【感想】TOUGH外伝 龍を継ぐ男 BATTLE.379 男の執念
格闘技大会からシームレスにサスペンス・ホラー展開が始まるのはルールで禁止スよね。
◆前回までのあらすじ
R国の総合格闘技大会「ホワイト・ナイト・バトル」がついに閉幕。蓋を開けてみれば西側の圧倒的勝利…国威発揚という面では大失敗に終わった今大会。この散々な結果はU国侵攻の停滞、国際社会からの孤立…R国の今後を暗示するかのように思えるが、R国を裏で操るヴィクトル・グループ総帥のヨシフは核戦争も辞さないと狂気の思想を露にする。
◆高潔なる龍の血…
夢の中で天へと昇る龍のビジョンを見ていた悪魔王子、気が付くとそこは会場内の医務室のベッドであり、キラージョウによって負った頸動脈の傷も治療された後だった。
悪魔王子「キー坊」
熹一「気がついたか」
意識を取り戻した悪魔王子の傍には、同じく試合で負傷して肋骨用ギブスをつけた熹一がいた。どうやら悪魔王子は突然変異の心臓で止血した後、リングの金網を出たところで意識を失ったらしい。
(スタンプが「やっぱりあいつは殺したほうがいい どんどんバケモノになっていく」って言った後にぶっ倒れたと考えるとすげーシュール)
スタンプ……悪魔王子を確保する千載一遇のチャンス逃してるんスけど、いいんスかこれ?
しかも突然変異の心臓を奪うなら絶好の機会なのに大会運営側がちゃんと治療してくれるだなんて…ふうん、R国って奴は案外律儀なんだな(めちゃくちゃ不正してたけど)。
スタンプは龍星と試合後もずっと駄弁っていたのかな?コイツやる気なさ過ぎとちゃう?まぁ 会場で悪魔王子を確保できたとしてもR国から連れ出す手段が現状なさそうだし、何かしらのセカンド・プランがあるんでしょ、知らんけど。
熹一も5話ぶりに猿空間から帰還(BATTLE.374~378)。
時系列的に悪魔王子とキラージョウの試合中に治療を受けていたのかな。でもルスランと闘った後、呑気にスタンプの試合を見物してたんだよなぁ……治療を後回しにしても味方(?)のスタンプを応援する熹一、美しい仲間意識に感動しております(グスッ。
◆熹一と悪魔
冒頭の天へと昇る龍のビジョン、悪魔王子はうなされつつも「龍になって天高く~」云々を口に出していたようで、それをバッチリに熹一に聞かれていた。そんな立派な志をもっていたなんてと変顔しながら茶化す熹一だが、
熹一「ワシに聞かれたんはハズいのォ 」
悪魔王子「黙れ」
とイラつきながら一蹴。
こいつら友達かよ……。
現状、龍星よりライバル関係なんだよね、すごくない?
だけどよくよく考えたら熹一にとって悪魔王子は3人目のガルシアなんだし、鉄拳伝と龍を継ぐ男で2度死別した熹一とガルシアがしょーもない会話してるの…なんかいいな。
熹一「けどちょっと見直したんやで キラージョウを殺さへんかったもんな(ちゃんと生き返らせたし)」
いくら卑劣な手を使ってきたとはいえ、試合で対戦相手の命を奪うという一線を越えなかった悪魔王子を見直したと言う熹一だが、悪魔王子はあんな奴殺す価値もないし俺の手を汚したくなかっただけだと否定。相手が熹一だった場合は容赦なくぶっ殺すと啖呵を切る。
キ「キラージョウの命を奪わなかったとは…立派な心がけや」
悪「フン 勘違いするな」
↑今週この2人、イチャイチャし過ぎじゃない?濃厚なキー悪回。
熹一は悪魔王子のことをもう灘のメンツ扱いしてるフシがある。
◆あの男の所在
~VIP席~
前回、あの男よりヨシフの方が危険な男だと言い放った鬼龍だが、ヨシフもそれは自認しており、全ては誰よりもR国を愛しているからだと弁明する。鬼龍が"行き過ぎた愛国心は身を滅ぼす"と忠告しても意に返さない。
鬼龍「ところでヨシフ 何時になったらあの男に接見できるんだ?」
ヨシフ「あの男はここにはいない S地方に狩猟に行ってる」
このまま話していても埒があかないと話題をあの男に変える鬼龍だが、どうやら今回のホワイト・ナイト・バトルでは会場にあの男が訪れる予定はなく、S地方で狩猟を楽しんでいることが明かされる。
許せなかった…無類の格闘技好きと言われていたあの男が公開計量にだけ現れて、大会当日は狩猟に勤しんでいるだなんて。
スタンプお前なんか言うことあるよな?
