでしょう?

来年も大半は"あの男"展開継続しそう。
これが終わって悪魔王子の話を片付けたら本格的にやることなくなるし、実は「龍を継ぐ男」って終わりが近いのか?寂しいなぁ……。


◆カウンター

場面は戻って再び龍星VSサーシャ戦。観戦しているヨシフ曰く、サーシャは過去に"悪魔に取り憑かれて"3人も殺した凶悪犯であり、このホワイト・ナイト・バトルでの勝利による恩赦での釈放を狙っていた。

えっ サーシャってそんなヤベー凶悪犯なんスか?
哀しき過去や龍星と和解とかそーいうのを予想していたんですけど、これ最後までゲス・キャラで終わりそうですね。しかし、気になるのが"悪魔に取り憑かれて"の文言なんだよなぁ。マジで悪魔に憑かれたのか、ビッグ・ハンドこと愛ちゃんみたいに刑務所ぶち込まれるの恐れてウソついたか……どっちなんだろ?
あと、国威発揚型こくいはつようがたの大会で凶悪犯に恩赦を与えていいんスかね?

龍星はサーシャのジャブのコンビネーションで次第に後ろに追い詰められいく。そして、サーシャが満を持して必殺の左ストレートを繰り出し、顔面にクリーンヒット……と思われたが、
サーシャ「(か…かわしたっ)」
ギリギリのところでストレートを見切り、紙一重でかわす龍星。そのまま体勢がくずれ、スキだらけなサーシャの左わき腹をとらえる。
サーシャ「ぐふっ」
熹一「骨までイったんちゃうか」
強烈な拳が肉と骨を砕き、先ほどのお返しとばかりパンチ一閃。その場に崩れ落ちるサーシャ。

まっ なるわな…。まぁまぁ強かったんとちゃう?(謎の上から目線)
元々リカルドの時速500マイル・パンチをスリッピングアウェーで回避できた龍星が見切れないはずはないわな(トダーの音速パンチとかも目の前で見てきたんだから)。

よしっ、勝ったな。風呂入ってくる。


◆ドーピング

レフリーはカウントを取るため、倒れ込んだサーシャに近づいた。だが、その手には何やら謎の錠剤が……、
レフリー「さあ飲めっ」
熹一「こらあっレフリー今なんか飲ましたやろ ワシは見たぞっ」
手渡しされた錠剤をサーシャが飲み込む。明らかな不正行為だが、審判は主催側の人間で観客のR国民、熹一以外誰もレフリーを非難しなかった。

お...お前 変なクスリでもやってるのか→やりますた^q^
レフリーがあまりにも堂々と「スッ」っておクスリ手渡ししてて草なんだよね。もうちょい隠す努力をしろや……。

そもそも錠剤飲んで効果がすぐ出るわけないだろ(フラグ)。

レフリーから渡された謎の錠剤を飲んだサーシャがその場で「はうっ はうっ はうっ」と言いながらガクガクと震えだす。そして……、
サーシャ「ばうっ」
そこに黒目をむいて髪を逆立てたドーピング人間が誕生した(唐突なバイオハザード展開はルールで禁止スよね)。

う あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ(PC書き文字)
めっちゃ即効性あるやん……。
なんか黒目むいてるけど、大丈夫なのかこれ?恩赦受ける前にドーピングで身体終わりそう。どんぐりカットの髪も逆立っているし、タフ・ワールドのおクスリすげーな。そりゃ静虎も「クスリを反対から読むとリスク(クスリスク構文)」って言うわけだ。

最初は体格差あるだけで正統派ファイターだと思っていたのに、
龍星の相手ってこんなんばっかりだな。

◆天を衝く髪…←ちょっとだけアオリ捻ったやろ?
次号、どんな変化が…!?←ビッグ・ピッグ戦で見た気がするぞ。


◆まとめ

はうっ、流れるようなおクスリ展開。
先生はドーピングを魔法か何かだと勘違いしているんじゃないっスか?今回のクスリは質量保存の法則を無視するネオ・タチカワ・スペシャルとは別方向にヤバい、スーパーサイヤ人への覚醒みたいなんだ。黒目と逆立つ髪は演出であることを祈りたいですね、ガチでね。

最近はホワイト・ナイト・バトルのおかげで格闘漫画路線に戻ってきたのに、また"あの男"展開とバイオハザード展開が墓から蘇ってきてしまった。来年も不安ですな。

あと、今回のプレボが合併号なので今年はこれで最後かな?
今年は
1月:トダー敗北、リカルド戦開始
2月:悪魔王子とメルニチェンコ 決別の時、心臓共鳴
3月:デゴイチ暴走、金時再登場
4月:精髄破滅拳、リカルド敗北→哀しき過去
5月:マリアン死亡、R国展開本格始動、静虎猿空間送り
6月:あの男
7月:ボリス戦
8月:ボリス戦
9月:悪魔王子戦
10月:スタンプ・ハウアー登場、U国侵攻、リカルド猿空間送り
11月:R国へ、象
12月:ホワイト・ナイト・バトル

主に拳獣編と"あの男"編の二部構成なんだ。
長いようであっという間だったなぁ……(遠い目)。

ついに灘神影流まぬけトリオの3分の2が猿空間送り(鷹兄:2年半、静虎:半年)、新キャラのリカルドもラーメン狂いとなり幽閉。
一応リカルドは「ラーメンにハマった」「R国に狙われている」という描写があり、そこそこまっとうな理由付けでのフェードアウトなので厳密には猿空間送りでないかもしれない。静虎に関しても日本に残ってリカルドを護衛していると解釈すればそこまで不自然ではないかと(あの描写でリカルドがマリアンの仇討ちをしないのはどうかと思うが…)。

それでは
いつも記事を読んでくださっているマネモブの皆様、良いお年を。


出典:猿渡哲也『TOUGH外伝 龍を継ぐ男』第360話