「市民開発」ユーザーにも情シスにも覚悟が必要[20240917]
昨日まで3連休で、秋の行楽シーズンを楽しんだ方も多いだろうか。
今週末も3連休だが、さすがにそろそろ秋の気配であまり天気は期待できないようだ。私は仕事の仕込みがあるので行楽の予定はないのだが。
さて、先週に引き続き「市民開発」について話したい。
EUC時代の残骸を今なお不良資産のように持ち続けている企業は多く「市民開発」と言う言葉自体に拒絶反応を示すことが少なくない。
私は、EUC時代に情シスの一員だった経験がある。
不良資産化したアプリも見届けた経験も多くあり「市民開発の成功事例」を参考にして「対処方法」を検討した。
本格的なプログラミング言語を使用したアプリも少なくはないが、MS-ExcelマクロやIBM-Notesなどで開発されたアプリケーションが残っていることが多い。(ここで固有名詞を出すのをご容赦願いたい)
これらの「後始末」を情シスが担当しなければならなくなるので「市民開発はリスク」と見てしまうのである。
アプリ開発者は、ユーザー部門いたので、以下のような事態になっている。
(1)プログラム仕様書が無い
(2)機能仕様も明らかではなく詳細を知るユーザーがいない
(3)開発されたアプリケーションがOSや特定ツールのバージョンに依存し
ていて、いつまでもそれらの古いバージョンを引きずることになる
ユーザーサイドで勝手に開発された「野良アプリ」の為に情シスの負担が何倍にもなって跳ね返ってくるのだ。
90年代に各社が導入した、そんなエンドユーザーコンピューティング(EUC)と市民開発の何が違うのか?
「市民開発」を成功させるためにはどうすれば良いのか?
まず「市民開発されたアプリは、情シスでは一切の面倒を見ません」を貫き通すことだ。
更に、市民開発導入を希望する部署・部門は情シスに後始末を頼まないことを約束しなければならない。
これが、現実的に不可能だと考えるのであれば「話はそれまで」である。
だが、市民開発を導入したいと考えているユーザー部門は少なくないし、その理由も「情シスに頼むほどのことではない」やとか「自部門で開発した方が早い」などベネフィットも感じている。
EUCで始まったユーザーによるシステム開発は、当時から30年経過した現在も重く暗く影を落としている。
しかし「だから市民開発はやらない」のでは、デジタル・ケーパビリティを自社ビジネスに取り込んで成長への架け橋には出来ない。
上手に立ち回った企業に「遅れをとる」ことは間違いないだろう。
ユーザーにも情シスにもどちらにも覚悟が必要だ。
今週は、情シスが検討し覚悟すべきコトについて話したい。
合同会社タッチコア 小西一有
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?