日本人が美徳とするところからの結果[20240904]
今週は、発明とイノベーションについて話している。
今日は、日本人は発明が好きな理由を発明の事例をもって説明したい。
皆さんはコツコツと額に汗して働くことは美徳だとお考えだろうか?
多くの日本人は、そのようにに考えているらしい。
特に若いうちは額に汗を流して苦労するのが当然だ、くらいの風潮がある。
何を隠そう「発明」は、意外にもこのコツコツの結果生まれることが多い。
天才が発明するのではないか、と考える方も多いかもしれないがかなり違う。
かのトーマス・エジソンでさえ「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」と言ったくらい「努力」がメインなのである。
私が発明の事例としてご紹介するのに「L-グルタミン酸ソーダ」がある。
「なんじゃそれ!」と思うかも知れないが、これは世紀の大発明品である。
後に「味の素」と呼ばれる旨み調味料となって世間を席巻するのだが、これを発明した人のは池田菊苗博士である。
彼の専門は、分析化学で元々は東京(帝国)大学の先生だった。
やがて京都(帝国)大学に転勤し京都の女性と結婚することになる。
京都の奥様が彼に飲ませた昆布だしの吸い物の美味しさに驚愕し、その旨み成分を分析したくなったのがきっかけと言われている。
エジソンの言葉を借りれば「1%のひらめき」がここにある。
そして、彼は、奥様に来る日も来る日も昆布だしを取らせ続け、出汁を何十倍にも煮詰めて凝縮して旨み成分を特定すべく分析をしたと言われている。
彼の努力の結晶なのか、奥様の努力の結果かはここでは問わないことにするが、いずれにしろ「グルタミン酸ソーダ」を特定するに至る。
かくして味の素は「旨み調味料」として産声をあげることになり、製造販売企業である「味の素」は、今や国内最大の食品会社になっている。
コツコツと実験を重ねることを美徳する日本人は、結果としての「発明品」や「発明者」を賞賛する。
日本人が美徳とするところから生まれる結果、これが発明好きのニッポンなのである。
一方でイノベーションとは何か?
商品を大ヒットさせ会社を大きくするのが発明ならば、例えばUberは発明なのか?
いや、Uberは発明ではなくイノベーションである。
明日は、Uberは、発明では無くイノベーションなのだということを説明したい。
合同会社タッチコア 小西一有
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