研修・トレーニングの内容は妥当なのか?[20241031]
今週は、JUAS発行の「企業IT動向調査報告書」のデータを基に特に「DX人材の育成」について考えてみたい。
リスキリングを実施する企業が
・リスキリングして新しく習得するスキルを何と考えているのか?
・その内容が自社の方針に合致しているのかを誰が監修しているのか?
そんなことを考えている間に、昨日は長文になってしまった。
それは人材育成部門が中心に…とでも言うだろうか。
新たなスキルを利活用する組織でなければ、役立つかどうかなんて分からないのではなかろうか。
リスキリングも気になるが、管理職になるためのトレーニングなども気になる。
本当に必要なことを教育しているだろうか?
研修に行かないと管理職になれないと、現場では言われているだろう。
ダニエル・ピンク氏に言わせれば、それはモチベーション2.0である。
自社の将来を担う新たな管理職候補に「モチベーション2.0」だなんて恥ずかしくないか。
念のため「モチベーション〇×△?」と言う方のために、簡単に説明しておく。
|モチベーション3.0とは、アメリカの作家ダニエル・ピンクの著書で提唱さ|れたモチベーションの新たな概念。
|この著書はアメリカでは2009年、日本では翻訳版が2010年に発売されてお|り、モチベーション3.0は比較的新しい概念だが、世界中で一世を風靡した
|著書の中では、外発的動機付けがメインの過去のモチベーションの考え方|に疑問を呈し、内発的動機付けを重視した新たなモチベーションの概念に|ついて、ビジネスへ活用するための方法が解説されている。
ちなみに一般的には
〈モチベーション1.0〉
生存(サバイバル)を目的としていた人類最初のOS 。
〈モチベーション2.0〉
アメとムチ=信賞必罰に基づく与えられた動機づけによるOS。ルーチンワ
ーク中心の時代には有効だったが、21世紀を迎えて機能不全に陥る。
〈モチベーション3.0〉
自分の内面から湧き出る「やる気!=ドライブ!」に基づくOS。活気ある社
会や組織をつくるための新しい「やる気!」の基本形。と定義される。
私の直感では、多くの国内企業がモチベーション2.0で止まっているように思える。
人材開発や研修を担当している部署が自己満足のために制度を作り、各種のトレーニングを用意しているような気がしてならない。
人材開発や研修担当が、手抜きしているとか現場を理解していないと言っている訳ではない。
自社の長期戦略や人材(財)戦略を策定した背景などを理解した上で、「どうすれば良いのか」「当社に不足しているケーパビリティとは何か」について、例えば社内外の有識者を交えてなど議論を重ねているだろうか。
その結果、自社独自の回答を導き出した上で、様々なトレーニングがタイムリーに提供されているのかということだ。
JUASの「企業IT動向調査報告書 2024」では今後必要なスキルは以下のようなもの。
「セキュリティマネジメント」(41.9%)
「セキュリティ技術」(39.7%)
「データ・AIの戦略的活用」(38.7%)
「ソフトウェア開発」(38.2%)
「戦略・マネジメント・システム」(37.7%)
セキュリティは、セキュリティベンダーに頼むのも一案であろう。
代わりに、ベンダー製品を買わされることは覚悟の上だが。
テータやAIの戦略的活用はどうだろうか?
「経産省認定講座」だからと、pythonプログラミング講座や統計学講座を受講させていないだろうか?
「経産省認定講座」はITベンダー向けの講座であり、ユーザー企業内のDX推進要員向けではない。
この違いが理解出来ない場合には、弊社のように信頼できるコンサルティング会社にアドバイスを依頼すべきだ。
「ソフトウェア開発」もプログラミングではなく業務設計と理解すべきだし「戦略・マネジメント・システム」に至っては、どこの誰に研修を依頼すればご存知だろうか?(ここで指すシステムはシステム思考と理解していただくのが良いと思う)
ちなみに、この項目は馬鹿にならない話をしておく。
JUASの「企業IT動向調査報告書 2024」によると、こうある。
|DX推進に求められる経営視点での行動について調査を行った。IT 戦略を経|営戦略に織り込むだけでなく、ステークホルダーへの開示を図るなど、体|制やオープンなマインドセット・風土の醸成が必要であることも見えてき|た。さらに、役職としてCIOが定義されている企業では43.0~58.9%でDX|が推進できていることも調査結果から明らかになった。CIO のような経営|側の立場が定義されている企業では、IT 戦略を経営戦略に織り込みやすい|企業環境・風土にあるのではないかと考えられる。
こういう基本をかっ飛ばしてDXだけ何とかしたい…、それは無理だということに気付いてほしい。
IT戦略の作り方を知っていますか?
貴社内に正しくCIOの職責を担う方はいますか?
〝正しく”がミソで、経営の一翼を担いビジネスとIT/デジタルを紐付けできる人物という言い意味である。
「今まで、そんな人物は不用だったし、ITプロジェクトは取り敢えず何とか結果を出してきたし…」
そんな風に考えているなら、この先は『危険』だ。
合同会社タッチコア 小西一有
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