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何故、その体制になっているのか考えよう[20240408]
先週は、情シスに新に配属された人や新任CIOになった方に向けてのメッセージをお送りしてきた。
今週も続きを。
現在の情シスは「プロジェクト屋」と「雑用屋(本人達は運用と称している)」の2種類しかない。
「アプリ担当」とか「インフラ担当」とか名乗っている時点でこの2種類しかないと断定して良い。
本来の情シスの仕事をしていない典型例である。
「プロジェクト屋の何がいけないのですか?」とご質問をいただくことがある。
プロジェクト屋がいけない訳ではない。
ITプロジェクトは、可能な限り上手に遂行して欲しいと思っている。
「アプリ」とか「インフラ」とかではなく、プロジェクト目標・目的に対して最大限の支援をする役割としてだ。
「アプリ」「インフラ」を情シスが分かれているのは、プロジェクト体制を取った際にベンダー側がそのようにしてくるからである。
ベンダーのカウンターを作る為に作った組織だと言うことだ。
情シスは、ベンダーの「御用聞き」ではない。
しかし、多くの企業でプロジェクトになるとベンダーの御用聞きに成り下がるのである。
プロジェクトで情シスは何をすべきか。
プログラミングか? 会議資料の作成か? 議事録作成と整理か?
違わなく無いけれども、優先順位が低い話ばかりだ。
最優先は社内調整なのだ。
社内調整と言うと、何やら怪しい感じがするが、最優先でやるべきことは以下の通りだ。
(1)プロジェクトの目的・目標は何かをユーザー部署の部長以上職にご理解いただく
(2)ユーザー部署の部長以上職に、何時、何をすべきかをご理解いただく
(3)特に教育スケジュールは、部長職以上が納得した上で作成し承認して貰う
(4)プロジェクト以降のKPI/KGIについてユーザー部署の部長以上に策定・制定してもらう
ITプロジェクトは、業務改革無しには有り得ないから、上記のようなことは必須である。
「ユーザーは、プロジェクトの意味を理解していないから失敗するのです」
ある情シスの課長さんが言っていたが、理解させる為に尽力するのは「俺じゃない」と言い切るのが不思議でならなかった。
IT投資をしてそのベネフィットを取り出す責務を情シスは負っていないと言っているのだ。
誰がすべきか、誰の責任かという話が先行するのは悲しいし、それが「縦割り組織の弊害と闘う尖兵」である情シスから出る言葉だとしれば嘆かわしい。
こういう幼稚な組織を放っておく経営は最悪だが、このような現象は日本国中の情シスで起きていると言われる。
IMDの国際デジタル競争尾力ランキング第32位にランキングされる所以がここにあるのだ。
課長:「人員数だって足りてないし」と前述の情シス課長さんが言う。
私 :「人材は、最も大事な経営資源だから、経営に情シスの存在価値を認めさせないと配属してくれませんよ」
課長:「こんな雑用ばかりやらせるような経営が何を言うのか」
新任CIOはこういう方々を相手に仕事をスタートさせることになる。
ITマネジメント領域に仕事を拡げていかなければ情シスの価値は更に下がるし、何より企業全体の競争力低下になる。
以前からプロジェクト屋として情シスで番をはっていた方々は「声が大きい」けど「中身がない」し「経営に価値を生み出さない」…かもしれない。
合同会社タッチコア 小西一有
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