(チッ "ほぼ"なんて予防線貼りやがって)
あの男……国威発揚大会で大統領も拝見するって名目なのに結局現地には現れず、戦争中なのに呑気に狩猟してるあたり、もう大分ボケが進行してるんじゃないっスか?忌憚のない意見って奴っス。
国威発揚目的と格闘技好きのあの男を喜ばせるために開かれてる大会なのに今回のホワイト・ナイト・バトル……結果も含めて最悪のものになりましたね。こんな事なら開催しなかった方が良かったと考えられる。
あと鬼龍おじさんがあの男に会いたがる理由はヨシフおじさんの黒幕すべりのせいで無くなったと思われるが…まだ討伐対象なのん?
一応、あの男とヨシフはコインの表裏の関係だから黒幕が増えただけで依然ターゲット扱いというのも分からなくはないが。
黒幕すべり展開でフィクションとはいえ〇ー〇〇大統領を〇すのは不味いからヨシフおじさんをスケープゴートにするかなって思っていたけど、こりゃどっちも荼毘に付しそうですね。
(そうなった場合はこの漫画も荼毘に付しそうですね)
◆狩猟
~S地方~
一方、時を同じくしてS地方ではあの男が側近と兵士を引き連れてヘラジカの狩猟を行っていた。
あの男「逃がすな 追えっ 私が仕留めてやる」
ジープに乗り、狙撃銃(SVCh)を構えてヘラジカを一撃で仕留めるあの男。「お見事です閣下」と周りの側近たちはあの男を称賛し、当人もご満悦の様子だが……
側近(無線)「ご苦労 閣下も自分が仕留めたと思いご満悦だ」
狙撃兵「フー やれやれ」
実はヘラジカを仕留めたのはあの男の銃弾ではなく、別の場所で身を潜めていた狙撃兵のもの。この狩猟は最初からあの男を気分よくさせるために周りの人間がサポートする接待狩猟だった。
(あの男の狙撃銃はサイレンサー付きで狙撃兵の銃はサイレンサー付いてなさそうなんですけど銃声の大きさで気付かないもんなんスかね?)
「ファ~眠い」発言から1年越しにあの男の語録が追加だーーーっ!!
そして…あの男めっちゃ周りの人間に舐められとる。お山の大将が過ぎるんだよね。
前からヨシフが黒幕を気取っているが本当はあの男が切れ者でヨシフすらも利用しているって展開を予想していたけどこれは……
マジモンの傀儡、お飾り大統領ってこと?
(まだ影武者って可能性もあるけど)
◆異変
狩猟の成功を喜ぶ一同であったが突如、「ギィィィィ」という動物の悲鳴のような音があたり一面に響き渡った。
あの男「なんだあの悲鳴は?」
この異様な事態に対し、警護兵はあの男を一旦車に避難させて悲鳴が聞こえた方角に向かうと、そこには先ほど仕留めたヘラジカの優に3~4倍はありそうな巨大ヘラジカが首の骨をヘシ折られた状態で横たわっていた。
急にサスペンス・ホラー展開が始まるのはルールで禁止スよね?
