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「失敗は敵ではなく、最大の学習材料だ」失敗の科学①

「失敗は敵ではなく、最大の学習材料だ」

マシュー・サイド『失敗の科学』

あなたは失敗から目を背けていませんか?

この記事では、我々がいかに失敗を見て見ぬふりをしているのか
失敗から学ぶことが、学習において最も大切な行為であることを紹介します。

冒頭だけでも見ていってください(^▽^)/

この記事は、こんな方におすすめです

  • 失敗を恐れて行動に踏み切れない方

  • 批判的思考を深めたい方

  • 自分の行動や意思決定を見直したい方

生存者バイアス~見えないデータの罠

成功したものだけを見ていませんか?

戦時中のアメリカ空軍で、帰還した爆撃機の損傷データを基に改良を試みた際に起こった話です。

第二次世界大戦中、空軍は爆撃機を敵の攻撃から守るため、どの部分に装甲を追加すればよいかを検討していました。そこで、帰還した爆撃機の損傷状況を調べたところ、特定の部分(主に翼や胴体)が大きな損傷を受けていました。一方、コックピットや尾翼には損傷がほとんど見られませんでした。

軍の司令部は、損傷の多い部分(翼や胴体)に装甲を追加するべきだと考えました。理由は「損傷の多い箇所が、敵の攻撃を受けやすい場所だから」というものです。

一見するとこれは妥当な考えであり、すぐにでも実行に移すことが推奨されそうです。

しかし、軍司令部の考えには致命的な弱点があるのです。

数学者アブラハム・ウォルドは、この考えに異を唱えました。彼は次のように指摘しました。

  • 帰還した爆撃機のデータは、生還したものに限られている

  • コックピットや尾翼が損傷していないのは、そこが攻撃されると生還できないから

  • 帰還した爆撃機の損傷データは、「撃たれても生還できる場所」を示しているにすぎない。

結果的に、コックピットや尾翼の装甲を強化することになりました。

彼がこのように提言したおかげで、爆撃機の撃墜数は改善され、パイロットの生存確率は劇的に上昇しました。

この洞察は、生存者バイアスの典型的な例として知られています。

教訓1つめ

  • 見えているデータだけに依存してはいけない

  • 見えないデータの重要性

  • 失敗や欠損データを考慮する視点

    • 表面的なデータに惑わされず、深く考える姿勢が重要。

緊迫した現場での選択肢の喪失

ベテランほど失敗に囚われる理由

とあるアメリカの病院で実際に行われた医療事故の話です。

簡単に言うとこのようになります。

  • 状況

    • 医師たちは患者の命を救うため、気道確保の処置(チューブ挿入)に取り組んでいた。

    • 複数の方法を試みたが、身体的な制約で全て失敗に終わる。

  • 看護師の提案

    • それに気づいた看護師が「気管切開」という別の選択肢を提案し、必要な道具を準備していた。

  • 結果

    • 看護師は医師たちに準備が完了したことを伝えたが、すでに行っていた方法に集中しすぎており、提案された新たな選択肢に気づけなかった。

酸素濃度が90%以上にまでもどったものの、脳に致命的な損傷を受けてしまいました。十数日後、患者は息を引き取りました。

遺族に対し、医師たちは
「これは避けようのない事故であり、私たちも最善を尽くしましたが救うことができませんでした。」

自分たちを信じて疑わず、看護師が気管切開を行うように提言したことを無視したにもかかわらずだ。

教訓2つ目

  1. 緊張状態で選択肢を見失う

    • 緊迫した状況では、冷静な判断力が欠如し、目の前の解決策に固執する傾向が強くなる。

  2. 経験の罠

    • ベテランほど「自分の方法論が正しい」という意識が強く、柔軟性を失うリスクがある。

  3. 選択肢を持つことの重要性

    • 「あらゆる状況で別の選択肢を用意しておくことが、予測困難な事態における最善策を選ぶ鍵となる」

参考


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