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CxO制度は組織力のバランスを取る[20241120]
11月も後半で寒くなるのも当たり前だが、あまりに急で戸惑ってしまう。
月曜日から「○○本部長」、「CxOについて○○本部長との違い」について話をした。
さて、今日もCxO制について話をしたい。
日本企業にお勤めの皆さまには「縦割り組織の利益代表」という表現はピンとこないかもしれない。
どのような組織にも、声が大きくてちょっとした無理でも通してしまう人がいないだろうか?
自部門の長が、そんな人なら「頼もしい」と思うかもしれないが、そうでは無い場合は「扱いに困る」のではないだろうか?
何故なら、理屈の通らない相手だという場合はほとんどだからだ。
具体的な事例を挙げると、情報セキュリティ案件などだ。
情シスでは、最低限の施策を全社に提案しているつもりでも営業本部長はこんなことを言うのではないか。
「営業がいつもどのような活動をしているのか知っているのか!まどろっこしい手続きをしなければ顧客情報にアクセスできないなら売上目標が未達成になってしまうぞ!」
公の席で怒鳴られてしまったら、引き下がるよりなくなってしまうだろう。
営業本部の社員はよしよしと思うかも知れないが、意外と全社的には大迷惑だったりする。
しかし、正しいCIOが存在してくれれば妥当な采配をしてくれるはずだ。
情報資源に関する最高責任者であるCIOなのだから営業本部長の横暴には屈しないだろう。
大声で怒鳴る人はどんな組織にも存在するし、概ね、稼ぎ頭のような部門で誰にも反論出来ない状況に陥っている。
更に、大声の人にはたくさんの部下がいて、彼らの意見を代表しているという自負があったりする。
「縦割り組織の長」だけの役員会などで「モノゴト」を決める場合は、危険な意志決定をしていることが多い。
私の知る限りでは、社長になって初めて、全ての縦割り組織が纏まって「当社」になるのだと実感したと言う方が多い。
ここまで言っておきながらだが、縦割り組織が悪いと言っている訳ではない。
大組織を専門分化させて効率的に稼働させるためには、縦割り組織の構造を取らざるを得ないことは間違い無い。
ただし、弊害も大きいので何らかの対策も必要なのである。
それがCxO制度なのだと理解していただいて間違いないだろう。
日本のトップ達は、縦割り組織の長、利益代表者としての権力を遺憾なく発揮する。
それが会社組織全体のアンバランスを発生させるとしてもだ。
社長でさえも、数字が達成されないのは困るので「上手くやってくれたまえよ」と、曖昧な態度を示したりする。
このように縦割り組織の構造が強くなると組織全体のバランスが崩れてしまうのは、皆さんも経験からご存知だろう。
しかし、経営資源別の横串方向の意見が優先的に採り入れられれば組織力にバランスが取れやすくなるのである。
海外の経営は、こういう理屈を理解しているのでCxO制度を導入するのだ。
日本では、情報システム本部長とCIOは同じ、経理財務本部長はCFOと同じだと捉えられているので、多くの企業では導入されない。
日本の国際的な競争力は地に落ちているが、その主たる原因は稚拙な経営にあるのではないだろうか。
合同会社タッチコア 小西一有