【感想】TOUGH外伝 龍を継ぐ男 BATTLE.398 狙撃手
「BATTLE.395 龍星の菩薩拳」→「BATTLE.396 双子・菩薩」→「BATTLE.397 涙の理由」→「BATTLE.398 狙撃手」←いや、ちょっと待てよ。
◆前回までのあらすじ
ガルシア28号のサポートによって驚異的な力を手に入れた龍星に対して心臓が悲鳴を上げて徐々に力が落ちてきた悪魔王子。
その上、龍星の口からガルシア28号が悪魔王子の痛みや哀しみに深く共感していると告げられ、死人に哀れまれた事が屈辱だと激怒し再び襲い掛かる。
これ以上相手を傷つけたくない龍星は灘神影流・至高の技"蓮華・菩薩"にて悪魔王子を迎撃するが……勝敗の行方は!?
◆蓮華・菩薩
龍星による三度の菩薩拳、しかも最後は灘神影流・至高の技である"蓮華・菩薩"を食らい、胸のアザが蓮の花へと変化する悪魔王子(前々から思ってたけど、このアザ蓮の花に似てる?似てなくない?)。それは心臓が疲弊し機能停止寸前の兆候であった。
身体が鉛のように重くなり動けなくなった悪魔王子、これ以上相手を傷付けたくない龍星はそのまま機能停止状態になってくれと願っていた。
"蓮華・菩薩"といい"破心掌"といい心臓攻撃技多いっスね("破心掌"は掌底の衝撃で横隔膜が収縮して心臓を停止させるから厳密には違うけど)。
身体が鉛のように重くなるとか効能が恐ろし過ぎる…恐ろしさの次元が違う。
龍星はこのまま悪魔王子の機能停止を狙っているみたいだけど、蓮華・菩薩の説明的にもう死に掛けなのはいいんスかね?
最悪、一時的に死んだとしても保険として静虎と熹一がいてガルシア28号にやった時みたいに活法で蘇生させてくれるからマイ・ペンライ(大丈夫)ってことなのかな……。
◆最強
もはや死に体だが指先は動く、ゆっくりではあるが前へ進めると闘志を失わない悪魔王子だが、傍から見れば勝敗は既に決していた。
セコンドとして試合を観戦している熹一は龍星が"蓮華・菩薩"を完全に会得したことで"突然変異の心臓"と灘の秘術(秘術…?)を併せ持つ力に畏怖していた。それに同調して静虎も今の龍星は"最強"だと評価する。
あの悪魔王子がプルプル震えながらも闘おうと歩みを進めている姿が痛まし過ぎるんだけど、どんなに危機的状態でも決して折れない闘志見事やな。タフって言葉は悪魔王子の為にある。
今回で龍星はパワー・ソースの大半がガルシア28号の心臓なのは少しモニョるが静虎から"最強"お墨付き貰ったワケだけど(でも静虎って節穴というか自分を過小評価、他人を過大評価しがちだからあんまりアテにならないのん)、ここが集大成だとするともう闘う相手って熹一くらいしかいないよね?
この後に龍を継ぐ男が続いたとしても龍星が苦戦したら悪魔王子が次章の相手以下の実力なんかいっ!てなるし、やっぱりもう終わりは近いのかぁ…。
◆狙撃手
ヨシフ「狙撃手の準備はいいか?」
一方、試合を観戦していたヨシフは秘密裏に会場に配置した狙撃手に連絡を送り、悪魔王子と龍星の二人を狙撃する準備をさせていた。
このコマ、台詞フキダシついてるから普通に声に出してるっぽいんスけど、ヨシフおじさんの観戦ポジションが近すぎて普通に龍星や悪魔王子、セコンド(熹一&静虎)にも聞こえてそうなんだよね。
てか先週のラストで「次号、ついにあの男が動く」ってなっていたのに結局動いてるのヨシフおじさんじゃねーかよえーーーつ!
ま…また編集さんに騙された。
やはり次号予告のあの男の"あの"は指示代名詞だったか。
会場に配置された狙撃手はすでに龍星と悪魔王子の頭部に照準を合わせており、いつでも狙撃できる状態にあった。ヨシフは試合の決着が付き次第すぐに発砲しろと指示を出すが、深手を負わせて"突然変異の心臓"の再生能力を見たいがために"心臓"は絶対に撃つなと付け加えた。
あの……"心臓"の再生能力(さ…再生能力?)を見たい言うても
頭ブチ抜かれたら流石に即死だと思うんですがそれは……。
(でも龍星はノーヘッドになってもG-28が心臓から操縦してくれそう)
読者目線だとまだ強かった頃の鬼龍おじさんみたいに弾丸すべりされて狙撃作戦が失敗するリスクもありそうなんだよね。もしかして
ヨシフおじ「心臓"は"撃つなよ(手足か腹を撃つやろ…)」
狙撃手01&02「「了解です(頭ズドン)」」
↓二人とも死亡
ヨシフおじ「クソボケが────っ」
ってコト?(すれ違いコントかな?)
