奄美バス旅、ひとり旅:ルート確認やってみた その④宇検村、未知の領域へ
奄美旅3日目
いよいよ宇検村へ。
素の奄美へ訪れるための心の準備は良いかしら?
色んな珍しいものを素通りしないで発見するには、運と、ゆったりした心が大切。
虫よけ持ってる? おやつは? 雨具ある? トイレ行った?
(お母さん状態)
市内からのバスを乗り継いで、2時間半から3時間の旅の始まり。
勿論バス内にトイレは無いし、新村での乗り継ぎは数分以内。途中でトイレに行ける時間は無いと思って。
さて、宇検村行きのバス時刻表を見てみよう。
プランA、めちゃめちゃ早起きさんプラン。
(市内7時ごろ発、新村乗り継ぎ8:15)
プランB、ゆっくりチェックアウトプラン。
(市内10時半頃発、新村乗り継ぎ11:35)
プランC、到着したら夜……プラン。
(市内夕方16時半頃発、新村乗り継ぎ17:35)
ふむふむ…なるほどね。市内からアクセスできる便、朝、昼、晩の一日3便のみの陸の孤島。スペシャル感満載。
プランAは、却下。早すぎて、到着してからすることがなさすぎる。
絶対どこもかしこも閉まっている。プランCも、到着したら夜。一旦却下。
ところで、空港線の時刻表を見て、ある一部区間でせとうち海の駅行きだけが、時刻が逆行していることに気づく人はどれほどいるだろう。
空港線の時刻表は、まるで時空ワープするかのように、時刻が過去へと戻っている……。
せとうち海の駅行きだけが、泊まるバス停の順番が違うという事。島外から来た人には、おそらく理解不能。印刷ミス?とか思うはず。
ということで、そこそこ早起きさんプランBで動くことに。
ホテルウエストコート前10:36に到着する「せとうち海の駅」行きバス乗車。
凡そ1時間後の11:33に新村到着。
宇検村へは、ここでひとまわり小さいバスに乗換。
はい、そこは1件コンビニがあるだけの山の中。
かつて、トンネルが無かったころは、ここから山越えだった場所。
更に昔は一泊する必要があったので、とても賑わっていたところらしいけれど、今はその面影はなく、ひっそりとしている。
昔のようにお店などがあれば、乗り継ぎ便のスペシャル感満載の宇検村バスを待ちながら、ここでまったり過ごすこともできるのに。これから観光客で賑わうだろうにと思う。
だって、市内から新村までのバスは2時間おきに3本もやって来るけれど、11:33より後に新村に到着したら、宇検村行きのバスはもう6時間後まで無いのだから。恐ろしすぎる。
唯一あるお店は宇検村の手前にあるこのコンビニ。
宇検村にはコンビニは無い。(地元の人の生活のための商店は何軒かある)
そのまませとうち海の駅行きのバスを降りずに乗っていれば瀬戸内の古仁屋まで行ける。なので、古仁屋に直行する観光客の方が圧倒的に多い。
ここでバスを降りたあなた。なかなか出会えないご縁で繋がれた人です。
きっといいことありますよ。
コンビニに立ち寄っていると宇検村行きバスがいなくなるのでご注意を。
可愛い絵柄の水色のこじんまりしたバス。その可愛らしさとは裏腹に11:35には秒で新村を離れる。一旦ここまでの料金を精算するので、一日券を見せるか、小銭を準備。
どうしても無理、コンビニ行きたいって人は、運転手さんに声を掛けてみて。待ってくれるかどうかは分からないけど。(多分無理)
トンネルを抜け、山路をくねくね上ったり下ったりしてアランガチの滝近くを通り過ぎ、宇検村中心部、湯湾には凡そ30分で(12:05)到着。
すでに市内出発から1時間半。そろそろいい加減トイレに行きたい……はず。
湯湾バス停には綺麗に手入れされた待合所にトイレがあって、地元の施設の方がとてもきれいに管理されている。お座敷まであるけど、決して飲み食いしたり寝泊まりしたりしないように! 通報される。
(半分本当。警察すぐ近く)
市内から新村までのバス代は1400円ほどで、新村から湯湾までのバス代は510円。これより先に向かうなら、一日券の方が絶対お得。たとえ一駅でも100円するので。
このまま終点まで乗車すれば、無人島にほど近い宇検集落までたどり着く。
湯湾からはバスで更に30分かかる。(新村からの料金は880円)
終点まで行けば釣りイカダ宇検ではトイレ付釣りイカダがあり、寅さん気分も味わえる。
バス停から少し歩けばマリンアーゴという1棟貸しの宿泊場所もあり、各種マリンスポーツの予約や無人島でのバーベキューもお願いできる。
無人島の対岸には、彼方に屋鈍やタエンビーチが見えている。
かつては村の中心部だった場所。集落はほんわかした雰囲気。
(お天気にもよるけど)
少し歩けば、集落の入り口には「木果(もっか)」というカフェも。
宇検村のかたちをざっくりお伝えすると、ワニの口のように開いた焼内湾の喉の奥の部分が中心部、湯湾。
役場や宿泊コテージ、開運酒造の工場などがある。
そして、上あごの先端が宇検、下あごの先端が屋鈍。
