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現実的なランディングイメージを今のうちに描いておくべきじゃない?

最近この国はどうしてしまったんだろうと思うような世論の隔たりがニュースごとに散見されるようになりました。利己主義、自己責任論、誰か特定の個人・団体が恣意的に世の中を牛耳っているというような反知性主義的な意見が混じり合わなくなってきたのです。このままでは、ほとんど諸制度に変化を許さないまま国家が失速するかもと思い、私個人的には最近、有事や国家破綻に備えようと心づもりをしました。そうしてみると他の人の意見が気になったので身の周りの人に聞いてみると、ランディングイメージはバラバラでしたが、意外と国家は衰退すると思っている人が多い事に気づきました。

主におじさんに聞きましたが女の子は「はて?そんな問題があるの?」って感じの人が多かったです。ジェンダーの違いでしょうか?私も一人のおじさんとしてそういう状況を作っている責任の一端を感じます。多かったのはおじさんの「近い将来高齢者一人に対して生産労働人口の比率が2人未満になるんだから普通に勘定して衰退するのは明らか」という意見でした。私個人では残念ながら統計的データの裏付けを取ることはできかねますが、皆さんの意見は概ねこんな感じの意見に分かれていました。

A. 国家破綻は劇的に起こり、国家は極端に右傾化する(戦前のような状況)
B. 地震も国家破綻も起こると言われているんだから自分は備える
C. 国家破綻はゆるやかに起こり、社会不安は起こるが自分は日本と未来をともにするつもり(諦め)
D. 地震も国家破綻も起こると言われているのは知っているけど、自分と直接関係ある問題だと思えない。または対策が浮かばないから行動もしない
E. 考えたこと無いし、そんな問題は存在しない

つまり、「起こる・起こらない」の議論にエネルギーが浪費されてしまって「起きてしまったらどうする」という話があまり公にされていないため皆かなりの部分を想像に頼って話しているようです。また、日本にはドイツのような戦争に対する反省のコンセンサスが存在しないのも気になります。私個人は衰退は劇的に起こるのか緩やかに起こるのかは分かりませんが、いつか起こると思っており、安全な方に倒して備えておくべきだなという結論に至りました。しかし、社会全体では衰退時もしくは衰退後に備えるイメージを描けないでいるのであります。

ここで懸念されるのが格差の問題です。10年くらい前なら単なる所得の違いであった格差は現在に至ってはかなり根深く、個人の行動規範や意見にかなり影響するようになってしまいました。それもそのはずです。格差によって全く別の事実を見ている人たちなのですから、意見の一致を見るわけがありません。上と下の問題の他に右と左の極端な違いの問題も抱えています。

- 右の人は国家の衰退はミクロな家族という単位で父親が権威を喪失したために起きたから、権威を復帰すれば国が立ち直ると言っています。また、南京大虐殺のような世界的に歴史として認められているようなことが無かったといって、こういう歴史感が現代日本から飛び出すことについて諸外国の人をびっくりさせたり、選択肢のない強制的な愛国心を植え付けるような教育を現政権に食い込んで広めようとしています。ちょっと私が所属しているビジネスの世界では考えられないような大きなギャップのある言動です。

- 左の人は原発を明日から止めると何が起こるのかよく分かっていないですし、改憲にしたってまるで安倍さんが悪の使いのような扱い。何かを主張するのは自由なのですが、発言をする時にその主張によってどのような社会にしたいのかグラウンドデザインを描く能力に欠ける。

- 中道の人は賢いから黙ってるだけ

僕はこういう極端な人達と改憲をはじめ、これからの社会を一緒になってデザインできる気があまりしないのです。今こそ健全で、ものを言う中道が必要なのではないでしょうか。一番不安なのは利己主義や貧困自己責任論が蔓延してきていることです。自分さえ良ければ他人がどうなってもいい、知っている人が友達を見放す。そういうような社会を見たくないのです。どのように着地するのかそのイメージを一緒に考えていきませんか?

ギリシアではある日突然国民が国庫が空になったことを知らされ、国民の自尊心も同時に吹っ飛びました。このような状況にあってEUはギリシアに緊縮政策を求めたため、自治体による社会保障の質を下げざるを得ませんでした。そして一部の年金受給者や生活保護受給者は保護の対象から外れたため広場や役所で抗議自殺をするような事態になってしまいました。

最後に終戦後に戦犯者を追放する世の中にあって個人や特定の階層ではなく社会参加者全員の責任を説いた伊丹万作の「戦争責任者の問題」という文章をご紹介します。Amazonでも書籍化されていて無料で読むことができます。

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我々日本人にはある特徴があって、それは今もあまり変わっていないのです。

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