まだまだ道半ばらしいロボット研究[20240325]
東京工業大学の森政弘教授をご存知だろうか?
ロボットの研究で「不気味の谷」なる言葉を生み出した大先生である。
最近は、生成AIなどの話題でロボット研究の話題は目立たなくなった感があるが、本当のところはどうなのだろう。
森先生は、「不気味の谷」の言葉を生み出した後に「人間研究を極めなければ自然なヒト型ロボットは造ることが出来ない」と研究の方向性を人間に向けることを発表された。
それはそうだ、と当時も思ったが、最近、同志社大学生命医科学部医工学科のロボット研究の話を聞いて、同じような話だなとあらためて感じた。
医療現場のロボットは、大きく二つの方向性がある。
一つは、医療従事者支援のロボットだ。
凄く分かりやすいものだと、ダビンチ・システムなどは手術支援ロボットだ。
また、ちょくちょく話題になるが介護従事者向けの支援ロボットは腰や腕の筋力を補強してくれる機能を持っている。
手術支援ロボットはともかく、後者の介護支援ロボットは基本が「ヒトによる介護」を前提にしているので、今後、見込まれる要介護者が増加には対応出来ない。
そこで、二つ目の要介護者支援ロボットの登場である。
要介護者の障がいの程度に合わせて行動を補完するような支援ロボットが問題解決には必要不可欠になる。
答えを先に言うと、この要介護者を支援することは現代技術では不可能なのである。
超高性能センサーによる情報を超高速CPUで処理して高性能モーターを駆動しても、支援するロボットにはなり得ないのだ。
要介護者支援の為には、要介護者の障がいの程度及びそれに合わせた支援方法を確立しなければならない。
東京工業大学の森先生が仰った「人間の研究」が全く足りていないのである。
森先生は、リアリティを何処までも求めておられる。
同志社大学の横川先生は、要介護者の状態を如何に定義するかを考えておられる。
ところで、横川先生によると、この研究が進む前にしなければならないことがあるそうだ。
「ピンピンコロリ」でいけるように、とにかく運動を絶やしてはならない、健康を保たなければならないと言う。
介護者に負担をかけないような生き方をしようではないか、ということらしい。
よく考えたら、人間研究の究極の回答かもしれない。
合同会社タッチコア 小西一有
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