業務改革:調整コストに注目すべし[20241007]
先週、業務設計レベルから業務を見直して「コスト削減」を実現してみてはという提案をした。
「業務設計」の一般的な方法論としては「現場の話を良く聞いて」「その通りに業務フローを書く」ことだ。
100人のSEを連れてきたら100人がこの方法を実行するだろうし、この方法に異論を唱えた瞬間に非難の声が上がるだろう。
単純な機械化だったらそれもよい。
「小西は、単純な機械化と言うが、経産省は『DX』だと言っているではないか!!」
だから…、それは経産省の罠である。
日経BPの木村岳史氏に言わせると「偽装DX」と言うらしい。
さすが木村さんだなと感心する。
真面目一本槍(!?)の私にはこんな風に上手に言えない。
若い頃は、もう少し上手だったと思うのだが。
仲間で呑みに行かなくなった事も原因ではと思ったりもする。
若い頃は、飲みながら色々とバカ話をしながら、こういう言い回しを思いついたものだ。
話を戻そう。
「偽装DX」は機械化なのだが、真面目に業務改革をするDXは業務設計レベルから変革しようという話だ。
しかも、目的は「コミュニケーションコスト(=調整コスト)」を極小化するための業務改革である。
原理原則は、チーム間のコミュニケーションを極小化するということだ。
調整にコストがかかる理由(!?)に「たまに大きな声を出す人がいて…」とか「紙による伝達のみで」といったことを挙げてくる人がいるが、残念ながらこれは業務設計で治る問題ではなさそうだ。
チーム間の調整コストを極小化する。
その為に現場に調査に入ると言うが、現場のやり方を聞いてしまうとそれが「正」になってしまう。
「重複は排除できる筈だ!」と殆どのSEは言うだろうし、少し気の利くSEは「似たような処理は集約も可能だ!」と言うかもしれない。
しかし、無駄は重複を排除しても殆ど減らすことはできない。
本当の無駄は「調整コスト」が一切考慮されていない業務(設計)にあるのだ。
調整コストを最小化する一番の方法論は、部署間のコミュニケーションを全て一方通行にすることだ。
チームAとチームBと協力して仕事をする場合に、調整ごとが生じてはならない。
どちらかが一方的に仕事の為に情報を出して、他方が一方的に情報を受け取るという構造にする。
双方で相談して境界線を決めたりするのは「絶対的にNG」である。
「当社は伝統的に現場力が強い組織だからね」
そう言っていること自体、業務設計力が欠如している状態を示していると言える。
残念ながら、私は日本企業で調整コストを極小化する為に業務設計をしている事例を殆ど知らない。
こういう業務設計手法を熟知しているSEが日本にはほとんどいないので「時間当たり労働生産性は、OECD 加盟 38 カ国中 30 位」なのだ。
折角、労働生産性ランキングの話をしたので他の指標も掲出しておきたい。
「一人当たり労働生産性は、OECD 加盟 38 カ国中 31 位」と更に順位を下げる。
今までのやり方が『根本的に違う』のだとデータで突き付けられているのだ。
それでも、誰も業務設計方法に問題があるとは信じない。
経済産業省の「偽装DX」のお陰でシステム導入して機械化すればOKと思い込んでいるのか。
私の知る限り機械化による自動化・合理化は「コストに見合わない」。
一番の大問題はチーム間の「調整コスト」なのである。
そして調整コストに着手する為には「組織全体の業務」の設計しなおしが必要だ。
組織とかチームとか言うのは、ここでは組織は「会社」単位だと理解して欲しい。
「チーム」が部単位だとご理解いただいて概ね間違い無い。
何故「概ね」と言うのか?
日本は機能(単位)組織だからだ。
機能が先ではない。
調整コストを極小化するための仕事の単位が中心になる。
続きは、また明日。
合同会社タッチコア 小西一有
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