幸せホルモンのオキシトシンをだすタッチング
幸せホルモンのオキシトシンをご存知ですか。NHKスペシャルでも特集されたので、ご存じの方もおられると思います。実は、タッチングは幸せホルモンと関係があるんです。今回はオキシトシンのお話です。
4コマ漫画:タッチングでオキシトシンがでる
幸せホルモンは3つある
幸せホルモンは、オキシトシン、セロトニン、ドーパミンの3つと言われています。細かいと言われるかもしれませんが、セロトニンとドーパミンはホルモンじゃなくて神経伝達物質です。オキシトシンもホルモンだけど神経伝達物質としても働いてるんです。
だけど、なぜだか全部ホルモンで括られています。幸せホルモンの方が、幸せ神経伝達物質より語感がいいからなんでしょうね。でも、全部ホルモンと勘違いしてる人がいるんじゃないかなぁ。
オキシトシンって、どんなもの?
オキシトシンは出産のときに子宮収縮させたり、授乳のときにお乳を出してくれるホルモンと言われていました。研究が進んでオキシトシンは出産や育児だけでなく、親子関係を親密にしたり、不安を減らし、幸福感を感じさせるのに働くのがわかってきています。オキシトシンは心を癒す働きがあるんですね。
子育てに関係するオキシトシン
オキシトシンは子育てにも関係しています。妊娠中や産後のオキシトシンが、母親の子どもへの愛着や行動に関係するのはよく知られています。子育てを通じてオキシトシンが増えるのに男女差はなく、父親も子どもとの触れ合いでオキシトシンがでると言われています。子どもと触れ合う子育ては、オキシトシンで幸せを感じながら親子の絆を深めてくれるんです。
産後うつに関係するオキシトシン
オキシトシンは妊娠中から産後半年後くらいまで増えます。うつ病の母親はオキシトシンが低いという研究もあり、オキシトシンが産後うつの予防に役立つかもしれないそうです。早く、オキシトシンでうつ予防が実現するといいですね。
虐待とオキシトシンの関係
女性を対象の研究ですが、幼少期に虐待を受けた人はオキシトシン濃度が低い研究があります。本を書くときに、アメリカの事例で幼少期の虐待で成年後に薬物依存やうつ病になる人が多いという論文を読んで、もしかしたらオキシトシンが関係してるのかもと思いました。オキシトシンの研究は増えてるので、今後、もっと詳しい研究が出てくると思います。
オキシトシンはダイエットに関係してる?
調べてみたらオキシトシンは食べる量や満腹感に関係しているみたいです。オキシトシンは脳、交感神経などにも影響して代謝にも関わっているというものもありました。ただね、齧歯類の研究なんですよ。人間相手じゃないんです。まだまだ人間ではわからないのがホントのところです。そのうちオキシトシン・ダイエットとか出てきそうで怖いなあ。
どうでもいい話
どうでもいいですが、今回の4コマは前回の「冷感グッズにだまされる触覚」の話に出てきたのと同じ海です。海の上でペンギンが冷覚センサーを話してるときに、海の底ではサメがオキシトシンを話してました。
ちなみにオキシトシンの研究は哺乳類が対象です。暑いんで涼しげなサメを選んだんですが、軟骨魚類のサメにオキシトシンが出るんですかね。卵胎生でミルク子育てのホオジロザメや群れをつくるシュモクザメあたりで、誰か研究してくれないかな。
参考
・Psychiatry Clin Neurosci. 2017 Oct;71(10):690-705.
・Endocr Rev. 2020 Apr 1;41(2):121-45.