つーかデカすぎんだろこのヘラジカ。龍継では久しぶりの巨大○○シリーズだけど、毎回このキャラはこれだけ強いですよ描写のために嬲られる動物くんたち…かわいそ。
【これまでの犠牲者たち ※龍継限定】
・飢えたライオン
・巨大バイソン
・巨大グリズリー
・動物園ゴリラ
・ムーシャ(象)
・巨大ヘラジカ
この中だとなんだかんだ言っても"最強"はやはり巨大グリズリーか。
◆湖の底から…
巨大ヘラジカの死体の状態から武器が使用された痕跡はなく、徒手の人間の仕業の可能性があるが、にわかには信じがたいといった様子の警護兵たち。
周辺を探索しながら凍結した湖の上を慎重に歩いていく。
そして……
警護兵2人はまだ気付いていないがその真下、凍結した湖の中に潜む影に
最強囚人兵、ボリスの姿が!!
う あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ(PC書き文字)
ボ…ボリスが凍結した湖の中に練り潜んでいる。
衝撃的過ぎてフェイク映像みたいだが…これはリアルなんだ。ボリスが猿空間から帰還したことより登場シーンが衝撃的すぎて今週の感想全部これに持っていかれたわ。
ボリスは人が上に乗って歩けるくらい凍結した湖の中を動けるんか……サド看守編で足の指が壊死してたから寒さに無敵ではないはずなんやが、何か特殊な装備でも付けているのかな?
しかし、ボリスのターゲットはあの男で間違いないとして、問題は鬼龍があの男が会場に来ないのを今知った風なのにボリスがS地方で待ち伏せしていることが謎を超えた謎なんだよね。
また後付けを超えた後付けで鬼龍は最初から全て知っていた展開だと思うけど、超演技派ですねこのオッサン。
果たしてボリスは真の黒幕がヨシフおじさんだということを知っているのだろうか…?
・勘違いしたまま
・ヨシフが黒幕だと鬼龍に教えて貰った上であの男も同罪扱い
前者だとあまりにもボリスが哀れだから鬼龍が全部知ってて教えてくれていると思いたい。利害が一致しているとはいえ、「お前死ぬよ」シーンだったり、やたらボリスには同情的なんだよね鬼龍。
◆この男、再び ← 7カ月と25日ぶりです。
次号、執念の男、ボリス!! ← しかし何故ヘラジカを見せしめに…?
◆まとめ
「ポリスは君のすぐ下にいるよ」
ホワイト・ナイト・バトルが終わって新展開開始。まさかのっけから悪魔王子とキー坊の会話シーンが差し込まれるとはね。
エドガード・C・ガルシア、ガルシア28号とシリーズを通して死別してきたキー坊が悪魔王子(ガルシア11号)と軽口叩いているの普通に良シーンだと思う。
悪魔王子は定期的に無様晒したりツンデレ・ムーブしたり、なんだかんだで憎めないキャラなので、龍星・キー坊とバチッと決着つけて欲しい。
でもその前にスタンプとの対決か。
今回、悪魔王子を確保するチャンスがあったのに何もしなかったし、話の都合なのか別の作戦があるのか…もしくはもうやる気がないのか(ステファニーってまだ生きてる?あたりタフだよね)。
スタンプ・悪魔王子関連の落としどころがまだ分からないですね。
次号からはキー坊・龍星たちがしばらくお休みでボリス・鬼龍のターンが始まるみたいですが、ヨシフに黒幕すべりしてあの男はもうフェードアウトすると思っていたのに、ボリスのサーチ・アンド・デストロイ展開が始まってたまげたなぁ。
猿渡先生…やっぱり自分の漫画で〇ー〇〇大統領を〇す気なんか?(畏怖)
◆余談
この画像は…ま…まさか!?
◆次号予告
次のプレボNo.28は6月24日月曜日です。
出典:猿渡哲也『TOUGH外伝 龍を継ぐ男』第379話