連休後半に現在の社会について考えてみてほしい[20240502]
米国大統領だったロナルド・レーガンは記憶にあるだろうか?
在任期間は1981年1月20日~1989年1月20日まで、「プラザ合意」時の大統領だ。
また、米国内の企業が、日本企業からの格安で高品質な製品に押されてアップアップしていた時代の大統領だった。
当時の日本の首相は中曽根康弘氏で「ロン」「ヤス」と呼び合う仲良しだったと報じられていた。
つまり、米国最大の課題だっただろう経済政策について日米協調が容易な関係を構築しようと「ロン」が考えていたと言っても過言では無い。
ロンはヤスにプラザ合意(円高誘導)については一定の評価をしてくれたものの、米国製品を購入しない日本について不満を持っていた。
日本の貿易黒字の拡大は、米国の貿易赤字拡大を意味するので「米国製品を買ってくれよ。ついては、スーパーコンピュータなんかどうだよ?」(言い方はともかく)と尋ねられたと言う。
1980年後半頃だと言われているが、米国製のクレイコンピュータを購入することをヤスは約束させられた。
勿論、政府が購入する訳にはいかないので、ヤスは適当な企業を探す。
とはいうものの、日本にも富士通や日立製作所、日本電気などが国産のスーパーコンピュータを生産販売しているし簡単に輸入できる環境でも無い。
そんな時に白羽の矢が立ったのがリクルートである。
何故、白羽の矢が立ったのは説明する訳にはいかないのだが、とにかくリクルートがクレイのスパコンを購入することになった。
問題は、もう一つあった。
リクルートは、クレイコンピュータを購入せざるを得なくなったのだが、既に日立製作所の最新鋭スーパーコンピュータを発注し生産も進んでいた。
日立のスパコンをキャンセルせざるを得ないのだけどとヤスに相談したら「それはは心配しなくて良い」と答えたとか。
かくして、私が以前に勤務していた証券会社のコンピュータセンターには日立製のスパコンが納品されることになった。
ちなみに、ロンの経済政策を何というかご存知だろうか?
「レーガノミクス」と呼ばれた。
アベノミクスは、レーガノミクスのコピーだと言われている。
レーガノミクスもアベノミクスも基本は「トリクルダウン効果」を狙っていた。
シャンパンタワー効果とも言われるが、Wikipediaによると「「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、経済全体が良くなる」とする経済理論である。」とある。
ちなみに、近年のまともな経済学者やOECDの実証によって明らかになっているのは、トリクルダウン政策は貧富の差を拡大させ経済発展を抑制する方向にしかならないとしている。
現在、日本経済のファンダメンタルがズタボロなのはアベノミクスによってもたらされた富める者だけが富み、貧する者は更に貧するというセオリー通りの最悪の状況を作り出したと言える。
資産デフレで喘いでいた日本は0.1%と言う異次元の低金利政策を打ち出し、資産デフレを脱し、富めるモノだけ富める世界を作ったのである。いつかは、貧するモノにもおこぼれが落ちることを信じて。
レーガノミクスについて、米国の経済学者はレーガン政権後に「貧するモノには行き渡らない」とする論文をいくつも出しているにも関わらず、アベノミクスのトリクルダウンは実行された。
極少数の富める者の為だけに政策が実行されたのである。
現在の資産インフレ状態(株高、不動産高)も、富める者には笑いが止まらない。
金利が引き上げられると、資産インフレ状態に水をかけてしまうので、やはり金利を上げる訳にはいかないのである。
これでも、自由民主党に経済政策をお任せし続けるのだろうか。
またしても、自民党は安定の得票数を確保するのだろうか。
さて、この投稿を読んでくれている皆さま、連休後半に現在の社会について考えてみてほしい。
合同会社タッチコア 小西一有