あとここの直接顔を見せていない狙撃手さんたち……何かキナ臭いぜ。
◆突然変異の心臓
あの男「悪魔王子の心臓は壊れかけているのか?」←あの男がちゃんと"悪魔王子"って呼んでくれてるの少しシュールだね。
あの男は悪魔王子が機能停止寸前となったこの試合展開を見て、インカム越しに自身に闘いを解説してくれている謎の男に問いかける。
謎の男はやはり"突然変異の心臓"の強度としてはガルシア28号の方が悪魔王子より上だと言い、幼児すら超人に変える(←それは言い過ぎとちゃうか?)"心臓"が身体にもたらす影響力、それを元にIPS細胞から同等の心臓をつくりクローン化することで軍事利用も可能だと売り込みをかけ始めた。
今明かされる驚愕の真実……
悪魔王子の"心臓"<ガルシア28号の"心臓"
ちょっとガルシア28号すごすぎとちゃう?死んでからアホほどスペック盛られまくってるぞ。
そして……
"クローン"の"クローン"!?
急にセールス・トークを始めた謎の男(ぜってー鬼龍)だけど、確かに軍事利用は当然として、スポーツ選手とかの身体能力向上にも利用できそうなんだ。それにスマイル・ジョーの娘のステファニーの治療のためも狙われているし、医療分野でも引く手数多っスね、いろいろと(倫理・道徳・法的に)ルール無用すぎるけど。
……怒らないでくださいね、
それじゃあこんな夢の臓器が30体中2個も発生する存在を闇に葬ろうとした米軍がバカみたいじゃないですか。
ふうん、世界最強の軍隊にも最低限の美学はあったというワケか。
◆限界
悪魔王子「(まだまだやれるッ 一発でもクリーン・ヒットすれば形勢逆転できる)」
悪魔王子は最後の力を振り絞り、形勢逆転を狙って右拳を龍星の顔面に叩き込もうとするが……その瞬間、再び心臓に変調が起こり直撃寸前のところで止まってしまう。
龍星はそれすら見切っていたのか一切防御や回避行動をとっておらず、
龍星「悪魔王子の強さが僕を強くした」
自身の強さをここまで引き上げてくれた強敵(悪魔王子)という存在へ感謝の言葉を送る。そこには怒りや憎しみで禍根を残さず、自他ともに生かす高い次元の闘いを学んだ真の武術家の姿があった。
ここで龍星が悪魔王子のことを「あなた」って呼ぶの普通に感動した。
(先週は「おまえ」だった)
もう"憎み闘う"ではなく"救うべき"相手になったってコトですよね。いやーめっちゃいいなこの描写。
やっぱり龍星にとって目指すべき武術家像は静虎なんだと思う。教わっていた期間はそんなに長くないけど一番の師匠っスね。闇落ち(笑)して鬼龍に師事していた時期は黒歴史を超えた黒歴史。
……しかし、どちらかというと(ほとんど)ガルシア28号が龍星を強くしたと思えてしまうのはええんやろか?
感動と同時にツッコミどころも襲ってくるんだよね。龍星がシラフの強さで悪魔王子を圧倒してたらより最高だったんだが……
悪魔王子とガルシア28号の強さが龍星を強くした
(読者書き文字)
◆修羅の道
ズン…
肉体は当に限界を迎えているのか、その場に倒れ込む悪魔王子。あの男やヨシフはついに決着がついたと思ったが、熹一にはこの闘いがきれいな形で終わるわけがない(メタ発言坊)という予感があった。
悪魔王子「(俺は闘うために生まれたんだ 闘えなくなった時は…"死"しかない)」
床を這いながら龍星に手に伸ばし、人間兵器として作られた自身の存在意義は闘うこと…そうやって数多くの相手を潰してきた…それが自分の番になっても覚悟はできている…とどめを刺せと龍星に求めてきた。
そうか!
君は人間兵器・臓器ビジネス用として作られて他にとりえがないから闘うことでしか自身のアイデンティティを確立することができないんだね…かわいそ…。
↑
ガチでかわいそうなのはルールで禁止スよね。
米軍から脱走できた時に争いを避けて飄々と生きることも選択できただろうに(現に米側は悪魔王子が表立って活動始めるまで見つけれていないし)結局闘い人生を選んでいるのは人間兵器としての悲哀を感じますね。
龍星はそんな悪魔王子の姿を見て彼を殺さなければこの闘いは終わらないことを理解し沈痛の表情で拳を構える。
これまで二人の闘いを静観し続けていた静虎はこの状況……悪魔王子が龍星を修羅の道へ引きずりこもうとしていると危惧し、一度でも人を殺めた善人はその後一生罪悪感に苛まれ精神崩壊を起こすと龍星の行く末を案じた。
悪魔王子にとどめを刺さないと闘いは終わらないことを頭では理解しているのに拳を構えて葛藤している龍星の姿も痛々しい。
今週どっちも(肉体的・精神的に)苦しみすぎやろがえーーーっ!
