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IT支出:経営者が正しい判断をするために[20241113]


今週は、IT支出について色々と話してみたい。

昨日は、IT支出額のうち新規開発費用がどの程度かについて考察したいという話をした。

「それは何パーセントが正しい数値か教えろ!」というトンチンカンなマネジメントがおられる。

健康診断の血液検査の値のように考えている方が少なくない。

何%が健全で、それ以外は不健全だと言いたいようである。

会社は、血液と違って計測項目に個社毎の違いがあるので、そんな簡単なものではない。

私が言いたいのは「経年変化」で捉えたいということだ。

マネジメントの方針通りに変化しているのかが最重要なのだ。

保守・運用比率を下げて新規開発費用の比率を上げる方が健全だとマネジメントが判断すれば(ほとんどそう考える筈)、そういう経過で変化しているかどうかが大事なのである。

日本人の悪い癖だと思うが、具体的な数値目標を提示すると「なりふり構わず」数字だけ達成しようとする。

言い方を変えると「マネジメント」に稚拙な方がやりがちな浅はかな行動とでも言えば理解いただけるだろうか。

「浅はか」といえば固定資産の償却費の計算方法もそうだ。

「減価償却」という制度は多くの税金を課すために政府が考えた施策である。

だから、政府の胸三寸でいくらでも計算方法が変わる。

P/L(損益計算書)やB/S(貸借対照表)にヒットするではないかと言う方がいるが、それが「浅はか」だと言うのだ。

IT支出の健全性を語るのにP/LやB/Sが、いかほど役立つというのか?

IFRS(国際会計基準)は、国・州などの地域の違いによって生じる財務(税務)会計では、共通の基準で投資家が企業評価できないからできた会計制度だ。

上述のことを理解していない経営者も少なくないが、IFRSを採用してその上で自社独自の管理会計をしようとする向きもある。

IFRSの主旨を正確に理解するある企業では、管理会計制度は全てこれに準拠すると決めたとCOOから聞いたことがある。

多くの日本企業は、何が無駄で何が合理的なのかという判断を正確な知識が無いことで歪めてしまっていると言えなくもない。

私は、常々「IT財務管理」という項目をIT戦略の中に入れて説明する。

IT財務管理という項目は第3章の第4項にあるが、財務管理という言い方が気に入らない方が大勢いて、「経理部の仕事ではないか!」とか「経理部の仕訳方に準拠している!」といった罵声を浴びることが多い。
余程、経理部のことがお好きらしい。(笑)

あえて「IT財務管理」と言うからには、経理部の勘定/仕訳方法とは違うIT独自の管理方法があるという意味なのだ。

IT財務管理は、全てのIT支出を3パターンに分類する。
実に単純明快ではないか。

私たちは、TGR法と呼んでいるが、TはTransform、GはGrow、RはRunの意味だ。

ITの目的別に、支出を分類しようというのである。

少し視点を変えて説明してみよう。

IT支出を経理部の言う通りに分類すると項目は次の様になるだろう。

(1)有形固定資産、(2)無形固定資産、(3)経費、(4)人件費
(5)その他

なお(3)は、内訳として通信費とか保守補修費とか仕訳が存在するだろう。

経理部が分類する数字を一覧で見たら経営者は何というだろうか?

十中八九「もっと安くならないか」「もっと安くしよう」というに違いない。

何に役立っているのかがわからないのだから「安くしてほしい」というに違いないのだ。

これだけを見れば、経営者は悪くなく健全だ。

インプットの仕方を間違えば「どんなに優秀な経営者」も判断を誤るだろう。

「IT財務管理」という考え方は、ITの価値を(経営者が)見誤らないようにするための施策なのである。

そして、それこそがITマネジメントの真髄なのである。

ITには新規開発と保守・運用の2種類しか無いという考え方では、このようなIT財務管理はなし得ない。

ITマネジメント(企画とも言える)の存在が、経営者に正しい判断をさせるのだ。

あえてもう一言付け加えるなら「情報と鋏は使いよう」である。

合同会社タッチコア 小西一有

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