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技術がビジネスの成否を決める訳ではない[20241220]


12月も後半に入り2024年も暮れようとしている。

出張から戻ったが、本格的に寒くなり私も風邪をひいた模様だ。
長くこの投稿を読んでいただいている方々には、年末に風邪をひいて体調を壊すのは私の「年中行事」と思われているかもしれない。

今回の風邪は、講義に熱中するあまり、汗だくのまま4時間以上を過ごしてしまったのと、ダメ押しで、傘無しで20分も雨の中を歩いて居酒屋に向かったことが要因だと思う。

さて、昨日まで大学でどんな話をするのか? について話してきた。

今週担当した科目は「技術者のためのマーケティング入門」だったので、 技術の優劣がビジネスの成否を決定する訳ではないという話をした。

テクノロジで最高水準を確保して鼻高々な企業も多いが、実は最高水準を欲する顧客は市場では極一部の可能性が高い。

もちろん逆に、業界水準よりも圧倒的に劣るようでは、市場から退場させられる可能性が高い。
市場のボリュームゾーンは、通常は平均的なテクノロジ水準である。

「最高水準のテクノロジを開発することは『悪』では無いが、ボリュームゾーンを取れる可能性は低い」

そう学生達に話をする。

クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」を読んだことがある方は、あの話ね、と直ぐにわかるだろう。

技術者になりたいと希望している理系学生ほど「イノベーションのジレンマ」は読んでおいて欲しいと思う。

また、デジタルテクノロジをどの領域に適用するのか、という話もする。

どの領域というのは、学生達には理解しずらいのだが、優れた製品・サービスを創出するために使うのかという意味である。

例えば、生産プロセスに利活用してSCMプロセスを磨き「リードタイムを削減する」とか「不良品を生産しない」に貢献するといったことだ。

製品・サービスのデリバリー(提供)にデジタルを使うのか?
収益モデルに工夫するなどビジネスモデルにデジタルを利活用するのか?

世界中の企業にアンケートを取った結果は、優れた製品・サービスを創出するために使うと回答した企業が圧倒的多数で、多額の投資を実施した。
他のどの分野よりも圧倒的だった。

しかしこれが、実際に蓋を開けてみると、結果を出した領域は「ビジネスモデル」だったのだ。

「優れた製品・サービスを創出するために投資した」結果は、圧倒的に他の領域に負けることになる。

そんなことは、世界中の誰もが知っているのに、やはり「製品・サービス」に投資したいのが日本の企業・組織である。

経済産業省がそのように誘導しているし、仕方ないな…で済ましても良いのだろうか?

学生に向けて、このような話をしている。

大人向けにも、このような話をさせていただきます。
ご興味のある方は、お気軽にご一報ください。

合同会社タッチコア 小西一有

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