(ざっくりすぎるにもほどがある説明)
村だからと侮るなかれ、宇検から対岸に見えている近そうな屋鈍まで、レンタカーで海沿いを片道1時間半、往復するなら車で走り抜けるだけで3、4時間は見ておいた方が良い大きな村。
その中心部に奄美最高峰の湯湾岳が鎮座する。山がぎりぎりまでせり出していて、殆ど平地が無い。(平地の大部分は埋め立て地)
自然がそのまま残る場所。
新村からやって来るバスは、そのまま乗っていれば宇検へと向かう。
泳げるビーチのあるタエン浜、屋鈍方面へは、湯湾で乗り換えて逆方向へ行かねばならない。
屋鈍行きバスは、湯湾バス停に3分後の12:08に反対車線にやって来る。
反対にはバス停の標識は無い。けれど、湯湾バス停の反対車線側に、「大体このあたりか?」みたいな感じで立っていればバスが停まってくれる。
乗る時に行き先を伝えておけば、好きなところで降ろしてくれる。
そこからタエン浜海水浴場まで、やはり30分以上。12:40に到着する。
そう、やはりこの時点ですでに市内から2時間。
タエン浜にはシャワーやトイレ、食事をする場所もある。隣のお店に許可を取ればお店の横にテントも張らせてもらえる。
(有料。ビーチはテント禁止。通報される)
宿は、タエン浜には……ない。というか、人のいる建物は、私が知る限り1件。まさにポツンと一軒家。(道路沿いなので、明るい感じだけど)
この辺りで泊まるならば、お店にお願いして有料テントをはるか、次のバスで屋鈍辺りまで行くか、湯湾に戻って来なければならない。
因みに、新村からやって来て、湯湾バス停で一旦降りると、停まる次のバスは15時まで来ない。
そうしてこれが最終で、これに乗って宇検や屋鈍方面へ行こうと思っても、戻って来る手立てが無い。
ここで諦めて、バス停のトイレに行くか、直行するか、乗換えてビーチに行くかという選択に迫られる。
一旦降りてしまえば、ここ湯湾で一泊して、岬の先でもう一泊。海は遠い。
というわけで、御用とお急ぎで無い方は、湯湾で下車して。
宇検行きバスと同じ方向に向かって歩けば、郵便局が左手に見えてくる。
そのまま進めば、ガソリンスタンドが左に見える。その反対側に、小さく「がじまる茶屋」の看板がある。看板に従ってお墓が見守る道を抜け、共同墓地手前の駐車場を右折すれば、古民家を改装したお店があって、ランチが提供されている。(午後3時半ごろには閉まる。要電話確認)
宇検行きバスの進行方向と逆に少し戻れば、絵にかいたような、夏休みをおばあちゃんの家で過ごす的なのんびりした風景。
善時庵では、月水金にはおじいやおばあ、地元の子供達が集って、何かしらしていたりする。
電気屋さんと道路を挟んで反対側(右)へ曲がると自家焙煎の「とよひかり珈琲」が。アイスコーヒーでも豆を選べる。
お菓子と美味しいコーヒーをセットでオーダーするところ。週末営業。
もう少ししたら、宿泊もできるようになるらしい。(電話確認必須)
右に曲がらずにそのまま進むと、左手に大きな観光マップ看板があり、そこを曲がると宇検村役場が見えてくる。
ここにはハブ小屋があるので、興味のある方は役場に立ち寄って、「ハブを観たい」と言ってみて。よほど大きな会議でもない限り、ハブ小屋まで案内してくれるはず。
ハブを捕らえて村民の命を守った人へのお礼(?)なのか、一匹三千円ほどで買い取ってもらえるので、梅雨が始まる頃から、捕らえられたハブたちがたくさんやって来ている。
ハブ小屋の隣にあるコンクリートの中には大量のハブ。どんだけおんねん!と、一度目にしておくと、その大きさや、色が分かって、これから歩く時には十分気を付けるようになるはず。
役場側に曲がらずに、そのまま道なりに進めば、こっち側の道にもガソリンスタンドが左に見える。隣には宇検村唯一の大きな交差点とケンムン像のある小さなケンムン公園が。
交差点を渡って、少し進むと左手に体育館が見えてくる。さらに進むと右側には消防署、その前の道辺りを反対側(グラウンド側)へと曲がると徒歩10分ほどで開運酒造(れんと)工場。
試飲コーナーが人気。お土産もいろいろ。
バス旅の人は安心してお召し上がりできるという特権付き(飲みすぎ注意)
現在空港にも展示されている奄美ラビットという焼酎ボトルはデザインが素敵で、焼酎っぽくない洒落た佇まい。そして、購入することで自動的に自然環境を守るための寄付もできるようになっている。
日本一の賞に輝いた紅さんごはラムのような香り、バス旅なら是非味見を。
消防署を通り過ぎると、市場ケンムンの館。
その前にはやけうちの宿(キッチン付きコテージもある宿泊施設)。
この辺りに新しい建物が集中して建っている。図書館もあって、遺跡なども展示されている。祭りのビデオやユタ神様についてのビデオなどもお願いすれば見せてくれる。
