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奄美の初秋~秋土用の前に

まだまだ日中は気温30度を超す奄美大島。
その日差しを侮ってはいけない。

足の甲、シマ草履のかたちの日焼け跡がようやく薄まったと思っていたら、今度はスニーカーのかたちに焼け始めた。

市場では、殆ど野菜がなくなり、毎日品薄状態。
それに反して、毎日大量に出荷されているたい肥。

どうやら、植え替えの季節が始まっている模様。
カレンダーを見て気が付いた。
秋土用が近づいているのだ。

夏土用は有名だけど、実は一年に4回もある。
所謂季節の変わり目、と言うやつ。体調を崩す人が多い時期でもある。

土用とは、土神様(土公神)が土の中でゆっくりお休みになる日。
やたらと地面を掘り起こす、家を建てるなどはご法度、と言われる。

土用期間に身体を壊すと「土いじりしたんじゃないの?」なんて聞かれる。
土地の中の微生物やら細菌やらが活発になるのだろうか?
昔の言い伝えを守り、季節の暦を大切にする人たち。

故に、その前に土を掘り返し、作物を植えようと農家さんは大忙しの様子。

「手伝いに来るかい?」と言われ、喜んでお手伝いに馳せ参じた農業素人。
今後のツアーに組み込めるかもとの、期待を込めて、アジア感満載の畑へと向かう。

男性陣から「マスクなんかしていたら倒れるよ!」とは言われるが、
女性陣からは「マスクして帽子被って、首にタオル巻かないと、焼けて真っ黒になるわよ!」と言われる。

圧倒的に、後者(女性陣)の指示に従う派。
塗っていた日焼け止めは、5分もしないうちに汗と共に吹き飛んだ。

小さな穴に一粒ずつ、丁寧に植え付ける

ここ宇検村の名品、《宇検にんにく》。
なかなかお目にかかれない代物。
とんでも無く美味しかった記憶はあるのだけど。
塩漬けよりも、やはり生。食せる人は幸せだ。

偉そうに言っているけれど、他の仕事の都合により、遅れて来たうえに、僅かひと畝の作業で抜けさせてもらった我儘素人。
皆さん、翌日も早朝から残りを植え付けたらしい。

汗だくになって植え付けたこの種たちが、真ん丸大きくなる日が楽しみで仕方ない。農家さんたちって凄いな。と、しみじみ思った一日。

くたびれ果てた身体で翌日市場に行くと、アロマテラピーの体験場所を探している移住者さんがやって来た。
観光拠点施設でやってはどうかとお話をしていた案件、どうやらイベント化しそうな予感。移住者同士、頑張りましょうね!とたたえ合う。

体験サービスに訪れた、シマのお姉さま。
そのアロマのリラックスした香りと、マッサージの気持ちよさにうっとりの表情。エステに行き慣れているかたにも大好評。
イベント開催決定の際には、是非お立ち寄りを。

アロマの香りでうっとり 癒しの時間

短い待ち時間にできるサービス。
お客様の幸せそうな姿を見て、これもツアーに組み入れられたらなと思う。
ああ、わたしのこの昨日の農作業で痛む腰もやって欲しい。

運動しなければ……。

重い身体にに悩む心の声

九月九日(くがつくんち)の重陽の節句には、お呼ばれしてとある集落へ。
そこに集まっていらしたのは、親戚の親せきのそのまた親戚の、その奥さんの親戚の……そのまた親戚の……。的な感じで、記憶力に限界が来た。

もう、このシマの人は皆親戚という事で。

秋の実りを祝いながら、親戚が集まり、法事をして、皆が何事もなく過ごしていることを喜び、来られない親戚のことを心配する人々。

訪れるや否や、最年長のおばあに「〇〇の従妹の、△△の弟の嫁です」的な挨拶をする方たち。

絶対、私と同じように、誰が誰だか分からなくなってるはずと思いきや、
おばあの記憶力、半端なく良い。恐るべし。

人はひとりでは存在していない。ここで絶対悪いことは出来ない。
(する気だったのか)

そんなことを考えさせられる一週間。
朝晩には心地よい秋風が吹く奄美。

ミーニシはまだかなと思いながら見上げる空には渡り鳥のサシバが飛んでいた。
(ミーニシ:その年初の秋の音連れを告げる北風。「ニシ」は方言で「北」を意味する。ややこしい)

そろそろ衣替えの季節。
ひとり旅や、友人同士で遅めの夏休みを取る観光客が増えてきた奄美。
インバウンド観光客へのビザ制限も間もなく撤廃される。
ますます観光への期待は膨らむけれど、一体いつになったらツアーを公表できるのだろう。

10月に観光に来られる皆様、薄手の羽織れるものをお忘れなきように。


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