10話くらい前の幻魔乱舞では二人とも活き活きとしてたのになぁ……。
最近、先生のアイアン木場式・地獄を見せる愛情が炸裂しとる。
◆すべてを終わらせてくれ
悪魔王子「(殺せッ それがほんとの"救い"だ)」
地獄から這い上がり"龍"になったとしても天まで昇れないなら…いっそすべてを終わらせてくれ…忌まわしく哀しい記憶ごと消してくれと…"死"という救いを求める悪魔王子。
悪魔ッセリア「龍星 お…俺はもう疲れた…も…もう終わりにしねェか…」
ここの黒龍(=悪魔王子)がサラサラと砂になって消えていく描写いいっスね。龍星の「悪魔王子」呼びと合わせて今週の好きなシーン、ツートップなんだ。
度々 忌まわしく哀しい記憶(自身が受けた地獄のような日々や苦しむガルシア・クローンの亡霊たち)にうなされていたり、潜在的に"死"を恐れているであろう悪魔王子の本当の救いが自身の"死"だなんて悲劇的で悲しぎるだろ(*;◯;*)
地獄で生まれ汚濁の血を浴び呪詛と怨嗟の声をあげ骸の山で覚醒した悪魔がようやく龍になったのに、天に昇ることが叶わないと知って失意の中で死を望むんだ……あーもう最近の龍を継ぐ男を読んでるとめちゃくちゃあのおじさんと米軍に腹が立ってくるんだ!
はーーっ 鬼龍よ 〇ね!(一応死んでる定期)
鬼龍おじさん…こんなにも龍になりたがってる奴、悪魔王子しかいないんだからもっと大切にしてあげてよ。
(まぁ 悪魔王子の龍になりたい云々は鬼龍の跡を継ぐというより「闘って勝ち続けてドン底から上まで登りつめてやる」っていう上昇志向的なものだと思うけど)
◆鳴り響く銃声!?
力尽きその場に倒れ込む悪魔王子。戦闘不能になり、ついに決着が付いたかと思われたが……
ヨシフ「撃てっ」
パァァン
ヨシフの指示で狙撃手が発砲。会場に鳴り響く銃声、その凶弾は誰に対して放たれたのか!?
撃たれた候補としては
悪魔王子 ← メタ読みだと倒れて力尽きてる悪魔王子撃っても漫画的におもろないからなさそう。
龍星 ← 手足か胴体撃たれて瀕死ってパターンはなくもないかな。龍星を戦闘要員から外して静虎や熹一に出番持ってくる展開にいけるし。
ヨシフおじ ← これ結構予想している人多いですよね。露骨に狙撃手の姿描写してないし、乗り込んだボリスがすり替わって撃つはありそう。てかこんな展開でもないとボリスが会場に「ヌ~」って感じで登場することになってシュールすぎるからね。
あの男← まだ早い。そもそも漫画の中とはいえ〇していいんですかね?ふうん、〇ー〇〇大統領とあの男は別人というわけか。
熹一&静虎 ← ◆この狙撃の目的は…!?
◆銃口は誰に…!? ← 多分ヨシフおじさんじゃない?知らんけど。
次号、会場は混乱に…!! ← やべぇよ…試合終わったからまた狂気のR国展開だよ(畏怖)。
◆まとめ
生きろ悪魔王子。
お前はガルシア・クローン唯一の生き残りとしてハッピー・エンドを迎えるのだ。そして…龍星たちと一緒に春木屋(吉祥寺店)でバカ話しながらラーメンを食べろ…リカルドのように。
悪魔王子は悪行も大量にあるけど生まれからここまでクソみたいな人生すぎて同情もできるんだよね。できれば生き残って欲しいけど、先生そんな手ぬるくないから普通に死ぬと思う。
(昔ザ・ハードの最終回読んだとき素で「は?」ってなったのん)
死ぬ前提として悪魔王子の末路をきれいにするならジェットみたいに誰かを庇って撃たれるって感じもありそうなんだ。
龍星庇って撃たれる悪魔王子とか感動的でファンタスティックだろ?←その展開には致命的な弱点がある。"あの"悪魔王子が龍星を庇う理由が1ミリもないところだ。
一応今回で試合は終わりっぽいが(というか中断?)、ラストで撃たれたのは誰なんだろうね?色々と候補を挙げたけど。
私はヨシフおじが一方的にあの男と信頼し合っていると思い込んでいるだけで実はあの男はそこまでヨシフを信じていない(むしろR国内でのPMCの影響力を嫌っている)。恐らく生きてる鬼龍がホワイト・ナイト・バトル中に聞いたヨシフの話をベラベラあの男に密告して裏切り者として処分させる……で、狙撃手はボリスってのが予想です。
まぁ 結局どんな展開でも誰かは死ぬと思われるんやけどな ブヘヘヘヘ。
銃…すげぇ 感動するぐらい殺傷能力あるし。
この漫画はシーム・レスにステゴロ・バトルからミリタリー・バトルへ移行するから怖すぎるーよ。
◆次号予告
次のプレボNo.52-53は12月9日月曜日です。
合併号…糞。
出典:猿渡哲也『TOUGH外伝 龍を継ぐ男』第398話