特筆すべき観光地としては、役場の近くに金作原に負けない(勝っていると思うのだが)景観を備えた立派な滝とオオタニワタリ群生地がある。夕焼けの絶景な奄美大島最高峰の湯湾岳もあるのだけれど、車か電動機付きバイクが必要。(貴重な植物が多すぎるので、写真は自粛)
安全のためにも山に入るには、エコツアーガイドさんを予約して欲しい。
海に入る時にも、ガイドさんか、地元の方がいた方が、入ってはいけない場所が分かって安心で安全。(かつて骨を洗った場所などもあるので)
そのうち、電動付きバイクも貸し出す予定とのことで、しばしお待ちを。
さて、ここ宇検村の宿泊施設は、前述のとおり数が少ない。
飲食店舗に至っては、さらに少ない。
夕食は宿泊する宿か、やけうちの宿併設のレストランで取るものと思っておいた方が良い。(居酒屋や飲み屋さんも湯湾にはあるにはあるけれど、何せ交通機関が無いので。タクシー会社はない)
釣りに来られる人が良く泊まっている民宿が2件。
キッチン付きコテージがあるホテルとユニットバス付ホテルのある別館を備えたやけうちの宿が1件。
そして、個人経営の貸し切りの宿やコテージなどが数件。
個人経営のお宿は、電話をすれば中心部から送迎があることもあるかもしれないのでご確認を。
岬の先端まではバスで行けるけれど、前述のとおりバスは日に3本。
湯湾辺りのホテルに泊った後に、岬の先に宿を取ってゆっくり観光できれば、無人島に渡ったり、透き通る人のいない海に入ったり、星空を眺めたりと、宇検村を満喫できるはず。
「宇」宙を探「検」する村と書いて、宇検村。
そこかしこに自然のままの素朴な風景が残っている。
晴れている日の夜空に見える天の川は圧巻。
空港近くの集落は、既にその半数近くが移住者となっていて、その様相を変えているのだけど、ここはまだ昔からのつながりが深い場所。
まだ観光客を警戒している方もいるので、細い道をずかずかと入って行かないようにだけは気を付けて欲しい。
集落歩きガイドと一緒に素朴なのんびり観光をして欲しいなと思う。
何よりも、神道(カミミチ)と呼ばれる、神様が歩くとされる道が村の集落ごとにいたるところにある。トネヤもミャーも神様のための大切な場所であり、祈りの場所。
そういう場所を観光したいという声を時々聞くのだけれど、まだそこまで開放的ではない。というか、そもそも観光する場所ではない神聖な場所、ということもある。
14集落それぞれにある土俵は、神様を楽しませるための儀式を行う場所。
土俵に上がることは勿論やってはいけないこと。
集落ごとに大きなガジュマルがあって、湯湾から宇検に向かって一駅、田検のバス停のガジュマルは観光客にすっかり有名になっている。(徒歩だと、湯湾から歩いて、がじまる茶屋に寄らずに道沿いを10分ほど)
14の集落がそれぞれ独立して、違う色を見せる村。とにかく集落内にはむやみに入って行かないよう気をつけて。
控えめで優しい人々が暮らす村。それでも元気にこちらから「こんにちは」と挨拶すれば、優しい笑顔が返ってくるはず。実はお話好きな方も多い。
さて、話を戻そう。
前述のとおり、湯湾バス停から徒歩5分ほどで、やけうちの宿という場所に到着する。12:08の屋鈍行きに乗り換えると一駅、追加で100円必要。
なんでよ?って思う人は、湯湾から歩いて。荷物が重い人は、例え一駅でもバスを待って。
やけうちの宿のレストランとホテルのチェックイン窓口は同じ場所になっている。ランチは11時半から。予約しておくとスムーズ。夜にはバーベキューしている姿も見られる。
クロウサギを見るナイトツアーも宿の前から出発する。
(詳しくは宿か、しま博覧会から電話を確認して予約を)
何もせずゆったりするには最適の宿なので、バタバタせずに時間を過ごしてほしい。
お向かいにあるケンムンの館は、地元の野菜や手作りのお菓子を扱う小さな市場。時折イベントなどもやっている。(営業は10時から18時)
観光前には電話が必要な店舗が多いので、観光マップもここで入手して。
所謂造られたようなお土産物ではなく、本当に村で採れたものや作っているものを置いている。
市内から車でお目当ての品を買い付けに来る人も多く、しょっちゅういろんなものが売り切れているので、その辺は縁次第。
もう一泊できる人は、翌朝、早起きしてバスに乗り、宇検か対岸の屋鈍へ。
無人島で釣りをするもよし、人の少ないビーチでのんびりするもよし。
屋鈍カフェでまったりするも良し。(週末と月曜は開いている。電話してからお出かけを)遠くていけない方も、運が良ければケンムンの館にお菓子が入荷されていることも。
やっぱりお勧めは、タエンビーチなのだけど。
晴れていればサンセットが最高なのだけれど。バスがねぇ……。
早く行って、半日いて、戻って来るとか。
ガイドさんを予約して、サンセットの時間に合わせるとか。
念のため、屋鈍から湯湾に戻るバスの最終は16:30
(土日祝は何と最終13:20!)
