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価値の単位は円ではない[20241217]
大学で講義をする時の話。
私は、学生にDXやイノベーションの話をするが、際には社会人向けよりも事例に重きを置いて話すようにしている。
ビジネス経験がない学生さんは、理論をいくら上手に話せたとしても理解するのが難しいと思う。
しかし、実際の社名や製品・サービス名を聞けば想像が出来るので理解しやすいようだ。
学生は、そもそも素直なので、興味が持てるように話題を提供することが大事である。
私は、イノベーションとインベンション(発明)の違いについても話をするのだが、日本企業・組織は後者が得意だが前者は得意ではないといった話をする。
学生からは、面白い質問も飛んでくる。
「先生、どうしてそのようになるのですか?」
発明は、コツコツやれば何時かは到達することが多いが、イノベーションは、ちょっとセンスみたいなものを必要とする。
日本人は、不確実性が嫌いという国民性の為か、コツコツと額に汗していれば結果が出る発明を選ぶのである。
イノベーションだって天才でなければならない訳ではないが、「新たな価値を生み出す」という点において日本人は圧倒的に弱い。
価値って何?
関西人の言うところの「値打ちおまんなぁ」みたいなものか?
価値の単位は「円」だと信じて疑わない日本人が多いのも事実ではなかろうか。
そんなだからイノベーションは日本人には向かないのだと説明する。
だからこそ、若者(学生)に「新しい価値」を見出してイノベーションを創出して欲しいとお願いするのだ。
今週、お伺いしている大学でも「イノベーション創造」の講義はないと思うのだが、学部でそのような講義がある大学はあるだろうか。
例えば、スタンフォード大学大学院のデザインスクールの講義のようなものを指している。
20歳になるかならないかくらいの頃から、どんな馬鹿なことを言っても許されるという環境で学ばせたいと思うのは私だけだろうか?
母校の同志社大学では理系の大学院ではイノベーション創造の講義をしているが「馬鹿馬鹿しくなるくらい突拍子なアイディア」に出逢うことは、ほとんどない。
修士課程だから23歳~24歳くらいの学生なのだが、良くも悪しくも「大人」になってしまっている感じだ。
その学生たちに、企業にインターンに行ってブレストを経験したかを尋ねると、80%くらいの学生が「Yes」と答える。
私:「ブレストはどんな感じでしたか?」
学生:「お通夜のようでした」
学生相手に、ブレストの進行方法をしらない社員(企業)が一緒にお通夜を楽しんでいては、日本からイノベーションは創出される訳が無い。
合同会社タッチコア 小西一有