宇検から湯湾に戻るバスの最終は午後16:30
(土日祝は何と最終13:45!)
湯湾に到着しても、もう市内に戻れるバスは無い。
というわけで、レンタカーでない人は、岬の先端まで行くなら宇検の一棟貸しか、屋鈍の一棟貸しに泊まろう。
そうして帰り、宇検から奄美空港に直行、連絡できるバスは、
早朝6時21分宇検発で、新村で乗り継いで、空港着が9時3分。
9時15分発で、新村で乗り継いで、12:02分。
13時45分発で、新村で乗り継いで、16:32分着の3本のみ。
屋鈍からは、5:55(通常動いていないので前日までに要予約)発で、湯湾で乗換、さらに新村で乗り換えて、空港着は9:03。
8:50発で、2度乗り換えて、12:02空港着。
13:20発で、2度乗り換えて、16:32空港着。の3本のみ。
ここまで聞いて、気が遠くなって、バスでの宇検村行きを考え直そうとしているあなた。
気持めっちゃわかりますから。はい。
ゆえに、宇検村に来る人はリピーターが殆ど。
何もないことに耐えられない人は二度とやって来ない。
「この前来られなかったので、今度は宇検村だけに、空港から3時間かけて来ました!!」と言ってやって来てくれる方たち。
あなたに親切にしない理由が無い。
因みに、空港から宇検村へと直行する場合は、奄美空港発9:45で、新村11:35乗換。湯湾着12:08、屋鈍着12:53(宇検着なら12:30)。
もしくは、これ、プランCでもあるのですが、
奄美空港発15:45(市内ウエストコート前からは15:03発)新村17:35乗換。屋鈍に行きバスを前日までに予約(オンデマンドバス)して、18:53着。(宇検着なら18:30)
到着したら、宿に直行、晩ご飯です。クロウサギツアーは無理よ。
選ばれた人しか来られない村。と、言われる場所。宇検村。
レンタカーでなら来られるようにはなったけれど。
毎日市内までバスで頑張って通っている高校生が、疲れ果てた様子でねむりこけていたら、どうか許してあげて。
(それでも飛び起きて席を代わろうとしてくれる生徒もいるから驚く)
このスペシャル感がたまらないと、毎年来られる方もいて、同じ時期に宿を取られる方や、季節を変えて鳥を見るために何度も来られる方も。
更に強者は、宇検村を訪問した後、新村乗り継ぎで瀬戸内(古仁屋)から、加計呂麻まで行かれる方もいる。
宇検村から新村乗換で古仁屋にはまだ行きやすい。
けれど、逆に古仁屋から新村乗換で宇検村に来るのは至難の業。
古仁屋から空港直行は乗換無しで一本で戻れるので、古仁屋を後にした方が楽。(空港まで2時間半かかるのは同じ)
もし、バスで空港に早く着いたなら、もし、快晴の青空なら、奄美を離れる直前にあやまる岬へ行くのもお勧め。
一日目の回で書いたように、到着したフライトでは空港からは、行きにくいあやまる岬。
出発のために空港へ向かうバスなら、あやまる岬行きとちょうどいい時間に連絡している。
(バスに乗れないとか、万が一のことがあると怖いので、あまり薦めたくないけれども)
4日目(宇検で二泊なら5日目)に奄美を離れる際、「あそこも行きたかったなぁ」と少し心残りで帰ったら、きっとまた来たくなるはず。
一度で全部見るには大きすぎる島。
是非、何度も訪れて欲しい。
季節によって、クジラがいたり、蛍が飛んでいたり、咲いている花も、飛んでいる鳥も、風の匂いも、海や空の色も全てが違うから。